【2023年6月県議会】日本共産党 加藤英雄県議 一般質問

政策

【2023年6月県議会】日本共産党 加藤英雄県議 一般質問

日本共産党を代表し質問いたします。

 はじめに知事の政治姿勢についてうかがいます。

 岸田内閣の「敵基地攻撃能力の保有」ついて県は2月議会で、政府文書に書かれていることを紹介するだけで終わり、自衛隊員や県民の命がかかった重大事態だという認識は、みじんも感じられませんでした。しかし実態は極めて深刻です。その一つは攻撃した国から日本が、核兵器を含む報復攻撃を招くことを防衛省が想定していることです。攻撃されても持ちこたえられるように防衛省は「基地強靱化計画」を進め、その対象に自衛隊の松戸や習志野、下総基地などが含まれています。県内の基地への攻撃を想定した強靱化計画を進めていることについて、知事はどう認識しているのか、お答えください。国は、基地の強靭化は進めるものの周辺の住民や住宅への対策はまったくありません。これでは「基地が残って民滅ぶ」となるのは明らかだと思うが、知事の認識はどうか。
岸田内閣が報復攻撃の危険を冒してまで「敵基地攻撃能力の保有」を進めているのは、アメリカの要請があるからです。米空軍機関紙に掲載されたアメリカの「戦略構想」には、「すべてのプレーヤー・コーチが、同じプレーブックを持ち、一緒に訓練し、敵からは一つのチームとして見られる」ことが必要だと書かれ、アメリカの世界戦略のために自衛隊と米軍の一体化を求めています。
このもとで千葉県内でも日米一体化が進んでおり、習志野演習場では日米共同訓練が4回も行われています。降下訓練始めには2017年以来、米軍が参加し、今年はイギリス軍やオーストラリア軍も加わって、まるで自衛隊が多国籍軍の一員になったかのような光景が広がりました。
習志野演習場は、パラシュート降下訓練を実施している演習場では全国で最も狭いのに、年間7千回という全国最多の降下訓練が行われています。その結果、演習場の外に誤って落下する場外降着事故も2年に一度という頻度で起きており、重大事態を招きかねません。日本を守るためではなく、アメリカの起こす戦争への参加で千葉県に戦禍がもたらされるようなことが許されるのか、知事の認識を伺います。少なくとも人口密集地での訓練は中止するよう国に求めるべきと思うがどうか、お答えいただきたい。
 戦争への準備は自衛隊の強化だけではありません。3月に武器見本市が幕張メッセで開催されました。2月議会では、「産業の振興等を目的として開催するもの」と答えていましたが、人の命と引き換えの産業振興などあっていいはずがありません。幕張メッセでの武器見本市はすでに4回も開かれており、主催者は次回の開催も公表しています。武器や装備品の目的は人の命を奪うことだと思いますが、知事はどうお考えか、認識を伺います。
 そもそも地方自治法では、幕張メッセのような公の施設の設置目的は「住民福祉の増進」であり、人の命を奪う武器の展示会はその対極をなすものです。「武器見本市」に県有施設を貸し出すようなことがあってはならないと思うがどうか、お答えください。
県議会が決議した「非核平和千葉県宣言」は、「理性を信頼し全世界の協力により、戦争という手段によらずに紛争を解決する道を追求するものである」と高らかに謳っています。千葉県が今やるべきは「宣言」の立場に立って、武器に頼らず平和をつくりだすために力を尽くすことではありませんか、お答えいただきたい。
 ひとたび武力衝突が起きれば、人の命が失われ、紛争の解決は遠のき、話し合うことすら容易ではなくなります。日本にいま必要なのは外交努力です。中国と日本との間には、2008年に「互いに脅威にならない」とする合意が結ばれ、2014年には尖閣諸島をめぐって「対話と協議」で解決すると合意しています。こうした合意を土台にして憲法9条を生かした外交努力を進めることが、自衛隊員はもちろん誰の命も犠牲にせず、国際紛争を解決していく唯一の保障だと思うがどうか、お答えください。


