【2020年6月県議会】日本共産党 みわ由美県議 議案・請願討論
はじめに、新型コロナウイルス感染症により亡くなられた皆様にお悔やみ申し上げますと同時に、医療・介護従事者の皆様に感謝と敬意を申し上げます。
日本共産党を代表し、議案の主なものについて討論します。
まず、議案第1号一般会計補正予算についてです。新型コロナウイルス感染症対策に係り、医療体制の整備や感染拡大の防止、生活や産業の再建支援など、この間、わが党も求めてきた緊急かつ切実な県民の願いを一定反映したものであり、この内容に異論はありません。しかし、この間、感染者が、右肩上がりで増え、懸念される感染「第2波」に備えるためには更なる対応が必要です。今、重要なのは、経済・社会活動の再開と、感染拡大の抑止を、いかに両立させるか。
そのキーポイントは、検査と医療体制の抜本的強化です。そこで以下、指摘し、提案します。
第一は、積極的な検査戦略に転換し、PCR検査体制を大幅に拡大することです。この間県内でも、発熱を訴えた方などがすぐに検査を受けられない事態が発生し、改善は急務です。同時に今後は、従来のような強い症状が現れた人に限定した検査ではなく、無症状者も含む濃厚接触者全員の検査は勿論、検査対象を適切かつ大規模に拡げ、先手を打って感染拡大を防止する、積極的な戦略に切りかえるべきです。
例えば、県内の医療従事者は約15万人、介護・障害者施設等の勤務者は約31万人に上りますが、クラスター発生を未然に防ぐためにも、こうした施設での積極的優先的な検査は欠かせません。しかし県の体制はどうか。県は、一日あたりのPCR検査処理能力672件を、6月補正後は946件一日約千件に増やす、としていますが、医療・介護施設等も対象に従来の域を超えた検査をやろうとすれば、ケタが一つ違う、全く足りません。
また県は、ドライブスルー方式等の地域外来検査センターも6カ所から10か所に増やすと言いますが、神奈川県のセンター数は千葉の約3倍、埼玉県は約5倍です。県の帰国者接触者外来の数も、59病院にとどまっており、埼玉や神奈川の半分程度です。国は5月の事務連絡で、帰国者・接触者外来と同様の機能を有すると県が認めた医療機関と、県が契約を結ぶことを促しており、埼玉県では、既に55医療機関を認定していますが、千葉の契約件数はゼロ。早急に増やすべきです。検査体制の抜本的な充実強化を強く求めます。
第二は、医療体制の強化と医療崩壊を起こさないための医療施設への支援拡充です。問題なのは、直接コロナ患者に対応していない病院での大規模な受診抑制による深刻な経営危機が広がっていることです。県も把握している千葉県保険医協会の調査結果でも9割の医療機関で減収となっていますが、そこへの支援は全くなく、このままでは県内の病院、診療所、開業医などの倒産・閉鎖が相次ぎ、経営難による「医療崩壊」が起きかねません。
コロナ対応の医療機関も非コロナの医療機関も、それぞれの役割を担い、千葉県医療を支えています。その全体を守り抜くための県の支援をしっかり行うことを、強く求めます。
第三は、感染症対策に取り組む県や出先の職員体制、保健所体制の抜本強化です。第一波では、対策本部で11人、健康福祉部の13課と保健所などで69人もの職員が過労死ラインを超える時間外労働を余儀なくされています。疾病対策課などは、4割近くの職員が過労死ラインを超え、一か月の時間外最長が202時間にもなりました。誰が見ても人手不足は明らかです。第二波、三波にむけて、職員の大幅増員と、これまで削減してきた保健所体制の抜本的な強化をはかり、感染症対策をしっかりと行うよう強く求めます。
本議案の最後に指摘したいのは、大打撃を受けている暮らしと営業を支えることについてです。千葉県中小企業再建支援事業は、県が最大40万円まで支給を拡大したことは前進ですが、問題は、申請が6月中旬段階で4万5千件なのに、支給が1万5千件の3割台で、急がれているお金の支給があまりにも遅いことです。県は、書類の不備が多いからなどと事業者のせいにしていますが、なかには不備の連絡も申請から5週間後で、業者がすぐに対応しても、それでも一週間、二週間たった今も支援金は届かない、電話もつながらない等の苦情が相次いでいます。これでは間に合いません。委託業者任せにせず、県が責任をもち、手立てをとり、早急に改善すべきことを、申し添えておきます。
つぎに議案第6号は、君津高校と上総高校の統合後、来年度からの名称を君津高校にしようとするものです。2002年からスタートした県立高校再編計画によって、17校が廃校に追い込まれ、その後の県立学校改革推進プランで、4校が統合されることになります。中学卒業者数の減少を錦の御旗に高校統廃合に突き進んできた結果、どの学校にも余裕教室はなくなり、しかも「40人学級」はそのままで、「身体的距離の確保」が何より求められる、新型コロナウイルス感染症対策にも逆行する事態となっています。これまでの延長での、安易な高校の統廃合は止めるべきです。今必要なのは、感染拡大防止のためにも、直ちに少人数学級へと踏み出すことです。よって議案6号に反対します。
最後に議案第7号は、千葉県こども病院のGCUいわゆる新生児治療回復室を6床減らすものです。NICU、新生児集中治療室を出た赤ちゃんを治療する病床が少なくなります。県は利用率が低いといいますが、実はこども病院では、4年前から産科医師が確保できず、お産ができない状態が放置されていたことが判りました。千葉の県立病院では、どこもお産ができない、重大です。
そもそもこども病院は、県が認定した地域周産期母子医療センターであり、ハイリスクのお産に対応しなければなりません。同時に全県対応型の小児中核病院として、困難で高度な専門医療を担う、まさに千葉の子どもの命を守る最後の砦です。県が今なすべきは、赤ちゃんの病床減らしではなく、産科医師を確保し、早急に、こども病院の産科を復活再開させることです。改善を強く求め、本議案に反対します。以上、討論といたします。