【2024年12月県議会】日本共産党 みわ由美県議 2023年度決算認定反対討論

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【2024年12月県議会】日本共産党 みわ由美県議 2023年度決算認定反対討論

 日本共産党を代表し、2023年度決算認定に反対の立場から、討論をおこないます。

 熊谷知事になり3年目。昨年度は、コロナ危機に続く物価高騰と実質賃金の減少、災害が大きな社会問題となり、県民生活を直撃した1年でした。こんな時だからこそ、県は全国第5位の財政力を活かし、命・暮らし・人権を守り地域経済を支えることに全力をあげるべきでした。その立場から、以下6点、反対理由を述べます。

 第1は、県政への要望13年連続トップの「災害から県民を守る」この願いに正面から応えていないことです。県は、県内の指定避難所について、肝心の備蓄倉庫の有無や、水、食料、毛布、トイレ等、備蓄品の確保状況の詳細は、市町村任せで把握していません。避難所の県立学校にはエアコンが一つもなく、二次被害が危ぶまれると繰り返し改善を要求してきましたが、検討すらしない、これでは災害時の県の責任は果たせません。
豪雨災害等の背景にある気候危機打開についてはどうか。本県は、県答弁では2021年度CO2排出量が全国最多ですが、温暖化防止条例の制定を未だに拒み、2030年度までの県のCO2削減目標は、政府の目標より更に6%も低いままで、事態の深刻さを認識しているとは思えません。

 第2は、福祉・医療・教育など、切実な県民の願いに、冷たく背を向けていることです。
介護が必要な高齢者が大幅に増える一方で、県調査でもケアマネージャーが減少し、介護従事者の処遇改善は必要、と県も認めていますが、県独自の支援策は一切ありません。
また県の看護師数は人口10万当たり全国46番目。ところが県内の看護師養成学校の定員数は、昨年度含め5年間で181人も減っているにも拘らず、県は何ら手を打たず、過去に県立学校の養成枠を160人も減らした事への反省もありません。しかも県看護師等修学支援金貸付け制度は、一部地域を除き、毎月1万6千円と全国最低の金額で、これでは看護師不足は解消できません。
 また、昨年度の教員不足数は、統計をとりはじめ過去最多を記録。しかし、県独自の教員採用増を求めても、県教委は、定数は国が措置すると繰り返すばかりです。県立特別支援学校では教室不足による合同使用や、音楽室など特別教室の普通教室への転用が増える一方です。決算審査では、そもそも県の、特別支援学校整備計画の「児童生徒の見込み」数が、2年連続間違っていた、実際より少なく見込んでいた事が明らかになりましたが、県は、計画見直しを先延ばししました。あまりにも杜撰、無責任だと云わなければなりません。

 第3は、財界の利益最優先で、県民生活が後景に追いやられていることです。県は、他の工業県が早くから実施している大企業法人事業税の超過課税240億円もの暮らしのために使える財源を、又もや見送りました。しかも、北千葉道路等を中心とした巨大道路ネットワークは、なぜ必要か、幾らかかるのか、納得できる説明は一切なく、三番瀬に重大な影響を及ぼす第二湾岸道路計画に突走る。巨大開発が止まりません。
その一方で、地域経済活性化は、おざなりです。県内商店数は人口千人あたり全国45番目。こんなに少ないのに、商店街支援事業は総額1500万円程度、雀の涙です。ところが、昨年度の立地企業補助金には8.7億円と前年の3倍以上を投じる、税金の使い方が逆さまではありませんか。また、酪農発祥の千葉県で酪農戸数はピーク時28年前の2070戸から363戸へ約6分の1に激減です。昨年度は、国が酪農家への物価高騰策を打ち切り、それに代わる県独自策もなかったため、深刻な赤字だと青年酪農家は悲痛な声をあげています。

 第4は、人権尊重、ジェンダー平等を進める点でも、大きな問題があることです。県は、いわゆる「多様性尊重条例」を制定しましたが、人権尊重やジェンダー平等の前進に取り組む本気度が問われています。内閣府のデータでは、千葉県の一般会計に占める男女共同参画予算の割合は全国最下位クラスで、県審議会における女性の割合も30.9%と全国46位。埼玉県では男女共同参画条例に基づく要綱や女性登用促進会議を設置しています。もっと力を入れるべきです。
また世論と運動におされ、県は県立学校での生理用品の非対面式無償配布にふみ出しましたが、肝心の予算がないため、多くの高校から「予算が足りない」「生徒会費から払っている」等の声が寄せられています。本気で人権を守る姿勢があるのか。既に予算化している東京、神奈川、埼玉県等とは大違いです。

 第5は、安心な県民生活についても、問題があることです。県内でも旧統一協会による被害が深刻です。約10年間だけでも千葉県消費者センター等で、「母が多額の献金をしたが返して欲しい」等、旧統一協会による被害相談49件、霊感商法635件を受けつけ、環境生活部では、県は、「あってはならない」と答弁しました。
一方、商工労働部では、県幕張メッセ国際展示場で過去に実施した旧統一協会の2度の1万人集会について、「多くの人が宿泊や飲食」を利用したので県の「産業振興に該当する」等と平然と答弁。今後の利用の可否についても、明言しませんでした。
反社会的で、解散命令が請求されている旧統一協会に対し毅然とした対応が出来ない、驚くべき県の姿勢が露わになりました。県も、旧統一協会の活動に加担しているのでは、との誹りは免れないと、厳しく指摘しておきます。

 最後、第6は、憲法に基づく平和な県づくりについても重大な問題があることです。構造的欠陥が指摘されている米軍オスプレイの相次ぐ死亡事故の原因について質しましたが、まともな答弁がないまま飛行が再開され、再度、今、飛行中止に追い込まれている異常事態です。ところが、県は、国言いなりで、配備撤回は一切求めない。これでは、命も平和も守れません。

 以上、指摘し、憲法と地方自治がいきる県民が主人公の県政への転換をつよく求め、反対討論とします。