【2023年12月県議会】日本共産党 丸山慎一県議 2022年度決算の討論

政策

【2023年12月県議会】日本共産党 丸山慎一県議 2022年度決算の討論

 

日本共産党を代表して、昨年度決算について討論を行います。

 昨年度の決算は、熊谷知事が初めて最初から作り上げた2022年度予算にたいするもので、知事に県政の変化を期待した県民の思いに応えられたのかどうかが問われました。しかし、残念ながら、期待に背を向けたものだったと言わざるをえません。

その一つは国民健康保険です。
 年々、保険料が引き上げられ払えない人たちが増えています。昨年度の全県の滞納は約11万4千世帯で加入世帯の13%、実に7軒に1軒が払えていません。保険料が高くなった要因の一つは一般会計からの法定外繰り入れがこの10年間で、県全体で160億円から35億円へと激減したことです。加入世帯数で割ると1世帯当たり1万5千円もの負担増になります。もう一つは平準化です。10年前と比べて応能負担と応益負担の割合が変わり、応益が2ポイント増えたため、所得の少ない家庭に、より重い負担となっています。3つ目は県単位化です。ただでさえ苦しい自治体に、より苦しい自治体を支えさせる仕組みとして創設されたのが県単位化です。本来、自治体の国保財政を支えるのは国の役割のはずなのに、自治体同士に助け合いを強要するやり方では構造的欠陥は解消されません。そして、これを国に従って推進しているのが千葉県であり国保料を高くしてきた責任はまぬがれません。

 公立小中学校の教員不足は深刻で、昨年度末で382人もが未配置となっています。もちろん、教員そのものの育成や定員を増やすことなど国に最大の責任があります。しかし首都圏の初任給を比べると、千葉県は、東京、神奈川、埼玉より低く、正規教員と臨時的任用講師の初任給を比較しても、1都2県は額に差がないのに、千葉県だけ差をつけ講師が安くなっています。こうしたところにも、千葉県の教育への姿勢が表れており、教員不足をより深刻にしている要因となっています。

決算委員会では、地域経済の深刻さも実感しました。
 県内の商店街は10年前と比べて275ヵ所も減っており、店の数にいたっては約3万3千から1万5千へと半減しています。
 農家も激減しており、県内の販売農家戸数は、30年前の約10万戸から3万4千戸へと5年間ごとに1万戸ずつ減ってきており、このまま行けば、あと15年で県内から販売農家がまったくいなくなる勢いです。
 水産業でも、県内の就業者数は30年前の約9千人から、3千人台にまで減っています。
 商業、農業、水産業の深刻な実態の背景には、国による大企業の利益最優先の政治があります。しかし、その国言いなりに行政を進めてきた千葉県の責任も重大だと言わざるをえません。

 一方、県政の中心に据えられてきた大規模開発には、莫大な財源が注がれてきましたが、ことごとく行き詰まっています。
 かずさアカデミアパークは、1996年に概成してから27年たち、昨年度までの基盤整備と運営費の総額は1400億円に達します。しかし、分譲および賃貸用地約149haのうち、いまだに利用されていない土地は66・3ha、44%を占めます。
 千葉ニュータウンも57年前に事業が開始され、これまでの千葉県の事業費投入額は6689億円にもなっています。しかし当初の計画人口34万人、計画面積2912haは、現在14万人、1930haに縮小され、実際の居住者は約11万人にとどまっています。
 つくばエクスプレス沿線開発も同様で、県が施行している3地区では、合計1763億円も投入してきましたが、5万4200人の計画人口に対して、半分程度の2万9200人にとどまっています。

 大規模開発は数十年にわたる事業になるため、その間に産業構造も変わり、人や物の流れも変わり、人々の意識も変わります。それを踏まえず、ただただ決めた開発にしがみつくやり方は、もうやめるべきです。

 決算審査の中で、現在、建設に向けて環境影響評価の手続きが進められている東京ガスの天然ガス火力発電所について取り上げました。当初、東京ガスに加えて、九州電力と出光興産も参加していましたが、両社は早々と撤退して、現在、東京ガス1社だけとなっています。決算委員会でこの火力発電所から排出される二酸化炭素は、海水冷却式のときの準備書によれば年間472万トンとの答弁がありました。これに対して知事意見書では、「今後の技術革新を踏まえた更なる発電効率の向上や、新たな発電方式の導入を検討すること」として事実上、容認する姿勢を示しています。しかし、「今後の技術革新」とか「新たな発電方式の導入」について、「いつごろと見込んでいるのか」を質しましたが、答えはありませんでした。
 千葉県が2019年に策定した「第3次環境基本計画」には、「地球温暖化の問題は一刻の猶予もない状況である」と書かれています。本気でそう思っているのであれば、いつ実用化されるかわからないような技術革新を条件に、472万トンもの二酸化炭素を排出する火力発電所を新たに造ることなど、容認できるものではありません。計画には「猶予がない」と書きながら、実際には切迫感がみじんも感じられない対応をしていては、県民の信頼を得られるはずがありません。

 決算委員会では、これまで4回も武器見本市に幕張メッセを貸し出していることについて質問しました。驚いたのは、ライフル砲や戦闘車、小銃や超音速ミサイルなど、展示されているものをあげて「これらは武器ではないのか」と聞きましたが、「武器の定義がわからない」との答弁だったことです。定義がわからないようなものを展示させること自体、管理責任が問われることになりますが、「わからない」というので自衛隊法に明記されている武器の定義を読み上げ、「これに該当しないのか」と重ねて聞きましたが、それでも答えようとしませんでした。これは、定義がわからないのではなく、千葉県として答えたくないからであり、展示品が武器だと認めたくないからだと考えざるをえません。しかも、幕張メッセの設置管理条例で示されている設置目的のどこに該当するのか尋ねたら、「強いて言えば、産業振興と国際化だ」と答えました。しかし人の命を奪うものを世界に拡散させて得られる産業振興や国際化など絶対にあっていいはずはありません。

 県民の暮らしよりも大規模開発を優先させ、産業振興や国際化を口実にして武器の拡散を後押しする。これでは、これまでの県政と何ら変わるところはありません。こうした昨年度決算には、きっぱりと反対いたします。

以上で討論を終わります。