【2023年12月県議会】日本共産党 浅野ふみ子県議 一般質問

政策

【2023年12月県議会】日本共産党 浅野ふみ子県議 一般質問

 市川市選出、日本共産党の浅野ふみ子です。

 初めに「千葉県多様性が尊重され誰もが活躍できる社会の形成の推進に関する条例(案)」について質問します。「多様性の尊重」は当然です。9月に公表された骨子案には、県内外から669人1279件もパブコメが寄せられました。ところが条例案は、一言一句変わっていません。ガッカリした等々、失望の声が湧き出ています。一体、何のためのパブコメだったのか。知事は「元々、想定していた考え方」だったと言いますが、それじゃ、初めから意見聴取する意味がないじゃありませんか。先ず、お答え下さい。
 パブコメで多くの方が、「『活躍』『活力』などの言葉が目立つが、『人権尊重』が土台にあってこそ、誰もが自分らしく生きられ活躍できるのでは」との意見を寄せています。ところが県は、条例に「あらゆる人が差別されることなく、一人ひとりが様々な違いがある個人として尊重される社会をつくっていく必要がある」と示しただけです。女性団体との懇談の場で県は、「いろいろ議論があるので『人権』は入れなかった」と明言しました。だとしたら、知事、「人権尊重」は、多様性尊重の土台であり、大前提だと考えていないのですか。「人権尊重」も明記しない「多様性条例」で、果たして実効性を担保できるのか、県民が不安に思うのは当然ではありませんか。其々、お答え下さい。
 また、パブコメの「条例案は、男女共同参画条例の代わりになり得ない」との多数の意見に、県は、基本理念の「男女のいずれもが、性別を理由とする不利益を受けることなく…」の部分が、男女共同参画条例を包含などと強弁しています。これが条例を切望する女性や県民への回答ですか。ならばお聞かせ下さい。そもそも、国の男女共同参画社会基本法は、男女の人権尊重、政策立案などへの共同参画、家庭生活と社会活動の両立などを、謳っています。条例案のどこに包含されているのか。一つ一つ根拠をお示し下さい。理念条例と言いながら「共同参画」も「男女平等」も「差別禁止」もない、これで県民の理解が得られたとお考えなのか。お答え下さい。
 また、パブコメでもよせられ、いま世界で大きな流れとなっているジェンダー平等の実現や、性的マイノリティ、いわゆるLGBTQ+への差別解消についても、伺います。私は、産むか産まないか、いつ・何人子どもを持つかを自分で決める、性と生殖に関する健康と権利=セクシャル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツや、暴力と安全確保など、8つの概念の包括的性教育の実践が必要だと考えます。最新の科学的根拠と人権を基盤にした、多様性とジェンダー平等の学びは、あらゆる差別をなくし、多様性を尊重するためには、不可欠ではないでしょうか。県行政の役割は重要です。その自覚と方策はお持ちですか、お聞かせ下さい。
 この問題の最後に指摘したいのは、わが党の9月議会代表質問で、知事が「多様性尊重の理念」を県政のあらゆる分野に浸透させれば、差別や生きづらさがなくなる、と答弁したことです。浸透だけで解消するとは、到底、思えません。
 我が国における男女差別、男尊女卑の考えは、明治時代以降に形成されたものです。明治時代に強化された「男性が主、女は従」「女性は結婚したら家に入る」など家父長制の日本を「美しい国」だったと考える人たちが政権の中枢に座っていること。さらに女性を安上がりの労働力として利用したいという、財界の意向のままに歴代の政権が女性差別の構造をはびこらせてきたこと。この2つの大問題を断ち切るためには、県民の共同と、県の具体的な粘り強い取り組み、覚悟が必要です。知事は、その認識を、お持ちですか。お答えいただきたい。条例案をいったん取り下げ、こうした角度から、抜本的に見直して、再提出すべきです。知事の見解を、伺います。

