【2022年12月県議会】日本共産党 みわ由美県議 議案・請願討論
日本共産党を代表し、議案、請願の主なものについて討論を行います。
はじめに議案第8号ならびに議案第9号についてです。第8号は、現行の千葉県個人情報保護条例を廃止し、個人情報の保護に関する法律施行条例を新たに制定するものです。第9号は、千葉県個人情報保護審議会に関する条例制定です。いずれも、国において「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」いわゆるデジタル関連一括法が成立したことに伴う変更です。
そもそも今回の法改定の狙いは、国や自治体がもつ膨大な個人情報のデータを企業に開放し、利活用しやすくすることにあり、各自治体の個人情報保護条例が障害となるため、全国一律のルールで統合・一元化を図るものです。例えば、公的部門における「個人情報」は、民間部門に合わせ範囲が縮小され、地方自治体独自の施策の後退が危惧されています。
また、個人情報の漏洩も心配です。2017年度から21年度までの5年間で、約5万6500人分のマイナンバー情報が漏洩し、情報が入ったUSBを紛失するなど不特定多数に閲覧される恐れがある「重大事態」は後を絶ちません。デジタル化が進む中、多くの県民は個人情報の漏洩や悪用に不安を抱いています。よって反対します。
次に、議案第19号ならびに第20号は、新たに、(仮称)基幹家畜保健衛生所を整備する契約の締結です。
これにより県は、現在の、東部家畜保健衛生所、北部家畜保健衛生所、中央家畜保健衛生所佐倉庁舎を、(仮称)基幹家畜保健衛生所に統合・集約して、県全体で4箇所1施設を、中央、南部、基幹家畜保健衛生所の3箇所体制に集約する方向です。
施設・設備の老朽化改善や機能強化は当然ですが、香取地域などの北部家畜保健衛生所の事実上の廃止は、家畜農家関係者からも不安と懸念の声が出ています。鳥インフルエンザや豚熱対策など、更なる地域防疫体制の抜本的な強化と充実が求められているときに、逆に事実上、縮小となる統合・集約は到底認められません。反対します。
次に、議案第32号、2022年度一般会計補正予算案です。新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行への対応のため、オンライン診療や発熱外来の体制強化を図り、また、出産・子育て応援交付金や通園バス安全装置の設置費用などが盛り込まれています。それぞれ、必要な予算であり、異論はありません。しかし、そのうえで指摘しなくてはならない2つの問題があります。
一つは、一刻の猶予も許されない保健所の疲弊解消です。県は、その対策として、これまで保健所等で行ってきたコロナ患者の入院調整、受診調整、健康観察等、自宅療養者への支援業務などの全てを、アウトソーシング、丸ごと都内の民間企業への委託に切り替えました。問題は、保健所の疲弊を招いた県の責任と反省を不問にしていることです。
なぜ、そうなったのか。そもそも県が18から13に、県保健所数を削減し、検査課も半減させてきた、県による公衆衛生体制の脆弱化こそが、最大の原因ではありませんか。今度こそ真摯に反省し、抜本的な保健所体制の大幅強化を求めます。
もう一つは、検査です。県は突然、県内554箇所で実施中の無料の無症状者対象のPCR・抗原等の一般検査事業を、この23日から中止することを公表しました。しかし、中止した事業の補正予算が計上されています。本日の常任委員会でも、やるか、やらないか、明確な答弁はありません。あまりにもいい加減な予算計上ではありませんか。
県は、12月6日付国の事務連絡にもとづき、帰省や旅行、イベント参加者を対象とするワクチン検査パッケージ・対象者全員検査等定着促進事業を再開するからいいんだ、と言いますが、その国だって年末年始にかけての検査体制の確保、拡充をつよく求めているではありませんか。今は第8波。一日の県内新規感染者数は1万人にも迫ろうか、という勢いです。クラスターも止まりません。感染不安をもつ無症状の県民への一般検査事業中止に何ら道理はありません。同検査の継続を強く要望しておきます。
次に請願についてです。請願第61号は、核兵器に関わる企業に、県幕張メッセなどの公共施設を使用させない県条例の制定を求めるものです。我が国は憲法9条をもち、千葉県には、核兵器の廃絶と世界の恒久平和を願う「非核平和千葉県宣言」があります。核兵器の開発、実験、製造、取得、保有、貯蔵、委譲にかかわる企業に、いかなる理由があろうとも、県の公共施設を使わせることは絶対にあってはならず、本請願の採択は当然です。
次に、請願第 62号は、国に対し、「消費税率5%への引き下げを求める意見書」の提出を願うものです。世界では99の国と地域が、消費税・付加価値税の減税に踏み出しているのに、日本ではいまだに実施されていません。物価高騰のもと、消費税の減税は、すべての国民の暮らしを支え、一気に景気の底上げを促進できる、最も効果的な対策です。
なお、いわゆる「専守防衛」を投げ捨て、防衛費GDP比2%、大軍拡の恒久的な財源として消費税増税を視野に入れていることは断じて認められません。暮らしと平和を守るために、消費税率5%への引き下げの緊急実施を求め、本請願の採択を主張します。
最後に、請願第65号第66号は、4万6355筆の署名を添えて、私学助成の充実や、少人数学級、教員未配置の解消など、行き届いた教育の実現を願うものです。
今や、深刻な教員未配置が大きな社会問題となっており、県教育委員会も、来年度は、小学校の採用合格者を大幅に増やすなど、手立てをとり始めています。一歩前進ですが、しかし、年度当初の定数欠員、年度途中の産休・育休などの代替講師未配置をなくすうえでは、まだまだ不十分です。
コロナ危機や物価高が子どもと学校に、新たな困難をもたらしている今だからこそ、どの子にも行き届いた教育の実現を願う多くの県民の声を、議会として真摯に受け止めて、本請願の採択を求め、討論を終わります。