【2024年9月県議会】日本共産党 浅野ふみ子県議 代表質問

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【2024年9月県議会】日本共産党 浅野ふみ子県議 代表質問

  日本共産党市川市選出の浅野ふみ子です。党を代表して質問します。

 最初に知事の政治姿勢についてです。
 自民党岸田文雄氏が政権を投げ出し、総裁選まっ只中です。岸田政権の3年間は、「聞く力」など全く感じられない3年間です。
 そこで伺います。退陣は、裏金問題への不信の広がりや、物価高騰への無策、戦争国家づくり、統一協会との癒着、原発回帰、人権軽視への国民の怒りに追い詰められた結果ではありませんか、知事の見解をお聞かせ下さい。
 私は、自民党は看板だけ変えても、誰が新総裁になっても、裏金事件の幕引きをはかり、庶民の暮らしは省みず、人権、憲法9条をないがしろにする政治では国民に見放されると思います。
 民意を受け止める政治をすすめる、という点では県政運営でも同じです。知事は就任時のあいさつで「今日の千葉県の発展は千葉新三角構想を進めたおかげ」とのべました。この構想は、成田空港や道路などのインフラ整備とともに、幕張、成田、かずさに産業の集積を図るという、1980年代から90年代初めの、いわゆるバブル期の自民党知事時代の巨大開発です。
 558億円もつぎ込んで建てた幕張メッセ国際展示場は、稼働後も2016年度までに、県と千葉市併せて378億3200万円を負担しました。かずさアカデミアパーク事業への投資額は、2022年度までで基盤整備費とDNA研究所などの運営費で1901億円におよびます。
 しかし、事業は行き詰まり、県財政は重いツケを背負うことになったではありませんか。バブルの初期1987年度の地方債残高は、約9669億円、県民一人あたり18万4千円です。2002年度には2兆円を突破しました。1兆円も上積みされたことになります。
 財政再建を迫られた県は、定員適正化計画等にとりくみ、職員の大幅削減や県独自に賃金カットをすすめてきました。バブル期、知事部局の常勤職員数は1万人を超えていましたが、その後、6千人台まで急減しました。余りに減らしすぎで、いま8千人近くまで回復したとはいえ、この間の台風・豪雨災害や新型コロナなど、県民の命に関わる対応に大きな支障を来し、職員は長時間過密労働で心身共に疲弊しているではありませんか。バブル期にすすめた新三角構想のツケが、その後の県財政に大きな困難をもたらした、と思いますが、知事は、その事実は認めますか、お答え下さい。
 知事は「10年後、20年後の千葉県の発展に向けた経済産業施策にとりくみ、高速道路ネットワークの整備を強力にすすめる」とものべ、この間巨大道路づくりを加速させています。これらは県民の願いから出発したものなのでしょうか。私は、背景に県内経済界からの声があると考えます。
 県経営者協会は、今年も知事に主要幹線道路の整備と企業誘致の推進を要望しました。県は、この要望に応え、2024年度当初予算では北千葉道路と圏央道に約57億円を、富津館山道4車線化に向けた予算も計上しました。この57億円という金額は、中学3年までの医療費通院の県の助成分と、県の保育士待遇改善補助金の倍加に匹敵します。さらに「千葉北西連絡道路」や「新湾岸道路」などの早期事業化、圏央道の全線早期開通・4車線化などを掲げ、東京湾アクアライン6車線化、「東京湾口道路」の話しまで出ています。
 まさに巨大道路づくりに突っ走っている知事といえます。たしかに新しい道路ができれば、便利になるかもしれませんが、しかし、費用対効果も考えるべきはないでしょうか。医療、福祉などを後回しにしてまで、いま優先させる必要があるのか、一度ブレーキをかけ、見直してみたらどうですか。このまま突き進めば、バブル時代の二の舞になる。大きなツケを、また背負うことは避けられないと思います。あわせてお答え下さい。
