【2023年5月臨時県議会】日本共産党 みわ由美県議 議案への討論
日本共産党松戸市選出みわ由美です。党を代表して、議案の主なものについて、討論を行います。まず議案第1号、2023年度千葉県一般会計補正予算についてです。
本議案は、国の物価高騰対策を受け、農業者・漁業者や医療機関、社会福祉施設等への支援の継続、LPガス利用者と特別高圧で受電する中小企業等を新たに支援する事業、また、小・中学生及び高校一年生を対象に1人1万円を支給する事業などです。全体として、物価高騰に苦しむ県民や子どもたちにとって必要であり、一歩前進、賛成できるものです。
しかしながら、今の物価高騰の深刻さからすればこれで十分とは言えず、さらなる支援金の増額や対象の拡大など、抜本的な制度の拡充が求められています。支援額の増額と対象の拡大は切実です。
医療機関等物価高騰対策支援事業36億円は、医療機関等に対してエネルギーや食料品価格の高騰の影響を軽減するものです。県はこれまで、その対象を入院できる病床のある病院及び有床診療所の約440施設のみとしていましたが、今回、病床のない歯科診療所3274施設を含む無床診療所の7148施設や、薬局2597施設、合計9745施設を、新たな支援対象に加えました。
わが党はこの間、コロナ禍で奮闘している医療機関や医療関係者などと懇談し、今年2月定例県議会で、ワクチン接種や診察・治療で頑張っている入院施設がないクリニックが窮地に追い込まれている現状を訴え、支援を求めてきました。今年4月には、千葉県歯科医師会等からも知事宛に要望が寄せられています。医療現場からは早速喜びの声が寄せられています。
課題は支援金の増額です。千葉県は、無床診療所は1施設4万円ですが、昨年度の実績をみると、神奈川県、茨城県、群馬県は10万円、栃木県は15万円、山梨県は60万円となっており、今後、感染予防に引き続き費用がかかることや、光熱費及び物価高騰が長引くことが予想されるため、支援額の大幅増を求めるものです。
社会福祉施設物価高騰対策支援事業26億円は、介護や障害福祉サ一ビス等を安定的に受けられるようにするため、施設に対してエネルギーや食料品価格の高騰の影響を軽減する支援です。県はこれまでその対象を、高齢者施設でも障害者施設でも、入所施設のみにしていましたが、本議案では、いずれも新たに通所施設を支援対象に加えました。わが党もかねてから要求してきましたが、例えば、高齢者施設では約1400の入所施設に加えて、新たに約2300の通所施設にも支援が届くことになり、関係者から歓迎されています。
一方で訪問系、例えば、訪問介護や訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリ等への支援が、依然支援対象から外されています。緊急に改善すべきと要求しておきます。
新規の県独自支援、子どもの成長応援臨時給付金54億円は、習い事や体験活動などにかかる経費の負担を軽減し、小学1年生から中学3年生までを対象に1人1万円を支給するものです。また、高等学校等新入生臨時給付金6億円は、制服や教材等の購入費の負担を軽減するため、高校一年生を対象に同じく1人1万円を支給するものです。
いずれも必要な支援ではありますが、5月14日の千葉日報も報道しているように、なぜ小・中学生と高校一年生だけなのか、未就学児や高校2年生、3年生もお金がかかる、1万円1回きりじゃあまりにも少ない、などの厳しい声もあがっています。東京都では0歳から18歳までの子どもに対し1人毎月5千円、年間6万円の支援金が給付されます。
県はそれぞれの給付金の趣旨を丁寧に説明し、県民の理解を求めていきたいと言いますが、多くの子育て世帯は同じように大変なのです。
万が一にも支援金を受け取れないことがあってはなりません。県として支援の対象年齢を大幅に拡大することと併せて、支援金の大幅増額と徹底した制度の周知などで申請漏れを防ぎ、すべての子どもたちに支援が行き届くよう万全を期するべきです。
最後に議案第3号並びに第5号についてです。いずれも特定小型原動機付き自転車、電動キックボードに関わる条例の規定の整備です。
これまで原付の交通ルールを適用し、免許必要、ヘルメット着用義務あり、車道通行とされていた電動キックボードが、道路交通法の一部改正で今年7月から最高時速20キロ以下の車体を対象に、自転車と同様の交通ルールに変更されます。免許は要らない、ヘルメット着用は努力義務、歩道も通行可能と、規制の大幅緩和です。しかし実際に、衝突や接触など、2021年の事故は全国では110件と、前年の10倍以上に急増し、同年9月から翌年11月の交通違反件数は1600件を超えています。大幅な規制緩和は危険すぎると言わなければなりません。
そもそも発端は事業者による規制緩和要望で、事業者から「外国人の利用を進めるには免許不要」「ヘルメットの着用は任意」とするようにとの要望を受けて緩和が決定したことが、国会審議のなかでも明らかになりました。ビジネスチャンスの拡大のために人を事故にまきこむ危険を拡大する規制緩和は認められません。よって、本議案には賛成できません。
以上で討論を終わります。