 次に暮らしを守る経済対策と県職員の働き方に関して伺います。

 臨時国会の冒頭、岸田首相は30年来の「コストカット型経済」からの「脱却」を表明しました。長期に渡る「コストカット」によって経済の停滞と後退を招き、暮らしの困難が続いているところに物価高騰が襲った、ここに国民の生活苦の深刻な実態があります。
 では何がコストカットされてきたか。1つに労働法制の規制緩和で非正規雇用を拡大した人件費カット、2つに消費税増税、一方で法人税は減税という法人税カット、3つに社会保障制度の連続改悪・企業の社会保険料カットであり、いずれも財界・大企業の利益のための「コストカット」を続けてきた自民党政治によってもたらされたものです。そこで伺います。自民党政治によって長年「コストカット型経済」が進められてきた、ここにこそ今日の日本経済の後退・衰退の最大の要因があると思うが、どうか。
 最大の問題は、働く人、賃金をもコストカットの対象にしてきたことです。働く人をコスト扱いし、簡単に切り捨てられる非正規を拡大し、雇用が破壊されてきました。その結果、長期にわたって実質賃金は減り続け、暮らしが追い詰められてきたのが実態です。
働く人をコスト扱いし、賃金のコストカットは絶対にやるべきではない、ただちに改めるべきと思うが、知事の認識をお答えください。
 では、公務の職場、千葉県ではどうか。千葉県でも非正規職員拡大の流れが加速しています。13年間で見ると、2010年度、知事部局の職員総数は8,814人でした。これが昨年度は9,745人と、931人約1割増となっています。一方で、時間外手当を除いた人件費の決算額は、13年前の803億円から、昨年度は703億円と100億円も減っています。職員は増えているのに人件費はマイナス、この要因の一つは、非常勤職員の拡大、中でも1.7倍にもなっている週29時間勤務のパートタイム会計年度任用職員の増加によるものと言えます。そこで伺います。自治体業務の専門性・継続性・平等性・公平性を担保するためにも、「常勤職員が基本」の雇用へ転換すべきと思うが、どうか。お答えください。
 増加している週29時間パート職員の処遇改善も急務です。一般事務補助で経験1年未満の場合、時給1044円と最低賃金ギリギリで、報酬は月131,200円程度、生活できる賃金とは到底言えません。時給1500円へ引き上げれば、月約19万円となります。ただちに時給1500円まで引き上げ、生活できる賃金を保障すべきと思うがどうか、お答えください。
 さらに深刻なのは児童相談所の夜間生活指導員の処遇です。勤務時間は午後5時から翌朝の8時半までで、拘束15.5時間、実働9時間で報酬は1回9600円。時給に換算すれば1067円と最低賃金はクリアしているものの、コンビニの深夜バイトより低い。だから夜間生活指導員は定員の65%程度、42名も不足しているのが現状です。そこで、児童相談所の夜間生活指導員の報酬を抜本的に引き上げるべきと思うが、どうか、お答えください。
 昨年度から男女の賃金格差が公表されており、知事部局の男性給与に対する女性給与の割合は84.3%、総合企画部では71%でした。勤続16年から20年で、年約69万円もの男女の賃金格差が生じています。
 県の「女性職員活躍推進プラン」では、「すべての女性職員が、その役職や職場を問わず個性・能力が発揮されることをめざす」としています。であるならば、安心して職務に専念できる給与、制度、処遇へと改善していくことが必要です。そこで伺います。同一価値労働同一賃金、均等待遇が当たり前とする処遇の改善は急務であり、男女の賃金格差を是正すべきです。ご答弁下さい。