 さらに地域経済の振興という視点から見ると、知事は、マスコミのインタビューで「一定のリスクを取り、産業用地を用意しておくことが大事」と述べるなど、産業用地を造成し企業進出を強調しています。産業用地なら、貴重な税金を使って整備してもすぐに使われなくてもかまわない、ということですか。答弁を求めます。
 2024年度当初予算の立地企業補助金は35社・4件6億3790万円。一方、商店街支援事業は3920万円で、一商店街あたり6万5千円弱、まさに雀の涙です。地域の雇用やコミュニティーを支え、いま頑張っている中小零細業者を支援するための予算を、大幅に拡充すべきではないですか。
 知事、経済界ばかりに顔を向けず、県民の願いに向き合う県政こそ求められています。昨年8月から9月に実施した世論調査では、県政への要望は、災害対策、高齢者福祉の充実、子どもへの支援、医療体制の整備、仕事と子育て・介護の両立が上位を占めています。税金の使い方は、何よりも物価高騰から暮らしを守り、福祉・医療・教育、中小零細業者や地場産業育成を最優先する、そういう県政への転換が求められていると思いますがいかがですか、お答え下さい。

 次に、船橋市での乳児虐待死事件について伺います。昨年7月、生後11ヶ月の男児千巴弥ちゃんが、26歳の母親による暴行疑いで死亡しました。いかなる事情があろうとも虐待は絶対に許されません。しかし、またもや幼い命が奪われ、胸が痛みます。
 千巴弥ちゃんは2022年8月生まれです。報道では、千葉市の西部児童相談所がネグレクトで生後5日目から一時保護し、約7ヶ月間乳児院で過ごしました。昨年4月に一時保護が解除され、母、父、姉との4人での家庭生活が始まり、千巴弥ちゃんは保育所に通いました。保護者は出産1ヶ月後には船橋市に転居し、2度3度と市内転居。2度目の転居先でも保育園の入所を希望するも、待機児が多く入れませんでした。
 深刻なネグレクト、度々の転居、経済的困窮など、子育て環境は極めて不安定で、母親自身も心身共に困難を抱え、虐待リスクの高い家庭であったことは明白です。だからこそ行政がどう援助したのかが重要です。知事もそう思いませんか。千葉市西部児童相談所に続いて、県市川児童相談所船橋支所が直接関わりながら、幼い命を守れなかった責任は重大です。どう認識しているのか。知事の見解を伺います。
 この間、県は、「関係機関が連携した上で必要な対策は行われていた」「適切だった」と言い張ります。しかし、やっと開示した公文書は、個人の利益を害する恐れがある等として肝心の指導・援助の内容は真っ黒です。県がどう対処したのか、県民には見えません。
 「千葉県子ども虐待対応マニュアル」は、冒頭に、児童福祉法第2条の改定で、子どもの健全育成について、保護者が第一義的な責任を負うが、国及び地方自治体は、保護者と共に責任を負い、子どもの最善の利益の実現のため支援を行う、と明記されています。県市川児相も「乳児は、脆くて弱い。自らは虐待から逃れられず、発信することも出来ないため、切れ目ない支援が必要」と述べています。
 だったら子どもの最善の利益のため、切れ目ない支援が尽くされたのか。厳しく問われます。県は第3者検証委員会で検証すると言いますが、そこでの結果待ちでなく、まず、県自ら検証し、今度こそ再発防止に活かすべきですがどうか。その際、県内での児童相談所や関係機関どうしの連携がどうだったか、徹底検証を求めます。それぞれ、お答えください。
 なぜ、虐待死を防げなかったのか。最大の問題は、県自ら乳児を目視で安全確認するという基本が極めて不十分で、虐待リスク判断の甘さがあったことです。生後5日目から親に育児を任せられないほどの高い虐待リスクを、県は低く見ていた。結果として、市などの関係機関にほぼ丸投げになっていました。
 例えば、県は引継ぎで、子どもに直接一度も会っていません。2023年4月25日に、千葉市児相から県市川児相への引継ぎ移管協議がありました。全国児童相談所長会の「申し合わせ」では、引き継ぎ、移管する場合、原則48時間以内に、「子どもを直接目視することを基本」として安全確認を実施する、となっていますが、県は、「緊急性に乏しいと判断されるケースを除き」の例外規定を持ち出し、乳児に直接会っていません。初めから、緊急性に乏しいと判断していたと言わざるを得ませんが、いかがですか。