 次に、新型コロナ対策について伺います。政府は、新型コロナの感染症法上の位置付けを5月8日「5類」に引き下げ、県も対策本部を廃止しました。しかし、3年間で県内では感染大爆発が8回も起こり147万8243人が感染し、今も緩やかな感染増加傾向にあります。検査や医療が十分に受けられず、3944人の尊い命が失われた痛恨の事態を、知事はどう受け止めているのか。二度と繰り返してはならないと思うが、知事の見解をまず伺います。
県は、「5類」引き下げに際し、「振り返り」を公表しました。しかしそこからは、県行政に生かすべき教訓は何なのかなど、命を守るための抜本的な打開策は見えてきません。
そこで、第1にいま県がやるべきは、感染症対策の最前線にたつ保健所を増設し、強化することです。県は、保健所の「ひっ迫」に対し、全庁から、延べ3万9千人の県職員を始め、総計で4万人以上を動員しましたが、それでも人手不足で3年連続、長時間労働が繰り返される異常な事態となりました。県は今後も、応援や外部委託を「より早い時期から」などと言いますが、同じことの繰り返しでは、根本的な打開策にはなりません。
 かつて1988年に18あった県保健所を13に減らし、検査課は7保健所に半減させた、ここにコロナパンデミックが直撃したのですから疲弊するのは当然です。加えて、例えば松戸保健所の管轄人口は、83万5千人にもなっており、これでは十分な対応などできるはずはありません。せめて人口30万人に1か所程度に保健所を大幅に増設することと、それに見合う保健師など職員の大幅増員計画を策定し、早急に着手すべきです。当面、県保健所全てに検査課を復活すべきです。答弁を求めます。
2つめにやるべきは、脆弱な医療提供体制を今度こそ、抜本的に強化することです。県は「振り返り」で何度も「医療の逼迫」を指摘し、今後の「病床確保」を強調しています。しかし、いまだに急性期病床を大幅に削減する「地域医療構想」を推進するなど、言語道断です。そもそも医師、看護師、病床数が全国最下位クラスの県がなすべきことは明白です。地域医療構想はキッパリと中止し、県として十分な医療体制を整備し、医師看護師等の確保に全力を挙げるべきです。お答え下さい。
そのうえで、今、国も県も、コロナはもう特別ではないからなどと、医療機関への支援の縮小・廃止などを打ち出していますが、やることが逆さまではありませんか。感染の再拡大に備え、医療機関への支援を継続し、入院に必要な病床を維持確保すべきです。答弁いただきたい。
千葉県保険医協会のアンケ一ト結果によれば、人やスペースがないなどの理由で2割のクリニックがコロナ診察は困難と訴えています。医療機関の実態や要望を丁寧に把握し、県独自に新たな支援を行うべきです。お答えいただきたい。
 最後に、検査も治療も無料でできることが、感染拡大を防ぐために必要です。誰でも無料で何度でもできる、検査体制を再構築するとともに、高齢者、障害者、保育施設等での定期検査等を復活させるべきです。お答えください。
 また、「5類」移行に伴い、検査や治療に対する公費負担が廃止削減され、費用負担が大幅に増えたことから、検査や受診控え、治療の中断などがつよく懸念されています。このままでは感染が広がり、クラスタ一発生や死亡者の増大を招きかねません。患者負担をなくすよう国に求めると同時に、当面、県独自の支援策を講じるべきと思うがどうか、お答えください。

次に物価高騰対策と、インボイスの導入にかかわって質問します。
 物価高騰による国民生活と中小企業の経営悪化が深刻になっています。東京電力など電力大手7社は6月からの電気料金の値上げをいっせいに公表しました。帝国データバンクによれば食料品の値上げ品目も、昨年を上回る規模に拡大しています。
 物価・原材料の高騰は中小企業・小規模事業者の経営を直撃し、東京商工リサーチの調査によれば、県内の中小企業・小規模事業者の倒産が高い水準で推移しているとしています。県は5月補正で、中小企業対策を打ち出しましたが、対象が極めて限定されています。そこで、中小企業・小規模事業者の職種を問わず、支援が行き届く仕組みを構築すべきと思うが、どうか。お答えください。
 物価高騰対策で最も効果があるのが消費税の減税です。すでに100を超える国と地域で付加価値税の減税を行っており、日本でも消費税の緊急減税に踏み出すよう、国に求めるべきと思うがどうか、お答えいただきたい。
 加えて10月からの、適格請求書・インボイス制度の導入で、中小企業・小規模事業者はさらなる苦境に立たされることになります。現在、課税所得1000万円未満の事業主は消費税の免税事業者となっています。しかしインボイス制度になれば、業者登録して課税業者になりインボイスを発行して、多額の消費税を納入するか、あるいは、免税業者のままで、取引先から消費税分の値引きが強要されたり、取引から排除されたりで、事業縮小や廃業を選択するかが迫られることになり、地域経済にも大きな影響を与えることになります。財務省の推計では、現在の488万の免税事業者の内、新たに課税事業者になるのは、個人・法人合わせて161万事業者。1者あたり平均15万4千円の消費税納税が必要になり、合計2480億円の増税になると試算されています。県内の免税事業者数、インボイス登録する推計事業者数、推計増税額はどの程度になるのかお答えください。
 県内経済に大きな影響を与える一つは、建設業を支える一人親方です。全国約51万人の一人親方の平均年収は約400万円と言われ、全国建設労働組合総連合・全建総連の調査では、約1割の一人親方が廃業を考えているとされています。県内の一人親方の現状と、登録状況はどうか、推計される消費税増税額はどの程度か、お答えください。
 農業県千葉を支える販売農家への影響も大きなものとなります。全国では約107万戸の農家の中で、実に9割の農家が免税事業者と言われています。特例措置があるにしても期間が限定されています。県内農家のインボイスの取り組み状況はどうか。消費税増税額はどの程度か、お答えください。
 さらに深刻なのが、県内48の地域で、21800人もの高齢者の就労の場となっているシルバー人材センターの運営です。会員である高齢者に支払われる配分金には消費税が含まれているため、高齢者がインボイス登録しなければ、センターが支払う消費税額が一気に増えることになります。財務省の推計では、全国のシルバー人材センターの消費税増税額は約200億円とも言われています。そこで伺います。県内48のシルバー人材センターではどのように対応しているのか、推計増税額はどの程度か。県はどのような対策を講じるのか。
 以上みてきたように、県内経済の支え手である中小企業・小規模事業者の死活問題ともなるのがインボイス制度であり、免税業者をターゲットにした、税率を変えない消費税の増税そのものです。県内の事業者の混乱は必至であり、どの業種にも対応できる相談窓口を県に設置すべきではありませんか。県内経済を守り発展させるために、インボイスの中止を国に求めるべきではありませんか。あわせてお答えください。

