【2021年12月県議会】日本共産党 みわ由美県議 2020年度決算認定への反対討論
日本共産党を代表し、2020年度の一般会計及び特別会計の決算認定に、反対を表明し、討論を行います。昨年度は、新型コロナウイルスの世界的大流行に直面し、コロナに明け、コロナに暮れた一年。森田県政3期12年間の最後の年でした。
何より命、暮らしや地域経済を、しっかり守り抜いてほしい、これが県民の最大の願いであり、県政が正面から応えてきたのか。わが党は、その立場から決算審査に臨みました。
反対の第一の理由は、肝心の命を守るコロナ対策が、極めて不十分だったことです。まず指摘したいのは、検査の範囲を有症状者中心に絞り込んだことです。感染爆発を起こさないよう、感染拡大時ではなく、感染が広がる前に、無症状者に対する大規模な検査を行い、感染者を確認・保護して抑え込む、これを繰り返し要求しましたが、高齢者や障害者施設等での一時期の定期検査に留まり、無症状者への検査は広がりませんでした。感染急拡大を防ぐうえで最大の弱点となった、と云わなければなりません。
また、臨時医療施設の設置が不十分なままで、病床ひっ迫をより深刻にしました。6月議会で30億円を計上し、1千床の臨時医療施設を、県民に約束しながら、医療逼迫が起きたにもかかわらず、昨年度の臨時医療施設の受入れ実績は、最大でも一日僅か15床に留まりました。何のための30億円だったのか。入院先がなく、いわゆる「自宅死」を引き起こし、救える命も救えない、深刻な事態を招いた県の責任は重大です。
しかも、公衆衛生の要である県保健所は、ご承知のように大幅な人手不足で、カローシラインを超える時間外労働や休日出勤が常態化し、大量の応援や派遣職員が入ってもなお、「やってもやっても、仕事が終わらない」限界状態が続きました。県は、昨年度当初、前年と比べ、保健所の保健師を一人も増やさず、過去10年間で最低の人数のままスタートさせ、それが保健所疲弊の引き金となりました。科学的知見にもとづくコロナ対策への転換、検査、医療、保健所体制の抜本的な拡充に力を入れるべきでした。
第二の理由は、そもそも歴代知事のもとで、医療、福祉、教育、暮らしをなおざりにし、職員体制も削ってきた、県政の歪みが、コロナ禍で浮彫りになったことです。
とりわけ、県民へのケアの遅れは深刻です。例えば、千葉県の人口10万あたりの看護師数は全国46番目、就業保健師数は全国42番目と、低いままで改善を怠ってきたことが、医療提供や保健所の脆弱さにつながりました。
こんな時だからこそ、子育て世代の負担軽減がより切実です。しかし、子ども医療費通院助成制度はどうか。県内の全54自治体が早くから中学3年まで、22自治体が高校3年生18歳まで、市町村独自の財源で通院助成しているのに、県制度は9年連続止まったままで、未だに、小学3年生までしか、助成対象にしていません。
千葉県の特別養護老人ホ一ムはどうか。人口当たりの定員数は全国43番目と少なく、昨年度の待機者数も近年過去最多の1万2525人にのぼっているのに、定員増は近年最小の643床と、待機者の20分の1程度に留まりました。県は背景に、介護従事者の不足があり、従事者の待遇改善が必要、と言いますが、県独自の財政措置はまたもや拒否。コロナ感染のリスクと隣りあわせで懸命に働くエッセンシャルワーカーの待遇改善は、進みませんでした。
さらに、コロナ対策や子どもと向き合うことが、より求められた学校現場ではどうか。少人数学級の拡大は切実でしたが、昨年度も4年連続、制度の前進はないばかりか、逆に、教室や講師不足で、学級規模が大きくなった事例も少なくありませんでした。
災害やコロナの影響で、役割が増した県営住宅はどうか。県は、今後も成田市、横芝光町、松戸市等の14自治体で844戸も廃止する計画が明らかになりました。「健康で文化的な生活、福祉の増進に寄与する」公営住宅法の目的が、千葉県では達成しているのか、と質疑しましたが、まともな答弁はありませんでした。
減らしすぎた県職員体制によって職員の労働環境の悪化も限界でした。いまだ終わりの見えないコロナ対策や鳥インフルエンザ対応で、昨年度の最も長い時間外勤務は、1352時間に及び、長期療養休暇270人のうち精神疾患が204人に増えるなど、いずれも過去最多となり看過できません。県職員一人あたりの人口数が全国42番目で、県職員の大幅増員は喫緊の課題と、声を大にして強調しておきます。
第三の理由は、コロナ禍であっても、一切見直しや凍結なく、不要不急の巨大開発が、聖域なく、進められていることです。
昨年度末、国交省は、北千葉道路を外環道につなぐ新規事業を採択しましたが、約1900億円の総事業費も、用地取得などの不確定要素でさらに膨らむ可能性が否定できません。また、千葉港長期構想にもとづく千葉港港湾計画に係る事業が執行されましたが、そもそもコンテナ取扱量が20フィート換算で10万個、これが20年後には3倍、35年後には4倍になると想定し、中央ふ頭臨海部で約27へクタールもの海域を埋め立て、巨大な橋を2本もかけ臨港道路を通す計画です。その根拠の妥当性について、質疑を行いましたが、新型コロナウイルスのパンデミックの影響や、社会状況の変化、全国の動向などの分析の説明は一切なされず、再検証、再検討が必要です。
しかもいくらかかるか、わからない、こんな不透明な巨大開発に、コロナ危機のもとで多額の費用を費やすなど、あってはなりません。計画の凍結や見直し、あるいは中止を、つよく求めます。
最後に、地方自治体の最大の責務は、地方自治法で明記の通り、住民福祉の増進です。熊谷県政が、不要不急の巨大開発の浪費を推し進める県政と決別し、県民の切実な願い、何より命、暮らし、地域経済を支える県政に転換することを、強く求めて、反対討論といたします。