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 【2018年6月県議会】日本共産党 寺尾さとし県議代表質問◆2018/06/20)

 次に保育について伺います。昨年4月1日時点で県内の待機児童数は1787人で全国ワースト3位、さらに国基準に入らないいわゆる「隠れ待機児童」は2573人となり、合わせれば4360人に上ります。10月1日には国基準で3664人と倍増しており、「隠れ待機児童」も同様に増えること、さらにそもそも申し込みをあきらめてしまっているような潜在的な待機児童を考慮すれば、少なくとも毎年1万人、3年間で3万人以上の整備が必要です。
 ところが県はこの3月に「子ども・子育て支援事業支援計画」の中間見直しを行いましたが、3年間で2万人分しか整備しようとしていません。これでは待機児童は解消しません。「隠れ待機児童」や潜在的待機児童などを含め、すべての子どもが希望する保育園に入れるようにするには、さらなる目標の引き上げが必要だと思いますがどうか。そのためにも県内の保育ニーズを正確につかむ実態調査を市町村と協力して行うべきですがお答えください。
 また「中間見直し」では保育所整備に見合う保育士数についても計画を見直し、新たに3年間で4500人を確保することとしていますが、そのためにはさらなる処遇改善が必要です。県は昨年度から民間の常勤保育士に対して市町村と協力して月2万円の給与上乗せを始めましたが、月2万円という根拠は「県内の女性保育士が、県内の女性全職種の平均と比べ月額2万円低いため」だといいます。しかし男女あわせれば全職種平均より約8万円も低く、女性に限定して比較する意味はありません。全職種平均との差を縮めるためにも、平均月44000円の上乗せを行っている東京都並みにさらなる処遇改善を行うべきではありませんか。
 保育の量の確保は喫緊の課題ですが、量を追求するあまり「保育の質」が犠牲になることがあってはなりません。政府は「子育て安心プラン」によって、今年度からの2年間で約22万人分の保育の受け皿を確保し、遅くとも2020年までに待機児童を解消する計画ですが、その大きな柱として位置づけられているのが「企業主導型保育」です。
 そもそも企業主導型保育は文字通り企業が自らの従業員確保のために設置した施設であり、保育実施義務を持つ市町村が直接関与せず、資格を持った保育士の割合も半分でよいという認可外施設です。条件を満たせば国から認可保育所並みの補助金が受けられますが、保育の質が確保される保証はありません。
 内閣府によれば、昨年度に国の立ち入り調査が行われた企業主導型保育432カ所のうち7割にのぼる303カ所で基準が守られず、県の立ち入り調査でも健康診断や避難訓練の未実施、消火器の未設置、記録の不備など約半数の施設で基準を満たしていませんでした。保育の質の確保、子どもたちの安全のためにも認可外施設である企業主導型保育を待機児童対策の柱にすえることはやめるよう国に求めるべきではありませんか。県としても当然、推進すべきではないと思いますがお答えください。
 重大なのは、待機児童解消を名目にさらに保育の質を引き下げるような動きが起こっていることです。国は待機児童が多い市町村を対象に、都道府県が主導して対策を話しあう協議会の設置を求めていますが、この協議会での協議事項として保育士配置や施設面積などで国の基準を上回る基準を持っている市町村について、「多様な視点から検証すること」を求めています。待機児童解消のために市町村の基準を緩めさせ、「詰め込み保育」を推奨する協議を行うなど言語道断です。県が主導する協議会で、市町村が実施している上乗せ基準の引き下げを迫ることなどあってはならないと思うがどうか。待機児童の解消はあくまで認可保育所の整備を中心に行うべきだと思うがお答えください。

 次に若者への就労支援について伺います。今年3月の総務省「労働力調査」によれば、1年前に比べて正規職員が41万人増えた一方で、非正規職員はそれをさらに上回り113万人も増えました。雇用情勢の改善が言われるもとでも約4割を非正規雇用が占め、新規就業者の多くが非正規職員という状況は変わっていません。
 とりわけ15歳から34歳までの若い世代では完全失業率が4%と他の世代に比べても高く、非正規雇用の割合も多くなっています。千葉県内では1997年から2012年までの15年間で正規雇用が21万人も減っていますが、同じ期間に35歳から59歳は4万4千人、60歳以上は4万人正規雇用が増える一方で、15歳から34歳は30万人も正規雇用が減っています。国も県も「雇用情勢は緩やかに改善している」といいますが、少なくとも若い世代にとって、特に正規雇用の拡大という角度から見れば決して改善しているとは言えないと思うがどうか。若者の就労支援、とりわけ正社員化の促進は喫緊の課題だと思いますが、知事の認識をお聞かせください。
 昨年11月、「ちば『働き方改革』共同宣言」に基づく「具体的な行動案」が発表され、企業において取り組むことが期待される主な内容と、企業が自主的に取り組むための支援策が盛り込まれました。この中でも触れられていますが、若者の就労支援を行うジョブカフェの充実を図ることはとりわけ重要です。
