新型コロナ「第8波」を抑え込むための緊急要請

新型コロナ「第8波」を抑え込むための緊急要請

12月28日に日本共産党千葉県委員会と千葉県議団は連名で、新型コロナ感染拡大「第8波」に突入したもと、感染拡大を最小限にして早期に抑え込むための緊急要請をおこないました。
日本共産党千葉県議団が新型コロナに関する要請・申し入れをおこなうのは通算34回目(うち2022年7回)です。

【申し入れ全文】

千葉県知事 熊谷俊人 様

2022年12月28日
日本共産党千葉県委員会
同 千葉県議会議員団

新型コロナ「第8波」を抑え込むための緊急要請

 知事が11月10日の定例会見で「『第8波』に入った」との認識を示した後も新規感染者数が増加し続け、12月27日には9,520人となるなど、未曽有の感染大爆発「第7波」に迫る深刻な感染状況である。即応病床使用率も67.2%(12月26日時点)と上昇が続き、医療圏域別では東葛北部と市原医療圏で80%を超え、12月16日付東京新聞によると、船橋市では12月14日時点での病床使用率が101.6%であり、地域によっては既に医療ひっ迫どころか医療崩壊といえるような事態に陥っている。
 船橋市内のある病院では、入院患者受入協力金や病床確保への支援の終了・縮小により「第7波」時の6割ほどしか空床確保ができない中「第8波」に突入し、緊急性の低い予約手術や内視鏡検査等の先送りでなんとか人員を確保しながら、100%を超える稼働率でコロナ患者の受け入れを行っている。病床確保への支援と合わせて充分な人員確保のための支援拡充は一刻の猶予もない状況である。
 クラスター(集団感染)発生も11月に件数・感染者数ともに前月の約2倍と急増し、12月も27日には高齢者施設、医療機関、学校・保育所など一日で21件もの新規クラスターが確認されるなど、一向に収まる気配がない。クラスター発生は家庭内での感染や濃厚接触により家族が出勤できなくなるなど、社会機能維持に重大な影響を与えかねず、特に学校・保育所等の教員や職員も含め検査が行われていない施設への手立てを緊急に取らなければならない。
 新型コロナに限らず、感染症は①病原体(感染源)②感染経路③宿主の3要因が揃うことで拡大し、こと新型コロナにおいては、無症状感染者への徹底した検査で感染者を保護・療養こそ必要となる。しかし、その中心的な役割を果たすべき保健所は、感染拡大の大波が繰り返されるたびに、ますます疲弊し、その役割を充分に果たせない状況に陥った。県保健所を18から13に削減させる等、県が公衆衛生体制を脆弱化させてきたことが要因なのは明確である。早急な体制強化が必要である。
 県は季節性インフルエンザとの同時流行に備えるため、年末年始の発熱外来体制確保や病床確保フェーズの引上げをはじめとする対策強化に着手している。一方で生活様式や経済活動の規制緩和をすすめ「千葉とく旅キャンペーン」の拡大や「学校における感染対策ガイドライン」の改定を行っている。
 この間、緩和を優先させるような知事の言動に対して、少なくない県民から疑問や不安の声が上がっている。世論を二分し、県民の理解、協力を得られないようなやり方では、感染拡大抑止対策の効果が充分に発揮されない。
 とりわけ重大なのは、これらのキャンペーンや制限緩和が無症状者も含めた徹底した検査が行われていないもと、しかも「第8波」真っただ中で実施されていることである。
 我が党の度重なる無症状者への検査拡大の求めに対し、県は「一般検査と感染拡大との相関性は確認できない。」「幅広い検査を行っても効果がない」との立場を崩していない。12月24日から中止した「一般検査事業」を来年1月13日から再開するとしたことは当然であるが、しかし年末年始は、国の方針がワクチン検査パッケージ・定着促進事業の実施だとして、「一般検査事業」を中断する。これは、さらなる感染急拡大が懸念される期間に、事実上、検査対象を狭めることになり、「感染拡大防止より経済優先」の誹りは免れない。
 最大の問題は、県が感染を抑え込む戦略的方針のないまま、人流を促すキャンペーンや感染対策の緩和を推進していることである。この姿勢こそ、直ちに改めるべきである。
 年末年始を迎え県内外からの人の移動が多くなる。幾度となく繰り返されてきた感染爆発の大波を何としても食い止めなければならない。
 よって「第8波」の拡大を最小限にし、早期に抑え込むため、以下の事項について緊急に要請する。

1.無症状も含めた幅広い検査体制の確立について
(1)一般検査事業および感染不安に対する検査拡充
・感染拡大の傾向がみられる時には一般検査事業を中断することなく継続すること。
・感染拡大時以外でも、次の感染拡大の波を抑え込むために、必要な検査体制を維持すること。
(2)クラスター予防に関わる検査の拡充
・現在行っている高齢者・障害者施設の検査キット配布を少なくとも今年度は継続し、その対象を利用者にも広げること。
・保育所、幼稚園、学校をはじめとする児童・教育施設も検査対象にすること。
(3)家庭内感染を抑止するために、希望する家庭へ検査キットの無料配布を行うこと。

2.確実に治療・保護を行うことのできる医療体制の確立と発熱外来の支援強化について
(1)病床確保支援をはじめ、医療機関へ支援の拡充をすること。入院患者受入協力金支給事業を復活・拡充させること。確保した病床の稼働を保つため看護師等の職員確保への支援を行うこと。
(2)臨時医療施設をすみやかに最大稼働させ、さらに拡充すること。
(3)発熱外来を増やすため支援拡充を行うこと。発熱外来の負担軽減のため、県独自の検査センターの設立など検査体制の拡充を図ること。
(4)急性期、高度急性期の病床を削減する地域医療構想を見直し、地域医療体制の充実をはかること。

3.感染症対策の要となる保健所体制の強化について
(1)新型コロナ対策をはじめとする、公衆衛生の要としての役割を果たすのに充分な体制の強化と保健所増設をはかること

4.これらの対策について、国に支援を要望するとともに、当面の間は県の責任において実施すること

以上