【2021年12月県議会】日本共産党 加藤英雄県議 議案・請願討論

お知らせ

【2021年12月県議会】日本共産党 加藤英雄県議 議案・請願討論

日本共産党を代表し、議案・請願の主なものについて討論を行います。

 まず議案第3号、特別会計土地区画整理事業会計補正予算についてです。今年度の繰越明許費を設定しようとするものですが、問題はその金額です。繰越額52億円は、今年度当初予算の46.6%にあたり、当初予算のおおよそ半分近くを来年度に繰り越そうというものです。今年度が特別かと言えばそうではなく、この傾向がずっと続いています。昨年度は、12月補正、2月補正で設定された繰越額は、最終予算の53.5%であり、一昨年度は35%、2018年度は49%、さらに2017年度は53%の繰り越しとなっています。
 地方自治法によって規定されている繰越明許費を否定するものではありませんが、「各会計年度における歳出は、その年度の歳入を持って、これに充てなければならない」とされている、予算の単年度主義のあくまで例外とされているものです。ですからこの間、年度初めには当初予算の1.5倍程度の事業量を抱え込むことになり、結果として年度末には、年間予算の半分程度を繰り越すということが繰り返されてきています。
 予算の効率的な執行、実効的な財政支出という視点で精査すべきであり、単に予算確保のための繰越明許費の設定は認めるわけにはいきません。

 議案第12号は、勝浦海中公園のビジターセンターを廃止し、上永井自然公園施設の展望館を旭市に移譲しようとするものです。いうまでもなく公の施設とは、地方自治法244条によって、住民の福祉を増進させる目的で設置され、広く県民が利用するため施設であるとされています。
 いずれの施設も広く県民に親しまれ、利用されてきました。勝浦海中公園のビジターセンターは、コロナ禍の昨年も、小学生以下の利用者も含め、13,000人を超える方が来場しています。上永井自然公園施設の展望館も、昨年の利用者は3万人を超えています。
 なのになぜ廃止・移譲なのか。この背景に横たわっているのが、すべての公の施設を対象に、廃止、移譲、施設のあり方などを検討するとした、2012年の「公の施設の見直し方針」であり、県の行政改革計画です。広く県民に親しまれ、利用されている自然公園施設を行革の対象にして切り捨てるなど、到底認められるものではありません。よって、議案第12号に反対します。

 次に、議案第29号、第30号、第35号、第36号は、いずれも公の施設の指定管理者の指定に係るものです。
 2003年から導入された指定管理者制度について、わが党はかねてより、いわゆる官から民への流れを加速させ、公の施設や公的業務を丸ごと営利企業にゆだねることを可能にするものであり、地方自治体の変質に直結しかねないと厳しく指摘してきました。今回の4議案は、民間企業、あるいは企業を含む共同体を指定しようとするものです。
 公の施設とは、いうまでもなく、住民福祉の増進を目的とするものであり、儲けをあげることが目的の株式会社の参入で、間違っても住民サービスの低下などがあってはなりません。
 「県が想定した参考金額がどの程度下回っているか」とか、「経費の縮減は見込まれているか」などが、県が示している選定の審査項目の大きな位置しめ、県はいっそうの指定管理料の縮減を求めています。指定管理料の縮減は、サービスの内容や質の低下を招くだけでなく、職員の雇用や労働条件の悪化にも連動しかねません。
 総務省も通知文書などで指摘しているように、指定管理制度は公の施設の設置の目的を効果的に達成するため、必要があると認める時に活用できる制度であり、営利を目的とした民間企業、株式会社への指定はやめるべきです。よって4議案に反対いたします。

 次に請願についてです。

 請願第48号、ゆきとどいた教育を求めることについては、今年もコロナ禍の中、4万5千人以上の、請願第49号、私立幼稚園に対する私学助成の大幅増額を求めることについては、4千3百を超える署名が添えられ、それぞれ教育予算を増額し、父母負担の軽減や、教職員の待遇改善、少人数学級の拡充など、いっそうの教育条件整備を求めるものです。
 とりわけ「ゆきとどいた教育を求める」請願署名は、毎年、全国で展開されているものです。「3000万署名」としてスタートしたのが、1989年、32年前でした。この間に国会に積み上げられた署名は、累計で4億6990万筆を超え、県議会に提出される請願署名でも毎年、最大規模となっています。
 この保護者、市民、そして教職員などが共同した、粘り強い運動と署名の積み重ねが、厚い厚い財務省の壁をこじ開け、前進を切り開いてきました。
 その一つが今年の義務標準法の改正です。学級編成の標準を計画的に一律に引き下げるのは、昭和55年以来の40年ぶりのこととなります。法改正時の附帯決議には「中学校35人学級などさらなる改善を含め検討」することや、「高等学校の学級編成の標準のあり方についても検討する」ことが盛り込まれ、コロナ禍での教訓も含め、少人数学級による指導体制の構築は、すでに流れとなってきています。
 もう一つが、特別支援学校の設置基準の制定です。特別支援学校は児童生徒数の増加から、特別教室の転用、教室の合同使用、トイレが足りないなどの実態がまん延し、学ぶ権利を保障できない過大・過密な状態となっていました。これに対し国も県も、「障害の状態が様々であることから、一律の基準を設けることは困難」だと、設置基準の制定には頑なな態度に終始してきました。そこを突破して制定されたのが今回の設置基準です。まだ不十分な点はありますが、今後の改善を進める足掛かりとなるものであり、大きな一歩を踏み出したといえます。
 本請願を採択し、さらなる教育条件整備への県議会としての意思を示そうではありませんか。 本請願への採択を強く主張し、討論を終わります。