【2021年6月県議会】日本共産党 加藤 英雄県議 議案・請願討論
日本共産党を代表し、議案、請願の主なものについて討論を行います。
まず、議案第1号一般会計補正予算案、第8号についてです。熊谷知事のもとで編成された、いわゆる「肉付け予算」となります。いうまでもなく、いま千葉県政がなすべき第一義的課題は、いまだ収束の見通しすら立たず、第5波の危険が迫っている、新型コロナウイルス感染症対策に、人と予算を集中し万全を尽くすことです。その点で今回盛り込まれている、医療提供体制の整備を中心とする感染症対策予算には、わが党も異論はありません。
しかし問題なのは、コロナ禍以前に計画された巨大事業が次々と具体化されていることです。
その一つが、新規に予算計上された千葉港千葉中央地区埠頭再編事業です。この事業は、2017年に策定された千葉港長期構想、その後の千葉港港湾計画に基づいて具体化されたものです。千葉港のコンテナヤードを拡張するため、中央埠頭の臨海部を約27ha埋め立てる、その第一期分として4haの埋立てを行おうと具体化されたのが今回の事業です。なぜコンテナヤードをこんなにも拡大しなければならないのか。長期構想策定時に示されたのがコンテナ貨物量の将来目標です。現在のコンテナ取扱量は、20フィートコンテナ換算で約10万個程度です。それが20年後には3倍になる、35年後には4倍になるという途方もない見通しを立てていながら、2017年のわが党の質問に、その目標量の根拠について、何一つ具体的に示すことはできませんでした。明らかに過大な見積もり、想定の下に策定されたのが千葉港長期構想だと言わざるをえません。しかも葛南地区では、第二湾岸道路を想定させる臨港道路建設も計画されています。
今回示された4haの埋立ても、いまだに総事業費は明らかにされていません。いくらかかるかわからない事業に、黙って判を押せとでもいうのでしょうか。あまりにも無謀ではありませんか。
二つ目に、北千葉道路の未整備区間の整備に動き出したことです。昨年度、国交省において、新規事業として採択されたのが、外環道北千葉JCTの東側のエリアで、自動車専用部1.9km、一般部3.5kmのいずれも4車線で、全体事業費は概算で1,900億円とされています。しかし都市計画決定された未整備区間は9kmですから、まだほんの一部が具体化されたにすぎず、総事業費はいったいいくらになるのか、県費負担はどこまで膨らむのか、全体像はまったく明らかにされていません。成田空港へのアクセス強化、周辺道路の渋滞緩和、災害時の緊急道路の機能強化などが、北千葉道路の目的とされていますが、この巨大道路建設に、いま突き進む必要があるのでしょうか。
一方で、県民の身近な通学路や生活道路を整備する、土木事務所の予算はどうか。土木事務所が行う交通安全施設整備に関わる予算は、今年度、要望額の83%しか予算化されていません。昨年度も一昨年度も71%程度しか予算化されず、土木事務所の要望額はカットされ続けてきました。加えて、交通安全対策に欠かせない信号機の設置は、昨年度の22基から、今年度15基へと激減しています。
6月28日の八街の、あの悲劇を二度と繰り返すな、県民の命と安全最優先へと予算執行の優先順位を抜本的に切り替えることが必要です。よって本議案に反対いたします。
議案第18号は、霞ケ浦導水事業の事業計画変更に伴い、参画水量を半減させ、東葛・葛南地区工業用水事業の給水能力を、日量127,200㎥から111200㎥へ変更しようとするものです。霞ヶ浦導水事業は1984年に着工し、茨城県の那珂川から霞ヶ浦まで43kmに渡って地下トンネルによって送水し、霞ケ浦から利根川までの2.6kmも同様の地下トンネルで導水するもので、全国的にも最大規模の導水事業であり、事業費は2,395億円に上ります。埼玉県は昨年、事業計画変更に伴い、導水事業からの撤退を表明しています。
東葛・葛南地区工業用水の、この10年間の一日最大給水量は70,000㎥程度で推移しており、契約水量の見直しも含め、本導水事業からは撤退すべきです。よって議案第18号に反対いたします。
次に請願についてです。
請願第41号は、学校施設の女子トイレなどに、返却不要の生理用品の設置を求めるものです。任意団体である「#みんなの生理」が行ったオンラインアンケートでは、コロナ禍の下で、若者の5人に1人が「金銭的理由で生理用品の入手に苦労したことがある」と回答しています。この調査結果に衝撃が走り、「生理の貧困」が可視化され大きな社会問題になりました。しかし、今や一過性の貧困問題にとどまらず、群馬県知事の「生理用品は女性にとって必需品であり、人権問題でもある」との発言が報道され、改めて女性の生理は人権問題であるとの認識が広がり、すべての生理のある生徒や学生のプライバシーや女性としての尊厳を保障するためにと、全国の自治体で、学校での無償配布の取り組みが進み始まっています。
本請願を採択し、人権を擁護し補償する、ジェンダー平等の県政へと踏み出そうではありませんか。
請願第43号は、消費税の5%への引き下げのため、国への意見書の提出を求めるものです。消費税10%への増税後、個人消費も実質賃金も落ち込み、そこに新型コロナが追い打ちをかけ、いまなお深刻な事態が続いています。すでに経済対策として、58の国と地域では、付加価値税の減税に踏み出しています。日本も緊急経済対策として、消費税5%への減税に踏み切るべきです。消費税の減税は新型コロナの犠牲を一番深刻な形で受けている所得の少ない人たちへの効果的な支援策になるとともに、中小業者の事業継続への重要な支援策ともなります。
本請願を採択し、国民の購買力を高め、最も効果的な景気対策、消費税の減税を国に強く求めていくことを訴え、討論を終わります。