 次に高齢者の命と尊厳を守る介護について伺います。

 介護を社会で支える目的をかかげ、2000年に介護保険制度が導入されてから23年。国は「軽度」者からのサービスの取り上げ、利用制限、利用料「1割」から「2割」「3割」へ引き上げ、介護施設の食費・部屋代の負担増、保険料の値上げなどを連打し、介護離職や介護疲れによる痛ましい事件なども後を絶ちません。由々しき事態です。
これでは「保険あって介護なし」と批判されても当然です。知事もそう思いませんか。国に制度改悪、利用者の負担増を中止するよう求める必要があります。ご答弁下さい。
 たとえば県内の特養ホームの入所希望者は7月1日現在1万2318人もいます。深刻なのは独居と高齢者のみ世帯あわせて3628人いることです。このうち独居の要介護度5は287人、高齢者のみ世帯、いわゆる老・老介護は326人。入所したくてもできないのです。そこで伺います。「介護の社会化」、高齢者本人や、家族の「尊厳」は保障されているなどと到底言えません。所見をお聞かせ下さい。
 県は、特養ホーム創設などに要する経費として一床あたり450万円助成しています。今年度676床分を見込んでいますが、10月末現在の申請は196床に過ぎません。県はもっぱら物価高騰の影響と言います。確かに建築資材などの値上げの影響は否定しませんが、しかし、果たしてそれだけが主要な要因なのでしょうか。せっかくの先進的な、全国3番目の助成制度が十分にいかされない要因がどこにあるのか、しっかりと分析して、対策を講じる必要があると考えます。いかがですか。
 私は、特養ホームの整備を市町村任せにしている県の姿勢を改める必要があると思います。2022年度、23年度の県の整備計画数は2743床で、入所希望者を解消できるものになっていません。その整備数は1706床。計画数よりも1000床以上も少ない。県の計画数が市町村の計画数を積み上げただけではダメだということです。県の責任で、お金があってもなくても、貯蓄がなく年金だけで暮らしている高齢者世帯でも、希望すれば特養に入所できるようにするべきだと思いますが、県のお考えをお聞かせ下さい。
 もう一つは、介護労働者の待遇改善です。特養ホームの建物だけつくっても、そこで働く職員を確保できなければ特養ホームは機能しません。県内の介護関係者からは「給与をあげて人材確保したい。でも経営が厳しく費用がだせない」との訴えが寄せられています。必要な人手を確保できないことが大きなネックになっています。
 今年度も県は、介護人材対策にとりくんでいますが、肝心の職員の待遇改善は後景においやっていませんか。県の説明によれば、2022年度、介護労働者の賃金は全産業平均の月34万円より8万2000円も少なく、特養ホームの常勤で24万6750円、非常勤は17万1820円に過ぎません。国が公費負担を増やすべきです。そのうえで、わが党は、介護3施設職員の待遇改善のため当初予算組替えを提案しましたが県としても待遇改善の助成をするなど、より積極的なとりくみを求めます。ご答弁下さい。

 次に、子育て世帯の負担軽減と学生・若者支援について伺います。

 物価高騰は現役世代も直撃し、義務教育でも、ランドセル、制服、体操服、上履き、教材費、給食費、修学旅行費などの「隠れ教育費」が大きな負担となっています。
 文部科学省の「子供の学習費調査」は、全国2~5万人の児童・生徒の保護者対象に鉛筆1本まで詳細に、2年おきに実施するものです。行事などが制約されたコロナ禍の2021年度調査では、公立小1の学校でかかる費用は平均16万7千円。中1では約24万円。義務教育9年間で部活を除いても約114万円にも上っています。修学旅行などは教育の一環です。憲法で「義務教育は無償とする」と定められているにもかかわらず、これだけの負担がかかることをどう受け止めますか。知事の認識をお聞かせください。
 全国では義務教育・子育てへの支援が広がっています。東京都の「018サポート」は、子どもたちの成長を切れ目なく支えるために、0~18歳に月5千円、年間6万円を所得制限なしで支給します。千葉県は今年度、小1から高1までの1万円1回きりです。子育て支援にかかる給付金の金額と対象を拡充し、継続すべきではないでしょうか。お答えください。
 義務教育での給食費負担は約35万円、学校でかかる費用の3割を占めます。昨年4月時点で給食費を無償化した県内市町村は、全小中学生実施の9を含め、何らかの無償化実施は19。今年4月は全小中学生12を含め、何らか実施は53へと、1年間で大きく広がりました。日本共産党は、長きにわたり給食費の無償化を主張してきたので、千葉県の第一歩は大歓迎です。今問われているのは次の2歩目。知事、決断はいつでしょうか。
 高等教育の学費は、学生だけでなく世代を超える負担になっています。大学4年生は「有利子も含めて奨学金を目一杯借りているから、返すのが大変」と語り、70代の方は「孫の大学進学にあたって子どもから、『奨学金を借りてもまだ足りない、学費の援助をしてほしい』と言われたが、助けたくてもこっちの老後の資金がなくなってしまう」と訴えられました。胸が痛みます。
 大学の初年度納入金は、国立約82万円、私立は平均136万円にも及びます。その一方で、奨学金は貸与制が中心のため、卒業生の3人に1人が平均300万円の借金を背負って社会に出る。その総額は約10兆円にもなります。学生や保護者の負担能力を超えた高学費とバイトに追われる学生生活の改善は、学生や大学、企業や社会にとっても待ったなしの課題ではないでしょうか。知事の受け止めを伺います。
 この間、学生を支える学費無償化が各地で進んでいます。東京都は来年度から都立大学の授業料を実質無償に。大阪府や兵庫県でも、大学の授業料を所得に関わらず無償化すると。ところが千葉県では、県立保健医療大学、県立の鶴舞と野田の看護専門学校、県立農業大学校の入学料、授業料の減額・免除しか行っていません。千葉県として、県立大学や専門学校の入学料・授業料を無償化すべきではありませんか。お答えください。
 都道府県独自の奨学金事業は20、奨学金返還支援事業は37自治体で実施されています。千葉県の児童養護施設等退所者に対する奨学金制度は年30万円・10名の限定的なものですが、他県では様々な事業が実施されています。例えば岐阜県は、移住促進・人材確保のため、将来Uターン希望の県外大学生に月額6万円、年最大36万円4年間の奨学金貸与、卒業後に県内居住・就業で返還を全額免除。実質、奨学金給付で今年度新規120名、予算は県単独2億6200万円です。東京都の中小企業人材確保のための奨学金返還支援事業は、上限150万円、企業と都が1/2ずつ3年間助成。岩手県は、Uターン・Iターンし県内企業に就業したら、上限250万円を企業と1/2ずつの返還を支援しています。伺います。千葉県でも、奨学金制度の給付額と対象を抜本的に拡大し、奨学金返済支援を行い、学生・若者の学びを支えるべきではありませんか。お答えください。