次に教育問題について、依然として深刻な現状にある教員未配置について伺います。
 昨年度末、3月1日付の教員未配置は445人と過去最多となりました。さらに今年度も5月1日時点の未配置が203人と年度当初としては最も多くなっています。
 学校に必要な先生が配置されない、未配置の増加は学校現場の多忙化に拍車をかけていることに加え、憲法26条で保障されている子どもの学習権を阻害する要因ともなっているといえます。教育長は未配置の現状を「重く受け止めている」と繰り返し答弁していますが、現状ではいっそう広がるばかりではありませんか。
 そこで伺います。教員未配置が最多を更新し続けている現状について、教育長はどのような認識をお持ちか、この要因をどのように分析しているのか。
問題の一つは、定数内の欠員、定欠未配置が最多になっていることです。小学校の定欠未配置は、昨年の5月1日の61人から、今年度は68人にまで広がっています。
 「定数」は、標準法に基づき児童数、学級数に応じて措置される、法で担保されている教員数のはずなのに、年度初めから欠員を抱えたままのスタートとなっています。しかも2年連続で未配置最多を更新するという異常な事態が続いています。
教育長は「教職員定数は国が措置することが基本」と繰り返し答弁していますが、定欠未配置をなくすためにどのような対策を取ってきたのか。来年度、年度当初の定欠未配置をなくすためにどう対応するのか、それぞれお答えください。
文科省は今年の5月から7月まで産・育休取得予定者の代替教師を4月から前倒しで採用できる、いわゆる先読み加配の措置を取りました。しかし、県では小学校の場合、5月~7月の産・育休取得予定者が84人に対し、前倒し配置ができたのは49人、6割弱にとどまっています。
教員未配置の改善を図る対策として打ち出された、先読み加配が充分に活用されなかったのはなぜか、問題をどう捉えているのか、お答えいただきたい。
 問題は8月以降の対応です。小学校での、8,9月産休取得予定者は33人となっていますが、代替教師の見込みはわずか5人にとどまっているのが現状です。
これまでのような「事由が発生した時点での対処」では、傷口は広がるばかりです。県独自の先読み配置など、抜本的対策が必要と思うがどうか、お答えください。
問題の二つ目は、療養休暇代替教員の配置についてです。
これまで「国から定数が措置されない療養休暇の代替については」「県独自に休暇等補助教員として定数を確保して」おり、「年度当初からその定数を活用することは可能」と答弁していますが、依然として「事由が発生した時点で適任者を配置」する、休暇に入った時点から代替配置を行う方針は変えていません。そのため、年度の月を追うごとに療養休暇取得教員が増加し、代替配置が追い付いていないのが現状ではありませんか。
なぜ、休暇等補助教員を年度当初から採用し活用しないのか、お答えいただきたい。
これまでの療養休暇代替対策では対応できないことは明らかであり、県単定数分を年度当初から採用し、ただちに配置できる仕組みとすべきではありませんか、お答えください。

 次に、知事が進める、多様性の尊重などの新たな条例に関して伺います。
 知事は、「多様性が尊重され誰もが活躍できる社会の実現を図るため、千葉県らしい新たな条例制定を検討したい」と2月県議会で表明しました。わが党は、かねてから、ジェンダー平等を盛り込んだ条例の制定を求めており、新たな条例制定の検討に踏み込んだこの発言は前向きだと思います。
そこで、この条例は、今日的な国際社会や日本社会での人権意識の発展にふさわしい内容にすべきですが、何を盛り込む必要があると、知事はお考えか、お示しください。
 この新たな条例が実効性のある内容になるよう、基本的な視点について述べます。条例の目的には、全ての人の人権が尊重される社会の実現を、太く明確に据えるべきと考えます。埼玉県の、「性の多様性を尊重した社会づくり条例」の目的には、「多様である性の在り方の尊重について」、「全ての人の人権が尊重される社会の実現に寄与すること」が掲げられており、この人権尊重の観点が重要です。
 さらに条例の内容には、基本理念、県や県民の責務、公正な採用やハラスメント防止対策などを含む事業者の責務、市町村への支援、基本計画の策定、必要な制度の整備、相談体制等の整備などが欠かせないことは言うまでもありません。「ジェンダー平等」をはじめ、これらの内容を盛り込んだ県条例を制定すべきと考えるが、知事の所見を伺います。

 以上で1回目の質問を終わります。