【2023年9月定例県議会】日本共産党 加藤英雄県議 議案・請願への討論
日本共産党を代表し、議案・請願の主なものについて討論を行います。
まず、議案第1号、第17号、一般会計補正予算についてです。中小企業や被災者への緊急支援については異論はありません。その上で申し加えるならば、道路の清掃や防草対策を行う道路環境保全事業が計上されていますが、はたしてこれが急を要する事業なのか。県管理道路の清掃・美化などは年間計画で当初予算に計上し、確実に実施すべきものです。また追加補正の土のうによる一宮川の護岸かさ上げは、もしも当初予算に計上され、台風前に実施されていれば被害を軽減できた可能性を否定できないものです。災害対策のために、ありとあらゆる手立てを講じる、やれることはただちにやり切るという姿勢を持つべきです。
さらに強調すべきは、この時期の補正予算に最も求められるものは何かということです。それは連続する物価高騰から、いかに県民のくらしを守るのかという視点であり、この分野の対策が不十分です。県内では、緊急に期間限定で小・中学校の学校給食の無償化や、水道料の基本料金減免など、直接暮らしを応援する補正予算を打ち出している自治体もあります。県民のくらしの実態を直視し、ただちに実効ある暮らし支援策を検討すべきです。
議案第6号は、県民のくらしを守り、環境悪化を防止するために、金属スクラップヤード等の規制条例を制定しようとするものです。全国の金属スクラップヤードの実に約4割、332ヵ所が県内に集中しており、騒音・振動や火災発生など、県民生活に深刻な影響を及ぼす事態も発生しています。わが党も、必要な規制を行うことに反対するものではありません。
その上で、条例審議と、条例の実効性を担保するために2点指摘しておきます。
第一は、条例審議の過程で、ヤード規制に必要な規則の内容は、条例案とあわせて県議会に示すべきだということです。例えば、条例第8条では、許可の要件として「保管物の高さ」について、「規則で定める」とありますが、その「規則」が示されておりません。どの程度の高さの積み上げが妥当なのかも示されないのでは、白紙委任せよというに等しいものです。必要な規則の内容は、条例案とともに示すべきです。
第二は、第7条において、住民への説明会の開催は明記されていますが、肝心かなめの「周辺住民の同意」の義務付けが、すっぽり抜け落ちていることです。
たとえば残土条例では、県が全国に先駆けて条例を制定した17年前から、わが党は、「周辺住民の同意を許可要件に」と繰り返し求めてきましたが、県はこれを拒否し続けてきました。しかしこの間、独自の条例で残土を規制している25市町村のうち、住民同意の義務付けが20市町村、周辺土地所有者の同意が24にもなっています。街づくりの主体は事業者などではなく、そこに住み暮らしている住民自身です。「住民同意」を許可条件に組み込むべきであります。
次に請願についてです。
請願第10号は、深刻の度を増す教員未配置解消への抜本的な対策を求めるものです。今年8月1日時点の未配置は334人で、過去最多となり、3年前の5倍にも膨れ上がっています。これが教育現場の多忙化に拍車をかけ、子どもたちの学習権をも脅かす事態を生んでいるのです。同時にこの間の経緯は、従来の延長ではなく、県教委の抜本的対策が求められていることを示しています。
そのために一つは、定数内の欠員不補充をなくすことです。今年度の始業式時点の小・中学校の定数内欠員は103人、未配置の64%を占めていました。前年度の採用試験の募集人員を独自に大幅に増やし、年度初めの定数内欠員をなくし、ゆとりある配置を進めること。
二つには休暇等の代替教員は、その場その場での対応ではなく、県教委の責任で年度初めから教員を確保し、休暇等に直ちに配置できる仕組みをつくることであり、これまでのワクを打ち破った、県教委の抜本的対策を求めるものであります。
請願第11号は、消費税5%への引き下げの意見書の提出を求めるものです。いま物価高騰にくらしの悲鳴が上がっています。この間、自民党政治のもとで30年という長期にわたって経済の衰退と停滞が続き、いわば「失われた30年」で、暮らしに困難がもたらされているところに、物価高騰が襲いかかってきている、ここに今の国民生活の特別に深刻な実態があります。
ではどうするのか。日本の経済・GDPの6割を占めるのは、個人消費です。そこを喚起し活性化させない限り日本の経済を好転させることはできません。その即効策となるのが、消費税5%への緊急減税です。世界では、すでに104の国と地域が、いわゆる付加価値税の減税に踏み出しています。政府が決断すれば消費税の減税は可能であり、本請願の採択を求めるものであります。
請願第12号は、インボイス制度の中止・廃止の意見書提出を求めるものです。多くの免税事業者が、取引先からインボイス登録をするか、消費税相当分の値引きをするかの「悪魔の二者択一」を迫られる中、インボイス制度が強行されました。
財務省の試算でも免税事業者の年間粗利益は平均154万円であり、課税業者になった場合、年間15万円もの消費税負担が生じます。
インボイス制度を考えるフリーランスの会の導入中止を求めるオンライン署名は54万人を突破し過去最多となっています。これらの声を一顧だにせず政府がインボイス制度に執拗に固執するのは、消費税大増税へのレールを敷くためです。税率が15%、20%となれば、いくつもの段階で複数税率が必要となり、そのための地ならしとして、導入を強行したのです。ですから、これはすべての国民にかかわる大問題です。本請願を採択し、政府に対し、インボイスの中止・廃止を迫ろうではありませんか。
請願第14号は、「多様性尊重条例骨子案」を見直し、再提案を求めるものです。
わが党はすでに、4点にわたり見直しの視点を示し、本会議でも質してきました。一つに、骨子案をまとめる過程から、県民や関係者などの意見を聞き練り上げていくという視点が必要なこと。二つは、「人権」を守るという視点が欠落していること。三つに、今回の条例をもって、男女共同参画条例を有するなどと言えるものではないこと。4つに、より実効性を担保するため、県や市町村、事業所、県民の責務を明確にし、差別の禁止などを明記することであります。
いま、県民は「多様性尊重」の県条例の内容を注視しています。憲法や国際的な人権の理念を明確にし、実効性ある条例とするために、骨子案の見直し、再提出を求めるものであり、本請願の採択を強く主張し、討論を終わります。