 船橋市にあるジョブカフェちばでは、若者の正規就労を目標にカウンセラーによる相談活動や就職活動を進めるためのセミナー、主に中小企業を招いての説明会の開催などを行い、一人ひとりの若者にきめ細かな就労支援を行っています。就職後の定着支援として夜間の相談も行うなど、相談から就職、定着まで一貫した支援を行うとともに、セミナーにはグループワークを取り入れるなど、取り組みを通じてお互いが励ましあい、成長しあう場にもなっています。利用者の感想でも「丁寧にご指導いただいたので、面接の時なども自信を持ってのぞむことができました」「スタッフの人たちがみな親切で頼りがいがありました。就職活動を進めていくうえで、前までの自分より自信を持てるようになりました」という声が紹介されています。県はこうしたジョブカフェの役割、意義をどう認識しているのでしょうか。
 ところがジョブカフェの利用者数は、この5年間で44000人から19000人と大きく減少しています。県は利用者数の減少について、「景気回復に伴う雇用情勢の改善やインターネットを初めとする就職活動手法の多様化」が要因としていますが、ジョブカフェの役割は引き続き大きなものがあります。
 利用者数が減少した一つの要因は、この間ジョブカフェの予算や体制が減らされてきたことです。船橋市は定額で支出し続けていますが、国や県は基金や事業の終了を理由に予算が減らされました。総事業費は開設当初の3分の1になっています。重要な役割を果たしているにも関わらず、なぜ予算が削減されてきたのでしょうか。
 この間、船橋市以外でセミナーや相談を行うジョブカフェ出張版が廃止され、これだけで約3000万円の予算が削減されました。ジョブカフェ出張版は最終年の2014年度だけでも柏市の18回を含む85回実施し、1200人以上が参加するなど重要な役割を果たしていました。県は翌年度からジョブカフェ出張版に代わる新たな事業を始めましたが、開催は年に数回程度で参加者は100人に満たないなど規模は大幅に縮小しています。
 ジョブカフェの利用者を居住地別に見ると、船橋市、千葉市、習志野市など総武線沿線の近隣市だけで6割を占めています。一方、人口密集地でありながら、松戸市は3.2%、柏市は1.7%しかいません。この間の事業縮小によって、東葛地域の利用者が利用しづらくなっているのは明らかです。そこで伺います。ジョブカフェに関する予算を抜本的に増額し、少なくともジョブカフェ出張版を復活させるとともに、常磐線沿線にもジョブカフェ設置を展望すべきではないでしょうか。

 次に小規模事業者の振興について伺います。千葉県は昨年12月、中小企業振興条例を改正して小規模事業者への支援を特別に位置づけました。地域住民の生活を支え地域の経済循環を担っている役割に着目して支援する姿勢を示したことは一歩前進と言えます。しかし小規模事業者は5年間で12000、約1割も減少するなど実態は極めて深刻です。このままで行けば、10年後、20年後には、小規模事業者が無くなるといっても過言ではありません。いま手を打たなければ手遅れになるほど事態は切迫していると考えますが、知事は深刻さをどう認識しているのか、お聞かせください。
 商店を始めとした小規模事業者は、地域社会を維持し住民が生活する上で決定的ともいえる存在です。県として、少なくともこれ以上減らさない、現状を維持することを目標に掲げるべきだと考えますが、お答えください。
 同時にこの目標は並大抵のことでは達成できません。本気で現状を分析し、小規模事業者自身から話を聞き、効果のある具体的な支援策を講じる必要があります。そのための財源も必要になります。しかし、千葉県の今年度予算には既存のもの以外、小規模事業者向けの新規の予算はまったくありません。これでは条例改正も形だけだと言われても仕方がないと思いますが、いかがでしょうか。
 県は、当事者の要求を受け止める真剣さにも欠けています。中小企業元気戦略には「顧客獲得のためのPRを行いたいが費用がかかるため、なかなか投資できない」との地域業者の意見が掲載されていますが、掲載した県の側に該当する支援施策はありません。「経営者の高齢化に伴い営業力の低下が生じる場合もある」との懸念にも施策は示されていません。県自身の文書でわざわざ要求を取り上げているのに、それに応えないのでは姿勢が問われます。PR費用や営業力低下など業者の要望に応えるべきではないですか。お答えください。
 私自身も小規模事業を担っている地域の方々から話を聞きました。畳屋さんでは、「畳が使われなくなって仕事が減った。中国からの安い畳が増えたり、大手ハウスメーカーによる下請けを通しての参入などが収入減の要因となっている」と実情を話してくれました。クリーニング店では「大手より少し高いけど、『他の店で取れなかったシミも取ってくれるので安心』といってお客さんが来てくれる」と地域に密着した努力の大切さを語ってくれました。しかし店のリフォームが大変で、「補助金があればやる気も起きる」と話していました。小規模事業者を減らさないためには、当事者から直接要望を聞いて、それに正面から応えていく以外にありません。