 最後に水害対策について伺います。

 今年6月3日の豪雨では、県管理河川の真間川と派川大柏川の合流部付近が増水し、「このまま降り続いたら怖い」と、近隣住民から不安の声が寄せられました。
 8月、周辺住民は、川の中の水面から2、3mにまで伸びたヨシやガマなどの植物の根元からの除草、堆積土砂の浚渫を要望しました。しかし、水面上で伐採されたために、すぐに植物が成長し、流れてきたごみが引っ掛かっている状態です。
 埼玉県は、堀込河川の場合「葦などの伐根の実施が効果的である場合は、浚渫による方法も検討する」としています。流下能力を確保するために、堀込河川である派川大柏川河道内は根から抜く伐根で植物の成長を抑制してこそ、豪雨時の水位上昇や氾濫防止につながるのではないでしょうか?国の緊急浚渫推進事業を活用した堆積土砂の掘削は、派川大柏川浄化施設付近だけでなく、派川大柏川の全体・河道内も対象に行うことを求めます。
 市川市内では、今後も局地的な豪雨による都市型水害などが懸念されます。北千葉道路などの、巨額をかけ見通しが立たない巨大道路建設よりも、地域住民の生活の安全、防災対策にこそ、知恵と予算をかけるべきではないでしょうか。

 以上、一回目の質問とします。

◎熊谷俊人知事
 共産党の浅野ふみ子議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、経済対策についてお答えをいたします。
 賃金についての御質問ですが、賃金は労働の対価として、事業主が労働者のスキルや経験などを踏まえ適切に労働者に支払うものであり、持続的に上昇することが望ましいことから、国や県では、賃上げと消費拡大、企業の成長という好循環の実現に向け、企業における適正な価格転嫁や生産性向上などを促すための施策を講じているところです。
 次に、子育て世帯と学生の負担軽減についてお答えをいたします。
 進学における学生の負担軽減と奨学金制度については関連いたしますので、一括してお答えをいたします。本県では、千葉県社会福祉協議会において、進学や就学の継続により世帯の将来的な自立につなげるため、低所得世帯を対象に無利子で教育支援資金の貸付けを行うとともに、独り親家庭の学生には母子父子寡婦福祉資金制度により無利子の修学資金等の貸付けを行っています。また、本年3月には、県民や県内企業等からの寄附により、児童養護施設などで育った子供たちを対象とした返済不要の奨学金制度を創設したところです。
 私からは以上でございます。他の質問につきましては担当部局長からお答えをいたします。

