【2024年9月県議会】日本共産党 丸山慎一県議 議案・請願への討論

お知らせ

【2024年9月県議会】日本共産党 丸山慎一県議 議案・請願への討論

 議案と請願について討論を行います。

 議案第1号「一般会計補正予算」第2号ですが、路線バスの運転手確保や道路の老朽化対策、PFASの汚染防止など、必要なものが計上されています。その一方で、認められないものもあります。
 一つが「一般廃棄物処理長期広域化計画策定事業」です。3月29日の環境省の通知にもとづいて、県が「長期広域化・集約化計画」を策定するための予算として900万円、債務負担行為3000万円となっています。しかし一般廃棄物の広域化は、輸送が長距離になってエネルギー効率が悪くなるとともに、事業をPFIで進めることも記載されており、民間企業にもうけの場を提供するものとなるのは明らかです。しかも処理の高度化によって自治体負担が増大すれば、住民にたいするゴミ処理費用の有料化が広がらない保証はありません。本来ゴミ処理は、再使用や再資源化、製造段階からゴミが出ないようにすることなどにより、ゴミの量そのものを減らすことを基本に据えるべきです。環境省の指針でもそれに触れていますが、広域化集約化との両立は困難です。
 また補正予算には、「発酵」をテーマにした大阪万博への出展費用が500万円計上され、3500万円の債務負担行為が組まれています。もちろん、千葉県で発展した発酵文化や産業を全国に紹介し、広めていくことは奨励されるべきものです。しかし、その会場となる「大阪関西万博」はあまりにも問題が多すぎます。関連経費を含む総費用は1兆2千億円にのぼります。国の負担分は1649億円で当初公表した額より1000億円も増え、千葉県を含むすべての国民で負担することになります。3月には会場建設現場でメタンガスが爆発する事故が起き、安全性そのものが問われる事態となっています。それでも突き進むのは、今回の万博が、同じ大阪の夢洲に誘致が決まっているカジノを軸にした統合型リゾート――IRの基盤整備を公費でやるためのものだからだと指摘されています。万博の開催中止を求める署名も10万人を超えて集まり、先月、政府に提出されました。いまや万博は千葉県の文化や産業を紹介する場として、最もふさわしくない場所となっています。
 こうした見過ごせない問題のある補正予算には反対いたします。

 議案第7号は、県有地や県有施設の占用許可にあたって、県は、1カ月未満の場合に徴収しなければならない消費税を、徴収してきませんでしたが、これを改定するものなどです。そもそも自治体では、仕入れと売り上げの消費税は同額とみなすため納税義務がありません。県は消費税を徴収する必要はなく、実際にこの間、事実上、消費税を徴収してきませんでしたが、何の問題も起こっていません。以上の理由から本議案に反対します。

 議案第8号は生活保護制度について、いわゆるマイナンバー法との関連で事務の名称を変更しようというものです。条例改定によって実質の変更はありませんが、根拠になっているマイナンバー法は、すべての国民に番号を割り振って国が管理しようというものであり、情報流出などへの不安が広がっています。しかも健康保険証の廃止措置による事実上のマイナンバーカードの義務化などで、住民の拒否感はかつてなく大きなものとなっています。情報入手のための利便性が向上するとはいえ、大きなリスクを抱えるものであり、国民的な合意が得られているとは言えません。よって、本議案に反対いたします。

議案第11号、水道技術者の資格を定める条例は、人手不足を理由に技術者の資格を緩和しようというものであり、住民の健康や安全が侵害される危険性があるため反対いたします。

 議案第17号は、北千葉道路の橋梁工事について契約を結ぼうとするものです。こうした道路が出来れば平行する道路の渋滞はある程度減るのは当然のことです。しかしその分、別の場所に渋滞が移動する可能性もあります。常任委員会で、どこの渋滞がどのくらい解消するのか質しましたが、一部をのぞき、市川市から成田市まで全線に関する答弁はありませんでした。北千葉道路の目的の一つである国際競争力の向上についても、どんな競争力がどのくらい向上するのか質問しましたが、「定性的なもの」と答えるにとどまりました。供用開始の時期や総事業費などもまったく不明のままです。仮に完成まで、外環道路と同じ30年程度かかるとしたら、30年後の千葉県人口は、ちばぎん総研の推計で544万人であり、いまより84万人減る見通しです。しかも減る人口の大半が15歳から65歳の現役世代で、その世代の減少率は2割にもなり、交通量も大幅に減るのは明らかです。しかし、30年後の渋滞のシミュレーションについて答えはありませんでした。目の前の状況だけを見て、遮二無二、高規格道路の建設に進めば、他の課題にしわ寄せされるのは当然のことです。よって本議案には反対します。

 請願第35号は、国に対して「消費税5%以下への引き下げとインボイス制度の廃止を求める意見書」の提出を求めるものです。長引く物価高騰が国民生活を直撃し、深刻な状況が広がっています。中小零細業者は仕入れ値が高くなっても価格に転嫁できず、千葉県商工団体連合会の実態調査では、「商売への影響が大きい」と回答している業者が8割を超え、「仕事や顧客が減った」とか、「本業からの収入だけでは生活できない」といった悲痛な実態も示されています。これに加えて事実上の消費税増税であるインボイス制度が導入され、フリーランスの会の調査では、91・9%が「制度の見直し・中止を望む」と回答しています。国民や小規模事業者のなかで広がる苦しみの実態に目を向ければ、本請願を採択し国に対応を求めるべきです。

 請願第37号は県と教育委員会に対して、学校での教員の未配置を完全に解消するための抜本的な対策を求めるものです。千葉県では、教員の長期療養や出産休暇などの欠員が埋められず、担任さえ配置できない学校が増え続け、昨年度末には469人となり過去最悪を更新しました。配置できない学校では教務主任や専科教員、教頭などが担任を持たざるを得ず、過重な負担が強いられています。当然それは、教員が生徒とともに過ごす時間を奪い、子どもたちが丁寧な教育を受けられなくなることを意味します。本来いるべき教員が配置されない状況は、学校にとって最大の危機と言わざるをえません。ところが県教育委員会は、教員確保によってこの問題を解決するのではなく、35人までとなっている学級の児童生徒数にたいして、36人を超えてもかまわないとの通知を今年2月、市町村教育委員会に出しました。これは本末転倒であり、教育条件の改善を放棄して改悪を容認するに等しいものと言わざるをえません。この間、本議会でも教育現場の深刻な状況を少なくない議員が取り上げ、解消を求めていますが、その思いを県議会として示すためにも、本請願を採択することを呼びかけます。

 以上で討論を終わります。