木更津駐屯地への陸上自衛隊オスプレイ「暫定配備」の撤回を求める申入れを行いました
防衛省が7月10日、木更津駐屯地へ陸上自衛隊オスプレイ2機の「暫定」配備を強行した問題で、日本共産党千葉県議団は9月2日、森田健作知事あてに撤回を求める申し入れ書を提出しました
2020年9月2日
千葉県知事 森田健作 様
日本共産党千葉県議会議員団
木更津駐屯地への陸上自衛隊オスプレイ「暫定配備」の撤回を求める申し入れ
防衛省は今年3月、木更津駐屯地に陸上自衛隊V-22オスプレイを運用する「輸送航空隊」を新編し、7月に同機2機を配備した。将来的には17機が配備され、年間離着陸回数は4500回ほど増えるとしている。
同機の配備強行に対して、地元住民、県民から事故の危険、騒音など生活環境の悪化への不安や配備反対の声が上がり、報道によれば8月23日の木更津駐屯地に関する協議会の区長部会と漁業協同組合部会でも「騒音に対する不安や懸念の声が相次ぎ」(読売・千葉版)出されている。
8月18日、防衛省が行った千葉県と木更津市への説明では、9月頃から同駐屯地洋上及び場周経路において、11月頃からは周辺空域で飛行する予定である。同省は、オスプレイについて、既存の自衛隊航空機と同様の運用が基本となることを明らかにしているが、同機の飛行訓練が房総低空域、習志野、富士、相馬が原、関山等の首都圏を中心とした広範囲におよび、CH-47輸送ヘリコプターの飛来実績のある海上自衛隊下総航空基地などへの飛来も想定される。
オスプレイは、その開発段階から事故を繰り返し、その危険性が指摘されてきた。近年だけでも2016年の沖縄沖墜落事故をはじめ2019年までに6件もの重大事故が発生している。沖縄の事故原因について防衛省は、「パイロットのミス」としながら「事故につながる疲労やストレスの兆候はなかった」とも言っており、その説明が大きく矛盾している。2017年オーストラリアの事故では、輸送揚陸艦への着艦の際、同機の吹きおろし(ダウンウォッシュ)によって墜落しており、機体構造上の欠陥を裏付けている。
しかし千葉県は、同機の安全性に関して「防衛省が独自の手法により確認した」とし、県として自ら検証しようとしていない。これでは県民の安全に対する責任を投げ出しているといわざるを得ない。
加えて、木更津駐屯地では「教育訓練」と称して、米国で養成した操縦士等の練度維持訓練だけでなく、今後、新規要員の離着陸訓練、ホバリング等も行われる。これから高度な技能を習得しようという隊員が重大事故率の高いオスプレイの操縦・飛行訓練をおこなえば、より危険を増すことが懸念される。
オスプレイは、安全性への重大な疑義や、事故の危険、騒音被害が指摘されているにもかかわらず、防衛省が県内で住民を対象とした説明会を行ったのは木更津市のみである。君津、富津、袖ケ浦、市原の各首長に対しては説明したが、住民への説明を行っていない。習志野演習場周辺の船橋、八千代、習志野の各市や議会・住民への説明会の予定も現在のところない。県が住民への十分な説明すらしない国の姿勢を真正面から改めさせようとしないことは到底容認できない。
そもそもオスプレイは、迅速に敵国に侵攻できるための能力強化を目的として開発されたものである。木更津駐屯地への陸自オスプレイ「暫定配備」は「島嶼部に対する攻撃への対応」を理由に「水陸機動団(佐世保)」との一体的な運用を確保するとしているが、これは憲法9条の立場とは相いれない。同駐屯地は、既に稼働している米海兵隊オスプレイに加え、米海軍オスプレイの定期整備も予定されており、さらに陸自オスプレイが「暫定配備」されたことによって、木更津は日米共同オスプレイの整備・出撃拠点に変貌してしまう。千葉県を日米軍事一体化の一大拠点にしてはならない。
これらのことより以下の通り申し入れを行うものである。
【申し入れ事項】
1.木更津市への陸上自衛隊オスプレイの「暫定配備」と飛行訓練をやめるよう、国に求めること。
2.少なくともオスプレイの飛行・訓練の影響を受けると考えられる地域の住民に対する十分な説明、同機の飛行・訓練の事前公開などを国に求めること。
3. 米軍オスプレイ定期整備能力の拡大についても撤回を求めるよう、国に要請すること。
以上