◎冨沢昇総合企画部部長
 多様性に関する条例についてお答えいたします。
 まず、パブリックコメントについての御質問ですが、パブリックコメントでは1,279件と多くの意見をいただいたところであり、それぞれの内容について丁寧に検討いたしました。その結果、いただいた意見の多くは、既に骨子案の中に趣旨が含まれているものや条例制定による影響について懸念を示されたものであって、条例の趣旨や内容の理解促進を図ることで対応すべきものと判断し、条例の内容の修正は行いませんでした。
 なお、いただいた意見は、今後の施策の検討をする際に参考にさせていただきます。
 次に、人権尊重が大前提であることと人権尊重を明記していない条例の実効性についての2問は関連しますので、一括してお答えします。
 私たちの社会は年齢や性別、国籍、障害の有無など、様々な違いがある人々で構成されていますが、こうした違いにかかわらず、人権が尊重され、差別や生きづらさのない社会を築いていくことは大変重要だと考えています。そのため、条例案において、あらゆる人々が差別を受けることなく、一人一人が様々な違いがある個人として尊重され、誰もが参加し、その人らしく活躍することができる社会をつくっていく必要があることを明記し、人権への配慮が必要なことを明らかにしております。この条例の下、差別や生きづらさがなく、誰もが自分らしく生き、活躍できる社会づくりを進めてまいります。
 次に、男女共同参画についての御質問ですが、条例案では、男女共同参画社会基本法の目的や基本理念も踏まえ、第2条において、「男女のいずれもが、性別を理由とする不利益を受けることなく、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画し、共に活躍している社会」の実現を目指すことを規定しております。
 次に、県民の理解と条例案の再提出についての2問は関連しますので、一括してお答えします。
 条例案では、基本理念において、男性も女性も性別を理由とする不利益を受けることなく、社会のあらゆる分野に参画し、共に活躍している社会を掲げており、共同参画、男女平等の趣旨は包含していると考えています。また、あらゆる人々が差別を受けることなく、一人一人が様々な違いがある個人として尊重され、誰もが参加し、その人らしく活躍することができる社会をつくっていく必要があることを明記し、人権への配慮が必要なことを明らかにしています。こうしたことから条例案の再提出は考えておりませんが、今後とも条例の趣旨や目的について理解促進に努め、県民の皆様とともに、多様性が尊重され、誰もが活躍できる社会づくりに取り組んでいきたいと考えています。
 最後に、女性差別に関する認識についての御質問ですが、男性と女性の関係性や家族の姿に係る考え方については、男女共同参画白書における記述など、様々なものがあると承知しています。これまで我が国では、男女雇用機会均等法や男女共同参画社会基本法等の法律を定めるなどして、女性が置かれている状況への対応が進められてきているものと認識しています。県においては、男女共同参画社会の実現のため、女性の活躍の促進が重要であるとの考えの下、企業経営者等への働きかけや県行政における女性登用促進など、意思決定過程への女性参画の促進に向けた取組を進めてまいります。
 以上でございます。

◎冨塚昌子教育長
 多様性の尊重と性教育に関する御質問ですが、県教育委員会としては、学校教育においても多様性が尊重され、誰もが活躍できる社会の形成に寄与していくことは重要であると考えます。学校では、児童生徒に対し、様々な場面で互いを尊重し、理解し合うことの大切さなどについて指導するほか、性に関する教育としては、学習指導要領に基づき、児童生徒の発達段階を踏まえた上で計画的に実施しています。
 義務教育の無償についての御質問ですが、憲法第26条に定める義務教育の無償の趣旨を踏まえ、教育基本法において、国または地方公共団体の設置する学校における義務教育については授業料を徴収しないと規定されています。併せて教科用図書の無償措置や就学援助についても、法律に基づき制度化されていると承知しています。
 最後に、学校給食費無償化についての御質問ですが、子供が多い世帯について経済的負担の軽減を図るため、本年1月より第3子以降を対象とした給食費無償化を開始したところであり、本事業を円滑に実施してまいります。
 以上でございます。

◎野村宗作商工労働部長
 今日の日本経済についての御質問ですが、日本経済はバブル経済が崩壊した後、景気が急激に悪化し、消費者の支出意欲が低下するとともに、企業が投資を控え、物価が上昇しない状況が続いてきたところですが、国では現在、持続的な賃上げや活発な投資が牽引する成長型経済への変革に向け総合経済対策を取りまとめ、進めているものと認識しております。
 以上でございます。