 しかも1ヶ月以上も後の5月30日にようやく、千葉市西部児相と県市川児相が、引継ぎのため家庭訪問を行いましたが、面接したのは母親とだけ。当時生後9ヶ月の乳児には会っていません。この事実はお認めですね。乳児に会いもせず状況確認ができますか。親子との信頼関係を築く適切な指導につながったと言えますか。あわせてお答えください。
 結局、県は、一度も、乳児を直接目視で確認することなく、6月7日からの継続支援をスタートさせました。手抜きにも程があると思います。県が作成したリスクアセスメントシートはほとんど黒塗りですが、児童の身体的虐待、心理的な虐待等の状況を記載する欄があることはわかります。初期調査報告書には、児童の安全確認の欄、援助方針会議録にも、児童の虐待リスクの緊急度アセスの結果欄があります。乳児の身体状況を直接確認していないのに、正確な記載も適切な対応もできますか。県として、あまりに無責任ではありませんか。お答え下さい。
 県の支援内容はどうか。千葉市が一時保護を解除した主な理由は、保育所の利用と家庭が関係機関の訪問を受け入れる、という2点でした。が、すでに転居しており、ちょうど県が責任を持つ6月7日から保育園に行けず、24時間家庭で過ごすなど、虐待リスクが大きく高まる新たな事態になっていました。しかし県はそう、判断できませんでした。千葉市から引き継いだ県として、保育所入所や、家庭への手厚い援助など、困難に寄り添う丁寧な支援が必要だったはずです。それをしなかったのはなぜですか。お答えください。
 結局、千葉市と引継ぎを始めた4月25日から事件までの3ヶ月間で、県が、乳児を目視で安全確認したのは6月12日の家庭訪問たった一回きり。知事、県自ら乳児を安全確認するという基本が極めて不十分で、虐待リスクの判断を誤ったことが、虐待死を防げなかった要因の一つではありませんか。見解を伺います。
 今回の事件の背景には、県児童相談所の職員不足や、とりわけ勤務経験5年未満の職員が多い問題、定員の2倍を超える一時保護などの問題があることを指摘せざるを得ません。野田市での小4女児虐待死事件の時にも、改善が強調され、県も一定努力していますが、事態は深刻化しています。2年後の県児童相談所の新設は一歩前進ですが、直ちに、県予算の大幅増額で、抜本的な体制強化に全力をあげるべきです。答弁を求めます。

 次に青年学生への支援について伺います。
 若者たちの置かれている現状は、極めて深刻です。学費が高く、千葉大学では年間53万5800円だった授業料が64万2960円へと2割値上げされました。千葉商科大学も年間106万円、千葉工業大学も139万円で、学生生活に暗い影を落としています。もともと日本の学費は世界と比べても異常に高く、経済協力開発機構―OECD35カ国で日本は3番目の高さとなっています。この背景にあるのが教育費への公的支出の低さです。その割合を見ると日本は2・8%で、OECD諸国では下から2番目。OECD平均と比べても1・3ポイント、金額にして約2兆円も少なくなっています。政府に、大学の授業料大幅引き下げと、そのための教育費の大幅増額を求めるべきだと考えますが、どうでしょうか。
 苦しい生活に異常な物価高が襲ってきて、「月に1万円から2万円程度支出が増えた」というのが学生たちの実感です。ある学生は、親からの仕送り5万円、アルバイト5万円で生活していましたが、これでは足りずバイトを週2回から4回に増やし、「疲れて勉強に身が入らない」と話していました。学生支援機構が毎年行っている「学生生活調査結果」では、2012年度からの10年間で、保護者からの仕送りは121万円から12万円も減っています。一方、バイト収入は32万円から約5万円増えており、仕送りが減った分をバイトで補おうとしても、補いきれない実態が見て取れます。その分が食費にしわ寄せされ、調査結果では、下宿やアパートで暮らしている学生の食費への支出は年26万2400円、1日平均700円という驚くべき水準となっています。知事は、学生が置かれている苦しい実態と、収入を得るために学業が妨げられている状況について、どう認識しているのでしょうか、お答えください。
