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  【2019年6月県議会】日本共産党 加藤英雄県議「老後の暮らしを支える年金の実現を求める意見書」趣旨説明(2019/06/28)

 日本共産党提出の発議案第13号「老後の暮らしを支える年金の実現を求める意見書(案)」への議員各位の賛同を求め、趣旨説明を行います。
 いま、政府の年金制度への対応を巡って、怨嗟の声が全国隅々にまで広がり、今月16日、日比谷公園での「年金返せデモ」には2000人が集まり、怒りの声を響かせました。
 その発端となったのは、3日金融庁が公表した「金融審議会 市場ワーキンググループ報告書」です。報告書では「収入も年金給付に移行するなどで減少しているため(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦)無職世帯の平均的な姿でみると、毎月の赤字額は約5万円」で、「まだ20年から30年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で1300万円から2000万円」となる、だから「資産形成、運用といった『自助』の充実を」と述べられています。これは、老後、公的年金だけでは2000万円も足りなくなる、だから貯蓄せよ、投資で資産を増やせと、あからさまに自己責任を求めるもので、国民の老後の不安をかりたて、年金への信頼を根底から揺るがすものです。同時に、これは低すぎる公的年金の実態を政府自身が認めたものだと言わざるをえません。
 現に安倍政権になってからの7年間でみると、物価は5.3%も上昇しているのに、年金は0.8%のマイナス改定で、実質6.1%の大幅減となる、年金の引き下げが行われてきました。
 さらに政府は、こともあろうにこの報告書の打ち消しに躍起になっています。「誤解を招く」、政府と「政策的スタンスが違う」として、「報告書はなかった」「受け取らない」などと言い出す始末、あまりにもご都合主義ではありませんか。いくら報告書をなかったことにしても、年金だけでは暮らしていけないという事実は、決して消し去ることはできません。
 ですから直近の世論調査では、「共同」「毎日」「産経・FNN」などで政府のこの間の対応について「問題だ」「納得できない」「適切でない」とする回答が7割にのぼっています。あわせて「共同」の調査では、74.3%が、老後について「経済的に不安がある」と答えるなど、年金への不安が一層広がっていることが明らかとなっています。
 問題なのは「月5万円不足する」というのは、現在の年金受給者への推計であり、今後の年金水準はさらに低下していくということです。いまの現役世代が年金受給者になったときに、必要な貯金は2000万円どころではすまなくなります。年金削減が2043年まで続くことで、現在41歳以下の人たちが受け取る年金は、月4万5000円もの減額となり、30年間では1620万円の減額、2000万円どころか3600万円も不足することが国会論戦で明らかとなっています。
 この貧しい年金の根底に横たわっているのが、年金を減らし続ける仕組み「マクロ経済スライド」です。もともと年金額は、初めて受け取る人は賃金の伸び率に応じて、いま年金を受け取っている人は物価の伸び率に応じて改定するとされていました。しかし自民・公明政権が2004年に年金法を改悪し、物価、賃金が上がっても、その分より年金引き上げ幅を低く抑え込み、実質的に年金を削減する仕組み、「マクロ経済スライド」を導入しました。さらに2016年に年金カット法を強行し、確実に年金を削減できる体系としました。その結果、2019年の年金額は、物価が1.0%増、賃金が0.6%増のため、本来なら年金は0.6%増が基準になりますが、この間の改悪で、スライド調整率0.2%、さらに繰り越し調整率0.3%、合わせて0.5%分を差し引くことになり、その結果、年金額は0.1%増にとどまります。物価上昇率1.0%には追い付かず、実質的には0.9%の削減で、実際の生活水準は低下し、いっそう窮地に追い込まれることになります。
 しかも安倍首相は19日の党首討論や22日のテレビ番組で「マクロ経済スライド」をなくせば「7兆円の財源が必要」と突如言い出しました。これは、国民が受け取るはずの年金が「マクロ経済スライド」によって7兆円も削られる、国民の年金が奪われることを首相自らが認めたことにほかなりません。この結果、今でさえ月6万5000円にしかならない国民年金が、月約4万5000円にまで減る計算になります。これではたして生きていけるのか。
 私は声を大にして訴えたい、これのどこが「100年安心の年金」なのか。2003年当時、「年金安心プラン」だとか、「今もらっている年金は下げません」「暮らせる年金額を確保」などと大宣伝されていましたが、ここにきて「100年安心」の看板は崩壊し、すでに地に落ちたと言わざるをえません。
 老後の年金が不足するという報告書を直視するのであれば、年金の削減は直ちにやめ、年金の底上げを図る、貧しい年金制度を立て直して国民に安心を与えることこそ、政治の責任でまずやるべきことなのではありませんか。
 ではどうするのか。日本共産党は「減らない年金」にするために具体的な提案を行っています。第一に、年金を減らし続ける「マクロ経済スライド」を中止し、給付と負担のバランスをとる手立てを講じることです。いまの年金保険料は、月収62万円、ボーナスを含め年収で約1000万円を超えると、保険料負担が増えない仕組みで、年収2000万円の人も、1億円の人もみんな保険料は同じで年間95万5000円となっています。この保険料頭打ちの上限を健康保険と同じ2000万円まで引き上げる、そのことによって保険料収入を増やし、一方、高額所得者への給付は抑制していく。二つ目は、年金積立金の活用です。年金積立金は、約200兆円もあり、給付費の4年間分に当たります。ドイツ、イギリス、フランスなどの年金積立金は給付費の数か月分であり、日本のためこみは異常ともいえる水準です。これを政府が言うように100年先まで温存するのではなく、高齢化のピークとされる2050年代をめどに計画的に活用していく。三つ目は年金の支え手である現役労働者の賃上げと正社員化で、保険料収入と加入者を増やして年金財政を安定させていくことです。
 いうまでもなく、安心できる年金は老後のくらしの支えであるだけでなく、高齢者の消費増につながり、地域経済の発展にも貢献するものとなります。「頼れる年金」「減らない年金」実現のため、議場のみなさんの本発議案への賛同を呼びかけ、趣旨説明を終わります。