◎鎌形悦弘総務部長
 まず、職員の雇用形態についての御質問ですが、公務の能率的かつ効果的な運営を推進するため、従事する業務の性質などを踏まえながら、引き続き常勤職員と非常勤職員の適切な配置に努めてまいります。
 次に、会計年度任用職員の報酬の引上げに関する2問は関連しますので、一括してお答えいたします。
 会計年度任用職員の報酬額については、常勤職員の給料表を基礎として勤務時間に応じた額としており、適正なものと認識をしております。今後も会計年度任用職員の報酬について適切に対応してまいります。
 次に、職員の給与についての御質問ですが、職員の給与については、常勤職員は地方公務員法に定められた給与決定の原則に基づき、人事委員会の勧告にのっとり改定をしているところであり、また、会計年度任用職員は常勤職員の給料表を基礎として勤務時間に応じた額としており、いずれも適正なものと認識をしております。
 以上でございます。

◎高梨みちえ健康福祉部長
 私からは高齢者の尊厳を守る介護についてお答えいたします。
 まず、介護保険制度についての御質問ですが、現在、国では負担の公平性と制度の持続可能性を高める観点から、社会保障審議会介護保険部会などにおいて、介護保険における利用者負担や保険料負担について検討されているところです。県としては、国の動きを踏まえて、引き続き介護保険制度が適切に運営されるよう努めてまいります。
 次に、介護の社会化等についての御質問ですが、県では、介護が必要になっても安心して自分らしく暮らせる地域社会の構築に向け、介護サービスの充実や質の確保などの施策を進めています。特別養護老人ホームをはじめとする介護施設については、必要な方が一人でも多く入所できるよう、地域の実情を把握している市町村と連携し、計画的に整備を促進しているところです。
 次に、特別養護老人ホームへの助成制度についての御質問ですが、県では、特別養護老人ホームの1床当たりの補助単価を全国上位の450万円として整備を促進しているところですが、介護人材の確保が困難であるなどにより事業者の応募が得られないことがあります。今後も地域における社会資源や高齢者のニーズを把握している市町村と連携し、整備を促進してまいります。
 次に、年金で暮らす高齢者世帯等の特別養護老人ホームへの入所についての御質問ですが、介護保険制度においては、所得の低い方等が特別養護老人ホーム等に入所した場合、居住費や食費に補足給付を支給するなどの負担軽減措置が設けられています。施設の入所が過剰な負担とならないよう、一定の配慮がされているものと認識しています。
 次に、介護職員の処遇改善についての御質問ですが、介護職員の処遇については、従来、国が定める介護報酬において処遇改善加算が実施されており、現在、令和6年度の改定に向けた検討が行われているところです。今後もさらなる処遇改善が図られるよう、国に要望してまいります。
 最後に、子育て世帯と学生の負担軽減についてお答えいたします。
 子育て支援に係る給付金についての御質問ですが、本給付金は、子供の習い事や体験活動が活発になる小学校1年生から中学校3年生までを対象に、また、制服や教材等の購入費の負担が大きい高校1年生を対象に、物価高騰の影響を踏まえ、1人当たり1万円の給付を臨時に行うこととしたものです。
 以上でございます。

◎鈴木貴士保健医療担当部長
 私からは子育て世帯と学生の負担軽減についてお答えいたします。
 県立大学、専門学校の入学料、授業料の無償化についての御質問ですが、大学等の学費等については、大学等における修学の支援に関する法律に基づき、令和2年度から授業料等減免制度の創設や給付型奨学金の支給拡充といった新たな措置が講じられており、本県の県立大学等においても適用されているところです。今後の国の動向を注視するとともに、引き続き県立大学、専門学校における修学支援に取り組んでまいります。
 以上でございます。

◎池口正晃県土整備部長
 初めに、派川大柏川についての御質問ですが、県では、河道内の草木の繁茂状況や土砂の堆積状況を把握した上で、治水上、優先度の高い箇所から順次支障となる草木の伐採や堆積土砂の撤去を行っているところです。派川大柏川では、除草を行う場合には根元から刈り取り、堆積土砂を撤去する場合には根の部分も撤去するよう努め、今後とも現地の状況を確認し、適切に対応してまいります。
 次に、巨大道路建設よりも防災対策に予算をかけるべきではないかとの御質問ですが、北千葉道路を含めた道路ネットワークの整備は、県民生活の利便性向上とともに、災害時の円滑な物資輸送や救命救急活動にもつながることから必要不可欠な事業と認識しています。また、県民の安全・安心を確保する河川整備などの治水対策も重要な事業であり、今後も必要な予算を計上し、着実に推進してまいります。
 以上でございます。