 学生が学問を身につけて社会に出て行くのは、学生自身の人生だけの問題ではありません。社会進歩のためにも、社会全体を豊かにする上でも、欠かせないものです。学業に支障が出るほどバイトを増やさなければならない状況を解消し、学問に専念できる環境をつくり出すのは社会の責任であり、社会全体で解決しなければならない課題だと考えますが、知事の認識をお聞かせください。
 熊谷知事は、千葉県が策定した「第4次青少年総合プラン」へのあいさつで、「子ども・若者は、社会の宝であり、その健やかな成長は、将来の千葉の発展の礎」と述べていますが、「千葉県のために子どもの成長が必要」というこの発想自体に大きな問題があります。国の「こども大綱」では「こどもまんなか社会」をめざすとしており、それは、「全てのこども・若者が、日本国憲法、こども基本法及びこどもの権利条約の精神にのっとり、生涯にわたる人格形成の基礎を築き、自立した個人としてひとしく健やかに成長することができる社会」だとしています。しかし知事が「まんなか」に据えているのは「千葉県」で、そのもとにこどもや若者を置いています。これはまったく逆であり、「こどもまんなか社会」という政府の大綱の精神にも反するのではないでしょうか、お答えください。
 格差と貧困が広がり、日々の生活もままならない若者が少なくありません。千葉県として、いまこそこうした若者に光を当てる必要があります。例えば学生にとって負担になっているのが住居費です。アパート代が高いため、千葉の大学に神奈川から2時間もかけて通っている学生もいます。全国の自治体では若者の定住や就労促進を目的に家賃を補助しているところもあり、千葉県でも、所得の低い若者に対して家賃補助制度を創設し、生活を支援すべきではないでしょうか。
 学生にとって重い足かせとなっているのが、返さなければならない奨学金です。卒業した時に300万円から400万円もの借金を抱え、30台半ばから40歳くらいまで返済していかなければなりません。これにたいして県が、教員採用での奨学金の代理返済に踏み切ったのは一歩前進です。これを広げて、県職員の他の職種でも実施すべきではないでしょうか。また、民間企業が代理返済する場合、支援を行っている県が増えていて、内閣府の調査で、やっていないのは千葉県を含む5府県だけです。若者と中小企業を支えるために、取り残されている状態から抜け出して千葉県でも実施を決断すべきです。あわせてお答えください。
 学費の軽減も極めて重要な課題となっています。神奈川県では県立保健福祉大学の入学金を来年度から半額に引き下げると公表しました。千葉県でも県立保健医療大学の入学金の減額や廃止を検討すべきだと考えますが、どうでしょうか。授業料も思い切った引き下げを実施すべきです。お答えください。
 若者の中で非正規労働者が増えていることが、安定した未来を奪っている大きな要因となっています。総務省の調査では、30歳から34歳までの男性の場合、正規労働者は59%が配偶者がいるのに、非正規では22・3%で正規の3分の1にとどまっています。結婚や子育てには安定した収入が必要であり、収入の長期的保証がない非正規では、結婚や出産の決断ができないのは当然です。知事は、非正規雇用が労働者の4割を占め、その人たちが結婚や出産をしたくてもできない状況にあることを、どう認識しているのでしょうか。県庁の中でも非正規雇用が増えてきていますが、まずは、これを改善すべきです。あわせてお答えください。


 次に県内における有機フッ素化合物・PFAS汚染について伺います。
 海上自衛隊下総航空基地周辺で、高濃度の有機フッ素化合物・PFASが検出され、汚染の実態が次々と明らかになってきています。
