真の男女平等の実現と男女共同参画の促進をめざして―「千葉県男女共同参画計画(第3次)骨子」に対する見解(2010/10/25)

2010年10月25日  日本共産党千葉県議会議員団

千葉県は、「千葉県男女共同参画計画」について、2025年までの長期的な施策の方向性を定める「基本計画」の一部見直しと、2011年度からの5年間の具体的な施策を定める「事業計画」の策定をすすめている。県は、「男女共同参画に関するこれまでの取組を踏まえつつ、社会・経済状況の変化や地域社会の変容による新たな課題に対応する」などとしているが、9月13日に公表した「参画計画」(第3次)骨子には重大な問題点が含まれている。

第一に、「参画計画」(第3次)骨子から「男女平等」が削除されていることである。
これまでの「参画計画」の土台である基本理念(目標)には、「女性も男性も人として尊重され、(中略)平等な社会の実現を目指します」と、男女平等が謳われていたが、これが「男女がともに認め合い、支え合い、元気な千葉の実現を目指す」と、曖昧模糊としたものに変わっている。
基本的な課題に掲げられていた「教育の場における男女平等に関する教育・学習の促進」や「労働の場における男女平等の促進」からも「男女平等」が消えている。
そもそも「男女共同参画」というからには、今の社会において、現実に様々な形で存在している男女差別を取り除くうえで実効ある計画であることが欠かせない。
わが国憲法が法の下の平等や家族生活における個人の尊厳と両性の平等を定めているにもかかわらず、日本の女性の社会進出は主要先進国で最低であり、賃金格差は、非正規を含めれば男性の5割程度、妊娠・出産で約7割が仕事を辞めざるを得ないという現状である。実態として根深く温存された女性への差別は、人間の平等と尊重の原則に反し、人類の発展に貢献すべき女性の能力の発揮を困難にすることにつながり、ひいてはこの国の発展を損なうものである。
全国で唯一、「男女共同参画条例」を持たない千葉県は、より一層の積極的な取り組みと努力を尽くさなければならない。にもかかわらず「男女平等」が「参画計画」(第3次)骨子から削除されていることは、断じて容認できない。「男女平等」を復活し、その理念を「参画計画」の隅々につらぬくべきである。

第二に、そうした根幹とも言うべき「男女平等」が「参画計画」(第3次)骨子から消えたことにより、基本的な課題や施策の方向において、大きな後退を招いている。
たとえば、「政策・方針決定過程への女性の参画促進」は、これまで基本目標に掲げられていたが、今回、基本目標から外され、具体的な施策の一つへと位置づけが後退した。しかし県の審議会などで女性委員の占める割合は、26.1%(2009年4月現在)で全国46位と依然著しく遅れた状況である。
日本のこの分野の遅れは、国連からも厳しく指摘されており、昨年、国連女性差別撤廃委員会が日本政府にたいし、是正勧告の「総括所見」を出した際にも、政府は、2年以内に進展状況などを追加報告するよう求められている。
さらに女性への差別解消のために必要な具体的な課題にあげられていた「固定的な性別役割分担意識の是正と制度・慣行の見直し」「母性保護」「社会全体での子育て、介護支援の促進」などが削除または後退していることも重大である。
これらの背景には、「女性を安く働かせたい」「妊娠・出産した女性は企業の不利益」「家事や育児は女性の仕事」など、企業利益を優先し、社会保障の拡充に背を向ける、特定の政治的、思想的立場があると言わざるを得ず、それは結果として、国民がいまの政治や社会の現状を社会進歩の立場で前向きに打開することを抑え込むことにつながる。

第三の問題は、計画策定の過程で、県民参加が保障されず、県民の意見や願いが十分に反映されていないことである。県は、第2次の参画計画では、骨子案を公表した段階から、意見を公募し、県内約60ケ所で約二千人が参加した地域集会やタウンミ一テイング等を開き、県自らも意見聴取に出向いた。また、公募も含む「千葉県男女共同参画計画策定作業部会」を13回にわたって開き、原案を練り上げ、懇話会等に反映させた。
ところが今回は、県民意識調査や世論調査、インタ一ネット・アンケ一トなどは実施したものの、県民が直接意見を述べる機会はほとんどなく、県民参加の計画づくりとは程遠いものとなっている。
そうした経過のなか、今年8月3日の千葉県男女共同参画推進懇話会において、県は、基本理念に男女平等を明記した「参画計画(第三次)骨子案」を提案した。ところが、懇話会の一部の意見に圧され、9月13日に「男女平等」を削除した「参画計画」(第3次)骨子を決定してしまったことは、極めて重大といわざるを得ない。

見過ごせないのは、「参画計画」(第3次)骨子の策定をめぐって、歴史を逆回転させる動きがあることである。知事は「千葉県男女共同参画推進懇話会」の委員に、「日本教育再生機構」代表委員や「日本会議」代表委員を務める人物を新たに任命した。前者は、先の侵略戦争を「正義の戦争」と描く歴史教科書の採択を画策している団体であり、後者は、恒久平和、主権在民、基本的人権の尊重を柱とする日本国憲法の改憲をめざす団体である。
これらの委員は、懇話会において、「男女平等教育」や「政策方針決定過程への女性の参画」「社会制度・慣行の見直し」に敵対する発言を繰り返している。
重大なことは、県がまとめた「参画計画」(第3次)骨子が、もっぱらこれら委員の主張を色濃く反映したものとなっており、その一方で、別の委員がのべていた「男性も女性も人として尊重されるとの言葉を残してほしい」「男女平等教育を進めるべき」などの意見が何ら斟酌されていないことである。
これは、この間、知事は議会で先の戦争の加害の事実を認めない発言をおこなっているが、男女共同参画をめぐっても、そういう知事の姿勢があらわれているものと言える。

今年は、男女共同参画社会基本法が施行されて11年、国連女性差別撤廃条約(女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約)が採択されて31年目であり、日本の「男女平等」の著しい遅れにたいして、国際社会から厳しい目が注がれている。
日本共産党は、憲法と女性差別撤廃条約にもとづく人権と民主主義の前進をすすめる党として、これからも男女共同参画の推進と、真の男女平等の実現をめざして、逆流を許さず、県民の世論と運動と連帯し、全力で取り組むものである。
以上