◆浅野ふみ子議員
 多様性尊重条例について、内容、趣旨の理解促進に努めるというふうにおっしゃいましたが、だったら、とっくに差別はなくなっているんじゃないでしょうか。
 伺います。ジェンダー不平等は、自然にできたものでも人々の意識だけの問題でもありません。時代逆行の家父長制にしがみつき、女性の経済的自立を阻む構造、制度を変えることが私は必要だと思いますが、改めて知事の認識をお答えください。
 国内でも企業の男女賃金格差の公表や性暴力根絶に向けた刑法改正、同性婚やトランスジェンダーの権利をめぐる画期的な司法判断などの変化が今起きています。本条例案は、この時代にふさわしいものになっているでしょうか。お答えください。
 今、女性の置かれている実態は本当に深刻です。子育て中の女性が再就職の面接で、子供が熱を出したらどうするの、突然休まれたら困るんだけど、こういうふうに言われたり、単身高齢女性は住まいを借りることも難しいという、女性であることが不利益になる実態。世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数125位の現状が現に存在しています。
 伺います。この差別や生きづらさ、苦しみをなくすために県がイニシアを発揮すべきです。この生きづらさを解消する効力は条例のどこにあるのでしょうか。
 記者会見で知事は、先鋭的なことが千葉県で行われるわけではないと強調し、多くの自治体で実施しているものさえも具体化しません。それでは県民の願いに応えることはできません。本条例案を一旦取り下げ、差別禁止、ジェンダー平等の実効性のあるものへと、県民とともに抜本的に見直して再提出することを改めて求めます。
 次に、知事部局の男女の賃金格差ですが、適切に、こういうふうに言っていましたけども、同一条件で定年まで約38年間勤め上げた場合、賃金格差は1,600万円から1,700万円となります。
 そこで伺います。知事はこの現状を御存じですか。間接差別をこのまま放置はできない。直ちに是正しなければならないと思いますが、どのように格差是正を図るのか。お答えください。
 給食費について、全国知事会で、知事は全国一律での無償化が必要と強調しましたが、国頼みでなく、限定的な第3子だけでなく、全ての子供を対象に給食費を無償化した場合、県予算に占める割合はたった0.5%です。その気になればできるはずです。
 伺います。集金が遅れがちで朝御飯を食べてこない子、一人っ子がいます。まさしく給食が命綱になっていると言っても過言ではありません。全ての子供の給食費の完全無償化を強く求めます。お答えください。
 学生の置かれている実態についても国の動向を注視するなどと、千葉県でできることもやろうともしない、そういう姿勢でした。この間、コロナと物価高騰の影響を大きく受けている学生を対象に、寄附のお米、野菜などの食料配布事業が青年団体によって県内で247回開催され、延べ1万564人の学生が支援を受けました。1日2食だったから本当に助かりましたとの声が寄せられています。こういう支援は、本来は政治の役割です。
 日本も批准している国際人権規約は高等教育無償の導入をうたい、学費値下げ、無償化は世界の流れです。国の責任はもちろんありますが、教育基本法第16条4項には、「国及び地方公共団体は、教育が円滑かつ継続的に実施されるよう、必要な財政上の措置を講じなければならない。」とあります。
 伺います。決算によれば、県立保健医療大学の授業料収入は約3億6,000万円、鶴舞看護約1,200万円、野田看護約2,100万円、農業大学校約1,400万円、合計約4億1,000万円です。授業料無償化はできない金額ではないはずです。もう一度お答えください。
 奨学金返還支援代理返還制度は、日本学生支援機構が2021年度から開始しました。企業が直接奨学金を送金すると、その分は本人に所得税がかかりません。企業は賃上げ促進税制の対象として、法人税減税などの適用を受けるメリットがあります。だから、県内でも既に多くの企業が実施をしています。兵庫県は企業142社と従業員540人を対象に、企業と本人に年最大6万円ずつ、最長5年補助し、労政福祉課雇用就労班の担当者は、奨学金返還は生活への影響が大きく、まだまだ周知しなければいけないと、こういうふうに話をしています。千葉県内の経営者団体は、奨学金について私たちも何かできないか、こういうふうに言っています。
 改めて伺います。千葉県でも、企業と協力して奨学金返還支援事業で若者の就業と生活支援、さらに地域経済の活性化につなげるべきではないでしょうか。内部留保を増やしている大企業への立地補助金を削減し、取り組んではいかがですか。お答えください。
 以上、2回目の質問とします。