 今年3月と6月に県と柏市が行った、人工水路・金山落の上流水路におけるPFAS調査では、いずれも国の暫定指針値を上回る高濃度のPFASが検出されました。3月の調査では6地点で暫定指針値を超え、最大で1リットルあたり1,800ナノグラムと国の指針値50ナノグラムの36倍となっています。6月の調査では4地点の水路で指針値を超え、最大で21,000ナノグラム、実に国指針値の420倍もの高濃度が示されました。
 並行して柏市、鎌ヶ谷市、白井市が高濃度地点周辺の地下水・井戸の調査を行っています。柏市と鎌ヶ谷市では、2回の調査でいずれも暫定指針値超えのPFASが検出され、鎌ヶ谷市では、最大で指針値の700倍、35,000ナノグラムが検出されています。
 県と3市は、6月に下総航空基地に対し、PFASを含む泡消火薬剤等の使用についての調査を依頼して立ち入り調査も行い、さらなる詳細調査の依頼を行っています。
 今、急がなければならないのは、汚染源を特定し、汚染の範囲・実態を明らかにすること、健康被害を起こさない対策を講じることです。
 そこでまず3点伺います。1点目、県も下総基地に対し「泡消火薬剤等」と特定した調査依頼をしていますが、今回の水路、井戸等の調査などから、汚染源についてはどのような認識を持っているのか。2点目、汚染源特定のために、下総基地内の土壌調査なども行うべきではないか、3点目として、関係市とも協力して水質等の調査範囲をさらに拡大し、汚染の実態、全体像を明らかにして県民に公表すべきではないか。
 そもそもPFASとは、人工的につくられた有機フッ素化合物の総称であり、4700種以上あるといわれ、PFOS、PFOAなどが含まれています。PFOAは半導体やフッ素樹脂加工のフライパンなどに使われ、PFOSは主に泡消火薬剤として使用されてきました。日本では「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律・化審法」で、PFOSが2010年に、PFOAが2021年に製造・輸入が原則禁止とされました。
 健康への影響も、コレステロール値の上昇や発がん性などの可能性が指摘され、住民の不安はいっそう高まっています。現に、柏市や鎌ヶ谷市で行った住民説明会でも、「飲み水は買っている。1カ月1万円、いつまで続ければいいのか」「子どもも水はこわいと言って、プール遊びもできない」など、不安の声があいつで出されています。
 関係市ではウォーターサーバーのレンタル料や、浄水器購入への補助などを打ち出していますが、県も関係市への支援を行うべきではないか。市町村とも協力し、希望する関係住民の、PFASの血中濃度を測定する血液検査と健康診断、健康影響フォローを実施すべきではありませんか。あわせてお答えください。
 泡消火薬剤の使用・訓練が要因だとするなら、PFAS汚染は下総基地周辺だけに留まりません。
 防衛省は、2020年2月に「防衛省・自衛隊におけるPFOS処理実行計画」を策定し、PFOSを含む泡消火薬剤等の交換及び処理を2023年度末までに完了するとしていました。
 現に県内では、2022年度末時点で、館山航空基地には、PFOSを含む泡消火薬剤が2200リットルも処分されずにいまだに保有されていました。
 さらに、2019年度末時点で見れば、県内では松戸駐屯地で60リットル、下志津駐屯地6リットル、木更津駐屯地500リットルが保有されていました。ということは、これらの基地でも2010年4月まではPFOSを含む泡消火薬剤を使用した消火訓練などが行われていたということです。
 そこで伺います。県の責任において、これら自衛隊基地周辺の水路、河川、土壌等の調査を行うべきではないか。県内の調査結果を県民に公表すべきではありませんか。
 PFASの環境基準の見直しも求められています。
 内閣府食品安全委員会は6月、「健康影響評価書」を公表し、人が生涯にわたって毎日摂取し続けたとしても健康への影響が無いとされる、耐容1日摂取量を体重1キログラムあたり20ナノグラムとしました。しかしこれはアメリカ環境保護局のPFOSで0.1ナノグラム、PFOAで0.03ナノグラムの基準や、欧州食品安全機関のPFOSとPFOAを含む4種類の合計で0.63ナノグラムとの設定と比べてもかなり緩いものとなっています。
