多様性条例骨子案について申し入れを行いました

お知らせ

多様性条例骨子案について申し入れを行いました

9月12日、日本共産党千葉県委員会と県議団は、熊谷俊人知事宛てに「多様性尊重条例骨子案」を抜本的に見直し、再提出を求める申し入れを行いました。

【申し入れ全文】

2023年9月12日

千葉県知事 熊谷俊人 様

日本共産党千葉県委員会

日本共産党千葉県議会議員団

「多様性尊重条例骨子案」を抜本的に見直して再提案を求める申し入れ

 県は「(仮称)千葉県多様性が尊重され誰もが活躍できる社会の形成の推進に関する条例」骨子案(以下、骨子案)をまとめ、9月1日から10月2日までパブリックコメットを実施している。早ければ12月定例県議会に条例案を提案するとのことである。

 知事が2月に同条例制定の意向を明らかにして以後、多くの県民は、どのような条例となるのか、期待を持ちつつ注視してきたが、しかし、今回の骨子案は「多様性の尊重」とは「似て非なるもの」と言わざるを得ない。

 わが党は、以下の4点を指摘し、同案を抜本的に見直し、再度提案するよう強く求めるものである。
その第1は、多様性が尊重される社会は、行政や県民がお互いに力を合わせてこそ実現できるものである。したがって骨子案をまとめる過程から多くの県民、関係団体、有識者などの意見を十分に聞き、練り上げていく、という観点が欠かせない。
 2002年の「男女共同参画の促進に関する条例案」の提案の際は、最大会派の抵抗で否決されたが、起案の段階から関係者、関係団体の意見を反映させていた。これと比べても不十分である。骨子案の再提出にあたり、タウンミーティングの開催や関係者、関係団体との意見交換の場などを設け、その声を可能な限り取り入れるよう提案する。
 第2は、骨子案の最大の問題点は、「人権」を守る視点が欠落していることである。「趣旨(背景)」「目的」「基本理念」「めざす社会」などで、「誰もがその人らしく活躍」「社会の活力」「創造性の向上」がもっぱら強調されている。しかし多様性が尊重される社会とは「だれもが活躍」しているか、などではなく、年齢、性別、障害の有無、性的指向・性自認などに関わりなく、すべての人の「人権」が尊重され、「誰もが自分らしく生きられる」社会のことである。「人権尊重」を土台に据えてこそ、結果として「活躍」できる社会にもつながると考える。
 第3に、県の説明では、今回の条例制定によって、男女共同参画条例が全国で唯一なかった千葉県も参画条例をもつ県になる、としている。しかし、男女共同参画社会とは、性別に関係なく一人ひとりが尊重され、自分らしく活躍しながら生きられる社会のことであり、今回の条例をもって、男女共同参画社会条例を有する県となったとは到底言えない。
 第4に、多様性が尊重されず生きづらさを強いられている人たちを直視し、より実効性のあるものにすべきである。そのためには国際的な水準に沿う県の責務、市町村の責務、事業所の責務、県民の責務を明確にするとともに、差別禁止を明記し、差別に対する対応など包括的な規制、あらゆる偏見や差別をうけている人たちの実態(事実)の解消をはかる公的相談体制の充実や苦情処理窓口の整備、十分な予算措置などが必要である。

 関連して、この機会に、ジェンダー平等社会の実現にむけたとりくみの拡充を要望する。今日、大きな社会問題となっており、多くの県民が強く望んでいる働く場での男女賃金格差の是正およびハラスメント禁止、性的マイノリティの人権無条件保障、痴漢・DVなど女性に対するあらゆる暴力の根絶、被害者救済、リプロダクティブ・ヘルス&ライツの視点を貫く包括的な性教育の実施、意思決定の場へ女性をふやすことなどは急務である。

以上

申し入れ書を手渡す参加者(右2人目より、加藤英雄団長、みわ由美・浅野ふみ子・丸山慎一各県議、川副邦明党県副委員長、岡田幸子党県ジェンダー平等委員会事務局長)