◎冨沢昇総合企画部長
 多様性条例についてお答えいたします。
 制度を変えるべきといった御質問ですけども、これまで我が国においても、様々な法律の制定、改正などによって、女性が置かれている状況への対応が進められてきているものと認識しており、県においても様々な取組を今後ともしていくものと考えております。
 それから、今にふさわしいのかというお話でございますが、条例案は、男女共同参画社会基本法の目的や基本理念も踏まえてつくっているものと考えておりまして、この条例の下で、男女共同参画社会の推進に向けてさらに取り組んでいくことが求められているものと考えております。
 それから、実効性の問題かと思いますが、条例案では、「あらゆる人々が差別を受けることなく、一人ひとりが様々な違いがある個人として尊重され、誰もが参加し、その人らしく活躍することができる社会をつくっていく必要がある」ということを明記しており、差別や偏見については、こうした様々な違いを受け入れ、互いを認め合う中でなくしていけるよう、多様性尊重の意義について、しっかり理解促進を図っていくことで実現してまいりたいと考えております。
 実効性があるものとして再提出ということですが、今回、様々検討し、多くの意見をいただいた上でつくらせていただいております。再提出については考えておりません。
 以上でございます。

◎鎌形悦弘総務部長
 職員の給料格差に関する御質問ですが、職員の給料につきましては、常勤職員は地方公務員法に定められた方法に基づきまして、人事委員会の勧告などにのっとり改定をしているところであります。また、会計年度任用職員等の非常勤職員などにつきましても、常勤職員の給料表を基礎としながら金額を決めております。いずれも適正な対応をしていると認識をしております。
 以上でございます。

◎冨塚昌子教育長
 学校給食費について、全ての子を無償化にという御質問でした。学校給食については、本来、国が制度設計すべきと考えており、引き続き国に市町村への財政支援について要望してまいります。県としては、第3子以降を対象とした無償化について、円滑に実施をしてまいります。
 以上でございます。

◎鈴木貴士保健医療担当部長
 県立大学、専門学校の入学料、授業料の無償化等に関する御質問ですけれども、令和2年度に法律に基づき全国的に導入された制度につきましては、国においても制度の改正等の検討がなされていると承知しております。今後も国の動向を注視するとともに、引き続き県立大学、専門学校における修学支援に取り組んでまいります。
 以上でございます。

◎高梨みちえ健康福祉部長
 奨学金等に関する学生への負担軽減の御質問でございますが、奨学金の返還や学生の負担軽減につきましては、現在、国において就学支援や奨学金制度の検討が行われているところであると承知しておりますので、県としても、国の動向を注視してまいります。
 以上でございます。

◆浅野ふみ子議員
 差別をなくすことはできないと思います。今までいろいろと御答弁いただきましたが、多くの女性や性的少数者の皆さんの願いに応えるものにはなっていないんじゃないでしょうか。あらゆる差別をなくすための具体策もない、県民一人一人の人権の尊重。人権に配慮するって、そういうふうに言うんだったら、ちゃんと条例に書くべきです。多様性の尊重もできないような、そういう条例では、これでは男女共同参画条例を包含することはできないと思います。本条例案を一旦取り下げて差別禁止、ジェンダー平等の実効性のあるものへと県民とともに抜本的に見直していく、そういう作業が本当に必要だと思います。再提出すべきだということを改めて、これはちゃんと明確に言っておきたいと思います。
 今、大変な物価高騰が続いています。実質賃金が18か月マイナスとなる異例の事態です。非正規職員のこの給与については適正だって、こういうふうにおっしゃいますが、生活できないような賃金です。介護労働者の処遇の改善も行っているというふうに言っていますけれども、この改善、待ったなしではないでしょうか。他県では介護職員や教員の奨学支援、返還支援も行っています。様々な支援ができるはずです。千葉県には県民の命と暮らし、尊厳を守り、福祉の向上に奮闘することが求められていると思います。国の動向を注視する、国に国にって、国ばかりじゃなくて、県としてできることを真剣に考えるべきではないでしょうか。
 日本共産党は非正規ワーカー待遇改善法を提案しました。働く人、高齢者、若者、学生、女性の暮らしと人権を守る県政への転換を目指し頑張ることを申し上げ、質問を終わりとします。