 環境省は8月、「PFAS、Q&A集」を改訂しましたが、健康への影響は極めて過小評価したものとなっています。例えば人体への影響では「国内において個人の健康被害が発生したという事例は確認されていない」とし、飲み水についても「PFOS、PFOAの摂取が主たる要因とみられる個人の健康被害が発生したという事例は国内において確認されていない」などと、健康被害が発生していないから大丈夫だと言わんばかりの内容となっています。
 健康被害が発生してからでは遅い、いま求められているのは、予防的対応、健康被害を起こさせない基準値を示し、安全管理を徹底することです。人体へのリスク評価を見直し、予防原則に立った摂取基準に改め、少なくとも欧米並みの基準とするよう、国に求めるべきです。お答えください。

 次に精神障害者への支援について伺います。
 障害者基本法は「等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重される」との理念のもと、共生社会を実現することを目的としています。今年県は、同法に基づく「第八次千葉県障害者計画」を策定しました。
 計画によると、身体・知的・精神のいわゆる障害者手帳の所持者数は2017年度末の26万4125人から、2022年度末には28万9912人と増加しています。中でも精神障害保健福祉手帳の所持者は5年間で約1・5倍、2万人超の増加であり、他の障害に比べても増加数・率ともにはるかに多くなっています。
 これは全国的にも同様で、私が住む市川市でも精神障害の増加傾向が最も顕著となっています。精神障害者への支援の強化・拡充は障害者施策全体を考える上でも重要性が増していると考えるが、知事の認識を伺います。
 精神障害のある方が地域生活を送るためには、住まいや日中活動、在宅サービスなど様々な支援が欠かせません。今回はその中でも医療費助成について伺います。
 県の重度心身障害者(児)医療費助成制度は2020年8月、ようやく精神障害者にも広がりました。しかし、その対象は1級のみであり、2級・3級は助成を受けることができません。「障害者の生活と権利を守る千葉県連絡協議会」は、身体障害者の半数以上が医療費助成の対象となる一方で、精神障害は14%しか対象とならず、身体障害者並みをカバーするために「せめて精神2級への拡大を」と求めています。
 また、ある精神障害2級の方の1年間の精神科外来とその処方薬の窓口負担は、自立支援医療の1割負担で所得に応じた上限額があっても、6万4950円だったそうです。もし1回300円の障害者医療費助成の対象であれば、5000円におさまる試算となり、実に10倍以上の負担となっています。県の障害者医療費助成の対象となる精神障害者は非常に限られており、自立支援医療制度を活用しても負担が重くのしかかる現状を、知事はどう受け止めているかお答えください。
 精神障害のある方にとって、自立支援医療制度の対象にならない精神科以外の診療も、自身の心の安定や自己肯定感の向上に非常に大きな役割を果たしています。
 中学3年の頃から人間関係の構築が困難になり、統合失調症と診断された方のご家族よりお話を伺いました。30代の息子さんは精神1級ですが、以前は医療費を気にして医療機関を敬遠していました。ところが、精神1級が医療費助成の対象になり、今では自ら進んでMRI検査に行くようになりました。一時は、生きることをあきらめそうになったこともあった息子のその変化を目の当たりにした母親は、「親に負担をかけずに病院に行ける事は、息子の前向きに生きる力になっている」とお話くださいました。
