【2023年6月定例県議会】日本共産党 丸山慎一県議 議案・請願への討論
日本共産党を代表して、議案と請願に対する討論を行います。
議案第2号は、自動車税種別割のグリーン化特例を3年間延長しようとするものです。自動車税の軽減措置は2019年に、消費税を10%に引き上げたときに、販売台数に影響が出ないようにとの自動車業界からの要請を受けて大幅に改定されました。このことは同じ年の与党税制大綱に、8%への消費税引き上げのときの経験を生かし、経済に影響を及ぼさないよう万全を期すために、自動車保有にかかる税負担を引き下げる方向が打ち出されたことを見ても明らかです。自動車業界の利益確保のための減税延長には反対いたします。
議案第3号は、海の博物館の駐車場使用料を廃止するものです。駐車場を勝浦市に無償貸与するためとの理由ですが、そのきっかけは勝浦市からの要請でした。近くに市が建設した観光施設の指定管理者から、「施設の安定運営には夜間の営業が欠かせない」との提案が勝浦市にあり、市が県に駐車場を夜間も使用できるよう無償貸与を働きかけたものです。本来、施設と駐車場は一体のものであり、民間営利企業の利益のために、切り離して管理すべきではありません。よって本議案には反対いたします。
議案第4号は、 “こども家庭庁”の設置にともなって規定を整備するものであり、内容が変更されるわけではありません。問題は“こども家庭庁”の設置です。
岸田政権は「こどもまんなか社会の実現」などと言いながら、国連の勧告に真摯に向き合わず、主要7カ国の中で最悪の自殺率や、いじめ・不登校の現状など、子どものおかれている深刻な状況の分析や検証は行っていません。悉皆調査の全国学力テストが競争をあおり、子どもの自己肯定感を損ねているのに、岸田首相は、「子どもの最善の利益を第一として行っている」とまで言い切っています。これでは、子どもの権利条約が活きるはずがありません。
この間打ち出されている異次元の少子化対策も、目立つのは児童手当くらいのものです。しかも、利益を上げている大企業にも負担を求めず、軍事費は2倍へと増額を決めてしまったため、少子化対策の財源が袋小路に陥っています。付け加えて言えば、「家庭」という文字を入れたため、子育ての自己責任、家庭責任を求めかねない危惧もあります。
こうした問題をはらんでいる“こども家庭庁”の新設を前提にした条例案には賛成できません。
議案第5号は、高等技術専門校の名前をテクノスクールに変えようというものです。高等技術専門校は千葉県の製造業や建設業などを支えている人材を育成する大きな役割を担っています。しかし一部の訓練科では募集定員を割っているため、専門校の魅力を知らせ、技術を身に着けたい県民の受け皿にしていかなければなりません。だからと言って、名前を変えればうまくいくのでしょうか。これまでも「ちばテク」という愛称が使われてきましたが、残念ながら効果は上がりませんでした。テクノスクールという名称は、訓練生や高校生に対して行ったアンケートで最も多かったというのが理由の一つになっていますが、649票の回答数の中の64票と1割にすぎません。逆に得票数が1票だけという名称が286もあり、名前を決めきれないことを物語っています。名前を変えれば定着するまで時間がかかり、変更しても知名度が上がる保証もありません。今やるべきなのは、あらためて県内産業の置かれている状況や、技術を身に着けたいと思っている人たちの要望をより深くつかみ分析し、生かすことではないでしょうか。よって本条例案には反対いたします。
請願第2号は、コロナ対策と障害者施策の拡充を求めるものです。本請願では、精神障害者の重度医療費助成の対象が精神保健福祉手帳の1級だけとなっている現状を、2級まで広げるよう求めています。全国では福島県をはじめ10県が2級まで助成を行っているのに、千葉県が2級を対象にしていないため、他県なら受けられる助成を3万4千人余りが受けられていません。こうした状況を解消するためにも、対象を2級まで広げるべきです。
また同じ請願で、障害者が65歳になった場合、介護保険への移行は本人の自己決定で行うことを求めていますが、千葉市などは「原則介護保険優先」としています。しかし社会保障推進千葉県協議会が行った調査では、こうした自治体は少数です。本人が望んだ場合、全県すべての自治体で障害者福祉の適用が継続されるようにするべきです。よって、本請願の採択を求めます。
請願第3号および第9号は、国に核兵器禁止条約の批准を求めるものです。戦後78年がたとうというのに、いまだに世界には1万2500発もの核兵器が存在し、そのなかの3800発が実戦配備されています。ロシアのプーチン大統領はウクライナ侵略で核兵器の使用を示唆しています。核兵器がある限り、こうした権力者がいる限り、核兵器の脅威はなくなりません。核兵器を使わせない最大で唯一の保証は核兵器をなくすことです。2017年に国連で採択された核兵器禁止条約は、68カ国が批准し、92カ国が署名しており、人々にその希望を与えています。しかし問題は、唯一の戦争被爆国である日本政府が批准していないことです。被爆者や平和を願う多くの日本国民の期待を裏切り、核兵器廃絶を遠のかせる最大の誤りです。提出されている本請願を採択し、日本政府に核兵器禁止条約への参加を迫るべきです。
請願第4号および第7号は、今年10月に予定されているインボイス制度の導入延期を政府に求めるものです。本会議質疑でも指摘したように、インボイスの導入は小規模事業者にたいして、課税業者になって多大な負担を背負うのか、取り引きから排除され廃業を迫られるのか、選びようのない悪魔の選択を強いるものです。取引先から消費税分の値下げを求められる場合も考えられます。小規模事業者に致命的な打撃を与え、地域経済に混乱を招くインボイスの実施延期のために、本議会での請願採択を求めます。
請願第5号は、子ども医療費助成制度の拡充を求めるものです。現在、千葉県では入院への助成は中学3年まで実施していますが、通院では小学3年にとどまっています。しかも入院では1日300円、通院では1回300円の自己負担もあります。少子化が叫ばれ、子育てにかかる負担が大きな要因とされているときに、これでいいのか、厳しく問われます。現在、福島県、静岡県、鳥取県、鹿児島県の4県が、入院・通院ともに18歳まで助成しており、群馬県も所得制限も自己負担も無い制度で高校生まで拡大することを、今年1月に公表しました。これが世の流れです。千葉県でも子育て支援を強化するため、助成対象を広げるよう本請願の採択を求めます。
以上で討論を終わります。