「第2期千葉県教育振興基本計画(素案)」の撤回を求める声明(2015/01/30)

   2015年1月30日  日本共産党千葉県委員会/日本共産党千葉県議会議員団

一、千葉県教育委員会は、昨年12月に「第2期千葉県教育振興基本計画(素案)」を明らかにし、本年3月までに計画策定を終えるとしている。この計画(素案)は、「改正」教育基本法に規定された基本的な計画であり、第1期計画(2010年3月策定)の後継計画として、2015年4月からの5年間にとりくむ教育施策を示すものである。日本共産党は、戦後教育を否定し、こんにちの教育現場が抱える重要な課題の解決を困難にする多くの問題を含んでいる本計画(素案)の撤回を強く求めるものである。

一、本計画(素案)は、いわゆる「愛国心」教育を引き続き重視するとともに、「道徳教育」の位置づけが格上げされ、より前面に打ち出されている。計画(素案)作成にむけて設置された「光り輝く『教育立県ちば』を推進する懇話会」および「光り輝く『教育立県ちば』を実現する有識者会議」では、「戦前と戦後を対立的に捉える誤った歴史観がいまだに横行している」「戦後教育の基本的人権の尊重、平等、自由などの考え方は日本人には合わない」等々、日本軍国主義による侵略戦争の時代と、その反省を出発点にした戦後社会とを同列、一体におき、現憲法にもとづく戦後教育を否定し、若者を侵略戦争へとかりたてた戦前の教育を賛美するような発言が公然と行われている。こうした流れの中で、国旗・国歌の意味や大切さを強調していることに大きな危惧を抱かざるを得ない。
 このような議論をうけて打ち出された「愛国心」教育や「道徳教育」なるものが国民主権、戦争放棄、民主主義を厳格に謳う現憲法の立場とは両立し得ないことは明らかである。

一、「社会の一員として必要な力を育む」として「少子高齢化社会における社会保障と財政問題について考えさせる租税教育」をあげている。これは、財政を理由に社会保障を抑え込もうという時の政権の意向にそった考え方、価値観を子どもたちに植え付けようとするものであり、教育の時の権力への迎合と言わざるを得ない。また「自他ともに尊重し命を大切にする心の教育」において「不合理な差別を許さない教育」の推進を掲げているが、わが党の「合理的な差別は許されるということか」との問いに対する県の説明は、曖昧であった。「あらゆる差別を許さない教育」と明記すべきと考える。

一、「キャリア教育」も格上げされている。このなかで若者の早期離職やニート、フリーターの増加にふれ、「若者の職業人としての基礎的資質・能力の低下や勤労観・職業観の未熟さ」をあげて、あたかも若者個人にその責任があるかのような指摘をしている。これは、多くの若者に非正規・低賃金で、まるでモノのような働かせ方を強いている大企業の社会的責任を免罪し、いまの深刻な雇用の実態を当然視するものである。このような企業の立場からの「キャリア教育」ではなく、子どもたちに労働基準法などの労働法制や、人間らしく働けるルールある社会を実現する重要性が身につく教育こそすすめるべきである。

一、本計画(素案)において、教育行政がほんらい果たすべき教育条件整備の責務を投げ出していることは極めて重大である。第1期計画では、曲がりなりにも重点取り組みとなっていた「少人数教育の推進」は、重点取り組みから外された。基礎学力の向上や、教員の多忙化解消、深刻ないじめ問題へのきめ細やかな対処などに欠かせない必要な正規教員の増員については言及されていない。むしろ、土日・放課後授業の推進などによって、教員の負担増大が危惧される。学力格差をさらに広げ、学校の統廃合につながる小中および中高一貫校の推進も挙げられている。その一方で家庭の経済的事情に左右されることなく、どの子にも学びの機会を保障するための給付型奨学金制度の拡充、私学の授業料減免制度の拡充や施設整備費など学費全体の負担軽減策は見当たらない。

一、教職員の「評価・処遇の在り方について総合的に検討する」としているが、県の説明によれば、金銭による評価・処遇を否定していない。このような教職員間に差別と分断を持ち込む管理強化の方向は、教職員が教育実践を通じてお互いの指導力を高め合い、創意や自主性を発揮できる学校づくりを阻害するものである。

一、第2次計画(素案)の全体を通して言えることは、侵略戦争を美化する極右勢力が支える安倍政権の「戦争する国」づくりに呼応した「戦争する人」づくり、財界が求める人材づくり、時の政権に「従順な人」づくりの教育を推進しようとするものであり、肝心な教育条件の整備を放棄した「安上がり」教育である。
 わが党は、本計画(素案)の撤回を重ねて求めるとともに、多くの県民と力を合わせて、千葉県教育への歴史の偽造の持ち込みを許さず、憲法の立場にそった主権者としての人格の形成をめざす教育の実現へ全力を尽くすものである。

                                     以上