 「第八次千葉県障害者計画」では、「精神障害のある人の地域生活の推進」には「医療費の患者負担が課題」と明記されています。その認識があるのならば、医療費助成の対象を拡大すべきではないでしょうか。おとなりの茨城県では、今年度より一定の条件があれば、精神2級の方も医療費助成が受けられるようになりました。報道によれば、条件付きを含め全国では既に9つの県が精神2級を対象としています。ただちに精神2級も障害者医療費助成の対象にすべきではないでしょうか。お答えください。
 障害者基本法では、「社会的障壁」を「障害がある者にとつて日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のもの」と規定しています。障害種別や等級により対象外とする「制度」は、社会的障壁そのものです。すべての障害者を対象とした医療費助成制度の創設を国に求め、それまでは県独自に助成すべきです。お答えください。

 次は子どもと教育についてです。
 今、学校に行けない・行かないという小中学生は県内で1万2千人を超え、過去最多です。県の「不登校児童生徒等実態調査」では、学校に行きたくないと思ったきっかけは、「先生が好きではなかった、怖かった」「勉強が分からない、授業についていけなかった」「嫌がらせやいじめがあった」が上位となっています。また、学校を休んでいるときの気持ちは、「自由な時間でうれしい」「ほっとする楽な気持ち」が多い一方で、「勉強や将来が心配」「学校の友達が自分のことをどう思っているか気になる」など、子どもたちは不安を抱えています。「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸問題に関する調査」では、「無気力でなんとなく登校しない。登校の意志はあるが、漠然とした不安を抱え登校しない、できない」が59.6%と、子どもたちが学校生活で傷つき、悩み、言葉にならない叫びを発しています。
 県教委は「不登校支援のゴールは登校だけではない」としながら、指導の結果登校できるようになったのは25.1%、と登校数しかカウントしていません。学校に行けない・行かない子どもに求められる支援は、子どもと心を通わせ、様々な悩み、ストレスを取り除くことが大事ではないでしょうか。お答えください。
 一方、保護者の気持ちはどうか。「登校を頻繁に促した」は少数で、「子どもの気持ちを理解するよう努力した」「登校するかどうかは、子どもの意思を尊重した」「無理して学校に行く必要はないと思う」と、子どもを理解・尊重しようと必死です。そういう保護者の心情に寄り添った千葉県の支援になっているでしょうか。お答えください。
 千葉県が取り組む不登校支援は、相談機関の紹介パンフレットの作成・配布、スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの配置、オンラインやSNSの相談事業、オンライン授業の配信などです。子どものカウンセリングや、保護者や教職員への助言・指導を行うスクールカウンセラーの配置は、小学校は隔週1日384校を510校へと拡大したものの、月1日が126校もあります。東京都では、子どもの悩みにこたえるには週1日では少なく、週2日は必要だと配置を厚くしています。県内すべての小中学校で、週1日以上のスクールカウンセラーを配置し、子どものカウンセリングや保護者などへの助言を拡充すべきです。お答えください。
 県立高校は、スクールカウンセラーが全校で週1日配置になりましたが、さらに拡充すべきだということは言うまでもありません。また、学校や家庭などの様々な悩みを支援につなげる校内居場所カフェは、「先生や親に言えないことを言える」「今日は居場所カフェがあるから学校に行こう」と登校のモチベーションにもなるなど、貴重な場となっています。安定的に運営できるよう支援を拡充し、この間実施の13校から広げるべきではないでしょうか。
 県教委に求められることは、今、学校に行けない・行かない子どもへの支援を充実させるとともに、学校に行けない・行かない子どもを新たに生まない教育、抜本的な教育条件の改善です。それは、「学校に行きたくないと思ったきっかけ」をなくすこと。つまり、勉強が分からない、を解決し、嫌がらせやいじめをなくしていくことです。一人一人の子どもに向き合う丁寧な教育、分かる喜びを実感できる授業、子どもの意見を尊重することです。それらを実現する上で、少人数学級の実現と教員の増員は極めて重要です。教育長の認識を伺います。
