【2021年12月県議会】日本共産党 加藤英雄県議 県職員一時金削減議案への反対討論
日本共産党を代表し、議案第6号、職員の給与に関する条例の改正について、反対の立場から討論を行います。
本議案は人事委員会の勧告に基づいて、県職員の給与の引き下げを行おうとするものです。勧告で民間給与との比較において、月例給の格差が125円、いわゆる一時金は、民間の支給割合4.32カ月に対し、県職員は4.45カ月で、0.13カ月上回っているとし、月例給の改定は見送ったものの、期末手当・一時金を一般職員で0.15カ月、会計年度任用職員で0.05カ月分引き下げるというものです。期末手当の引き下げは昨年に続き2年連続となります。
反対する第一の理由は、職員の生活水準をいっそう引き下げることに直結しているということです。昨年の引き下げとあわせるなら、年間給与額は平均で7万円を超えるマイナスとなり、その影響額は52億円にものぼります。
いうまでもなく年2回の期末手当・一時金は、毎月の給与を補てんする生活給となっています。ではその生活費の水準はどうなっているか。人事委員会の「給与に関する報告資料」では、昨年4月、千葉市において3人世帯で生活するのに必要な経費、標準生計費は200,610円でした。これが今年4月は245,200円となり、44,590円、22%も引き上がっています。生活費は右肩上がり、なのに生活を維持する給与は2年連続の右肩下がりで、職員は生活水準の低下を余儀なくされることになります。
千葉県ではこれまでも職員給与に大ナタが振るわれてきました。2002年度から2009年度までの7年間に、財政難を理由に人事委員会勧告を無視した独自の給与削減が行われ、その影響額は432億円になっています。さらに2013年度には、国の言いなりで、平均7,8%、総額203億円の給与カットが強行されました。職員とその家族の生活を著しく脅かす、給与のマイナス改定は認めるわけにはいきません。
二つ目の理由は、連続的な災害級レベルの対応に懸命に従事してきた職員の士気を損ない、その労苦に冷や水を浴びせるような給与改定だということです。
地方公務員法では「全ての職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行にあたっては、全力をあげてこれに専念しなければならない」と服務の基本が規定されています。この間、一昨年の台風災害の救援・復興、そして長期化し今なお続く新型コロナへの対応、さらに突発的な鳥インフルエンザ対策と、まさに全庁一丸となったシフトのもと、服務規定に則った職員の懸命な・献身的な奮闘が続けられてきました。
その結果、過労死ラインと言われる月80時間を超える時間外勤務をした職員の実人数は、一昨年度、前年比12倍の1138人となり、昨年度も同様の傾向で、職員へは限界ともいえる負担が強いられてきました。
人事委員会の「公務運営に関する報告」では、「新型コロナウイルス感染症対策や鳥インフルエンザに係る防疫作業等については、人員配置や業務分担の見直し等を行っても、特例業務として上限時間を超える時間外勤務を命じざるを得なかった状況が見受けられた」と指摘しています。さらに新型コロナ対策では「今後も全庁的な対応が必要になる」とし、「長期にわたって多くの職員が心身ともに負担の大きな業務に携わらなければならない」「過度の負担が生じることのないよう業務に従事させる必要がある」と警鐘を発し、「業務量に応じた人員を確保する必要がある」とまで言及しています。
長時間労働がまん延している最大の要因は、庁内の人員不足にあることは言うまでもなく、その中で「全体の奉仕者」との自覚に立ち、懸命の奮闘を続けている職員に対し、あまりにも冷たい仕打ちとも言える給与のマイナス改定は容認できるものではありません。
三つ目に指摘しなければならないのは、給与のマイナス改定は、関連職場や民間にも影響を与え、消費を冷え込ませ、地域経済を一層落ち込ませることになるということです。
11月15日、内閣府が発表した、今年7~9月期の国内総生産・GDP速報値は、年率換算で3%の下落となり、マイナス成長は1~3月期以来の2期ぶりとなります。最大の要因はGDPの半分以上を占める個人消費の落ち込みです。7~9月期はコロナの第5波の感染が猛威を振るい緊急事態宣言が発令された時期と重なります。そこに東京五輪・パラリンピックの開催を強行し、感染爆発を引き起こしたことで、旅行や外出、外食の自粛や休業が長引く結果を招き、個人消費の冷え込みに拍車をかけました。
今年の骨太方針では「賃上げを通じた経済の底上げ」が謳われており、先日、経済産業大臣も経団連に対し「賃上げの好循環の実現に向けて主導的な役割を発揮することを期待したい」と賃上げ要請を行いました。この時期の給与のマイナス改定は、これらの流れにも逆行するものと言わざるをえません。
いまやるべきは給与の減額などではありません。家計を応援し、懐を温め、個人消費を喚起する政策に切り換えることです。 以上指摘してきたように、給与の減額が強行されれば、それは県職員の暮らしを直撃し、職員の士気を損ない、はたまた県内経済の冷え込みを助長させることになることは明らかであり、給与のマイナス改定は撤回すべきであることを強調し、討論を終わります。