【2023年2月県議会】日本共産党 加藤英雄県議 議案・請願への討論
日本共産党を代表し、議案・請願の主なものについて討論を行います。
まず、議案第1号、2023年度予算案についてです。来年度予算に求められているのは、コロナ禍の3年の教訓からも、「住民福祉の増進」という自治体の役割を最大限発揮し、県民の命と安全を守り抜くものになっているのかということです。
その視点で精査したとき、第一に指摘しなければならないのは、交通安全対策、とりわけ信号機の新設についてです。来年度は今年度よりも1基増え、13基分が予算計上されています。しかしその内、12基は新設道路への設置が予定され、なんと既存道路への設置は、年間たった1基というではありませんか。通学路や設置指針に合致した箇所も含め、毎年、県民からは300を超える設置要望が出されています。これで交通安全対策を望む県民の願いにこたえることができるのでしょうか。
これだけではありません。県警では、2019年度から23年度の5年間で必要性の低下した信号機の撤去などの合理化を進める「計画」を策定しています。信号機の更新期限は設置から19年とされていますが、県内では20年を経過した信号機が2875基、33%にのぼっています。「計画」では、撤去の可否を検討するとした信号機が57基、将来的に撤去の可否を判断するが59基となっており、2021年度までに移設も含め、20基が撤去されています。
合理化ありきで撤去を進める方針は根本から見直し、必要な信号機の新設、更新のための予算を抜本的に増額すべきです。
二つ目に、毎年、発生している鳥インフルエンザなどへの対応です。今年度はすでに63万羽、一昨年度は458万羽と畜産農家を直撃し大きな影響を与えています。その第一線にたつ家畜保健衛生所の防疫体制の強化・拡充がいっそう求められているときに、東部家畜保健衛生所、北部家畜保健衛生所と中央家畜保健衛生所佐倉庁舎とを、こともあろうに統廃合しようとしています。やることがさかさまではありませんか。
三つ目に道路整備にかかわる問題です。利便性の向上を図り、県内経済や観光振興につなげるためとしている道路ネットワーク事業は、2月補正を含め、通年で約803億円と破格の予算措置となっています。はたしてこれが県民が望む道路整備なのか。毎年行っている県政に関する世論調査では、居住地での地域の道路整備の満足度についての設問が設けられています。身近な道路の整備について「不満である」が、2021年度から「満足」しているを上回り、その比率は約4割となっています。つまり身近な生活道路や通学路などの現状に不満を抱き、その整備・充実を求めていることが読み取れます。
2021年3月に中央交通安全対策会議が作成した「第11次交通安全基本計画」では、「生活道路等における人優先の安心・安全な歩行空間の整備」が掲げられ、生活エリア内でのいっそうの安全対策、道路整備を求めています。
では、県民の身近な生活道路や歩道、通学路などの整備、安全対策を最前線で担っている土木事務所の予算はどうなっているか。土木事務所からの、毎年の道路維持管理にかかわる要望額に対し、今年度は71%、来年度は74%分しか予算措置されていません。とりわけ身近な道路にかかわる道路維持予算は、要望額のわずか50%、これで県民の願いにこたえ、安全を確保することができるでしょうか。
さらに土木事務所では、この間、大幅な職員削減が行われてきました。定員適正化計画によって、かつての7割にまで職員が減らされ、道路や河川など、通常の点検作業などにも支障をきたす事態になっていると聞いています。
わが党はかねてから「県民の命と安全にかかわる人と予算は絶対に減らしてはならない」と指摘してきましたが、この視点から見たときに、来年度予算案に同意するわけにはいきません。
次に請願についてです。
請願第67号は、深刻の度を増し、待ったなしとなっている教員未配置の解消を求めるものです。教員未配置は1月1日時点で420人、過去最多を更新しています。「1学期に3人も担任の先生が変わった」「教務主任がずっと担任を受け持っている」など、教員の働き方と合わせ、子どもたちの学習権にも深刻な影響を与えています。
わが党は昨年、「教員不足解決のための提言」を公表しました。県教委に求められる対策は二つです。一つは、年度当初の定数内欠員をなくすため、前年度の教員採用選考の募集人員を大幅に増やし、年度初めからゆとりある教員配置を行うこと。二つには、休暇・休職の代替対策は、人件費の年間予算措置がされている県単定数分を年度当初から採用し、直ちに配置できる対応をとることです。その気になれば、この二つの対策は可能です。従来の未配置対策のワク内での対応では、傷口は広がるばかりです。未配置解消のためには、教職員の抜本的増員を中心にした対策へと転換すべきです。本請願を採択し、県議会として教員不足解決の一歩を踏み出そうではありませんか。
請願第69号は、保育士配置基準の引き上げによる保育士の増員を求める意見書の提出を願うものです。ご承知のように、この間、送迎バスへの園児の置き去りなど、あってはならない事故が多発しています。この背景には、劣悪な保育士の処遇や保育士不足が指摘されています。国が定める保育士の配置基準は、欧米などと比べて、極めて低い水準となっており、特に3歳、4歳、5歳児ではOECD諸国で最も低いものとなっています。
4歳・5歳児の配置基準は、子ども30人に保育士1人となっており、基準制定以来、75年、一度も見直しを行わなかった政府の責任は極めて重大だと言わざるをえません。本請願を採択し、子ども達の命と安全を守り、発達を保障する配置基準の引き上げを、国に求めようではありませんか。
請願第71号は、幕張メッセで行われようとしている武器見本市の中止を求めるものです。岸田政権が打ち出した、5年で43兆円という軍備増強路線、戦争国家づくりに、各界・各層から批判の声が上がっています。県議会が決議した「非核平和千葉県宣言」は、「国際社会の理性を信頼し全世界の協力により、戦争という手段によらずに紛争を解決する道を追求する」と謳われており、県有施設での「武器見本市」開催は、この千葉県宣言を踏みにじるものです。本請願への採択を強く求め、討論を終わります。