 山形県では、一人一人の子どもに、より「耳を傾け、声をかけ、手をかける」丁寧な指導を目指す、「教育山形『さんさん』プラン」で少人数学級を実施しています。小学1年~4年まで18人から33人、小学5年~中学3年まで21人から33人の少人数学級で、学力の向上といじめ・不登校の未然防止をめざしています。大切にされているという安心感で、欠席率が低下。少人数学級だと勉強にやる気が出るという生徒が多く、一人一人への適切な指導の成果が表れています。必要な教員は、加配教員を最大限に活用し、不足分を県独自で確保し、学年1学級で34人以上の場合は非常勤講師を県が配置をしています。
 知事、千葉県議会では、25年前に少人数学級の実現を求める決議を全会一致で採択しています。今こそ県独自で教員を確保し、35人よりも少ない少人数学級の実現計画を立てるべきではないでしょうか。お答えください。

 最後に、地元、市川市河原地域の県道の工事に関する問題です。
 写真をご覧ください。

県道市川浦安線の行徳橋の架け替え工事にあたり、このように自宅の目の前に約2メートルの高さのコンクリートの壁が、数十メートルにわたり、何の説明もないまま工事が進められ、目の前に立ちはだかりました。住民が怒るのも無理はありません。車が通れなくなり、改善策を求める住民に、葛南土木事務所はコンクリートの壁を30センチメートルほど後ろにずらして道路幅を広げると提案しました。ところが、「別の対策をしたから道路は広げない」と、180度主張を変えたのです。現地確認で、事前説明が一切ないまま工事を進め、道路を狭めた非を認めながら、あまりにも不誠実な対応だと言わざるをえません。
 そこで伺います。千葉県が関わる公共事業で、大きな影響を受ける住民への説明会が工事前に開催されないことが、かつて一度でもあったでしょうか。
 県道工事の説明会を開かなかった責任は、千葉県にあります。その非を認め何らかの対策が必要だと考えたからこそ、いったんはコンクリートの壁の移動を提案したのではありませんか。あわせてお答えください。
 その後も、住民要望の改善や説明会に県は対応せずに工事は続けられ、住民主催の説明会に葛南土木事務所が来たのは、県道の工事開始から1年半も経過していました。住民は、「車が通行できるようにすべき」「コンクリートの壁をやり直さないなら、代替措置を」と重ねて要望しましたが、葛南土木事務所は回答期限を2回も引き延ばし、その間、一度も工事を中断しませんでした。一昨日、初めて葛南土木事務所主催で住民説明会が行われたものの、事態はなんら改善されていません。度重なる不誠実な対応に、住民は不信を募らせています。県道の整備自体は、利便性や安全性の向上につながる面もありますが、だからといって地元住民の生活が著しく不便になって良いのでしょうか。「元に戻して欲しい」とまで住民が主張する事態は、該当箇所に関する説明会を行わずに工事を進めた県に責任があるのは明らかです。住民の納得の得られるよう、対策を検討し説明すべきだと思うがどうか。お答えください。
 コンクリートの壁とは別の問題もあります。ご覧のように、この間の大雨で土砂災害が発生しています。

崩れたところは、傾斜を緩め応急対策がされたものの、そのまま、今後市川市に移管するとしています。市川市に丸投げするやり方は、あまりにも無責任ではないでしょうか。これ以上、県道工事で被害を広げないよう、県の責任で早急に斜面の安全対策を講じるべきです。責任ある答弁を求めます。
 本来、公共事業とは、住民への丁寧な説明と合意形成の努力をしてこそ、住民の協力を得られ、事業を進めることができるはずです。住民軽視の姿勢を改め、住民参加のまちづくりを徹底するよう求めます。

 以上、一回目の質問を終わります。