 新潟市では商店のリフォーム助成を行っています。補助率3分の1、限度額100万円を支援し、3年間で456件、2億887万円の補助額となっています。助成を受けた乾物屋では、店舗を改装してカフェを併設し乾物売り場のコーナーもきれいにしました。「落ち着いた時間が過ごせる」と来店してくれる客も増え、カフェに来て乾物コーナーに興味を持って買っていく人もいて、1割ほど売り上げが伸びたと話していました。補助金でトイレを改修した居酒屋では女性客が大幅に増えて売り上げを伸ばしています。
 しかもリフォーム工事は市内業者に限定しているので、お金が市内を循環するため地域経済にも貢献しています。千葉県もこうした補助制度を作るべきではないでしょうか。また実施する市町村に補助することも検討すべきです。お答えください。
 県の商店街支援予算は5000万円程度しかないのに、決算額はその半分程度にとどまっています。空き店舗対策の助成先が商店街に限定されているなどの使い勝手の悪さや、自己負担の重さなどが理由となっています。せめて予算全額を使い切れるようにするために、商店街の活性化に役に立つ事業なら対象を限定せず自由に使えるようにすべきではないでしょうか。補助金の効果や検証は市町村や経済団体の協力を受ければ、十分可能です。思い切って改善すべきだと考えます。お答えください。
 一方、消費者の側から見ても小規模事業者支援は重要です。地域から商店が無くなり買い物難民と呼ばれる状況が広がっていますが、小規模事業者は小売業や飲食業、生活関連サービスや娯楽など、身近なサービスを担っている割合が5割を超えており、地域生活にとって大きな役割を果たしています。こうした役割を支援するためにも、商店街の宅配サービスなどに県の補助金が使えるようにすべきだと考えます。現在も補助制度の対象になっていますが、1年だけしか受けられません。日常生活を支えるための取り組みにするために、系統的な助成措置がとれるようにすべきです。あわせて予算の抜本的な増額を求めるものです。お答えください。

 次に千葉交響楽団について伺います。1985年にニューフィルハーモニーオーケストラ千葉として設立され、一時期の危機的な状況を乗り越えて2016年に改称した千葉交響楽団は、2年前に新しい音楽監督を迎え「おらがまちのオーケストラ」として新たに出発しました。県民により親しまれるオーケストラになるため努力を重ね、最近の定期演奏会は毎回満席となって経営的にも2016年度から黒字に転換しています。
千葉交響楽団が千葉県の文化向上のために果たしてきた役割は大きなものがあると思いますが、知事の見解はいかがでしょうか。
 千葉交響楽団の活動で大きな特徴になっているのは、子どもたちに本物のオーケストラの演奏を届ける学校音楽鑑賞教室です。中学生からは「オーケストラの演奏での合唱は、私たちの歌がすごく素敵に響いて気持ち良かった」という感想が寄せられ、先生からも「音楽の持つ素晴らしさを十分感じ取ってくれた」という声が出されています。学校音楽鑑賞教室は千葉県の子どもたちに質の高い演奏を届け、オーケストラを身近に感じられる貴重な機会になっていると思いますが、知事はその意義をどう評価していますか。お答えください。
 ところが学校音楽鑑賞教室を行っているのは県内でも一部に留まっています。小中学校では費用のうち県の負担は3分の1で、市町村が3分の1、学校が3分の1を負担しなければならないからです。柏市では21校ある中学校すべてで3年に1回はまわってくるように実施していますが、年間4000万円の予算を組み、市が学校負担分を含めて負担することで可能になっています。しかしこうした努力ができる市町村ばかりではありません。
 高校も同様です。県立高校では県が3分の2を負担していますが、残りの3分の1、56万7000円が保護者負担でやはり重い負担になっています。高校での鑑賞会は50人編成による演奏で、生徒からは「はじめてフルオーケストラを聞いて、重層的な音の広がりにとても感動した」と感想が寄せられていますが、開催したのは昨年度2校、今年度は1校のみです。
 すべての県立高校で3年に1度、毎年40校が無料で演奏を聴けるようにするには6800万円あれば可能です。小中学校でも県立高校でも、学校音楽鑑賞教室の予算を抜本的に増額し、市町村や学校・保護者の負担なくすべての生徒が本物のオーケストラに出会える機会をつくるべきではないでしょうか。
 さらに演奏を行う楽団員の待遇はどうかといえば、平均年収は雇用契約の楽団員で182万円、請負契約の楽団員は110万円に過ぎません。請負契約の方は演奏回数に応じた完全出来高払いのため、場合によっては収入がまったくない月もあります。プロの演奏家として千葉県の文化振興に貢献したい、県民や子どもたちに良い音楽を届けたいという熱い思いを持ちながらも、個人の努力には限界があります。知事、日々演奏技術の向上などに努力を重ねている楽団員の待遇がこうした状況で良いとお考えですか。
 財団は、黒字に転じたものの経営が安定するまでは楽団員の処遇改善には踏み出せないとしています。しかし楽団員の生活が安定せずに質の高い音楽が提供できるわけがありません。県として楽団員が生活できるだけの財政的な支援をすべきだと思いますがどうでしょうか。
 また楽団を支える事務局員の数も同規模のオーケストラに比べてまったく足りず、演奏会当日までに外部から招いた演奏者に譜面が届かないという事態まで起きています。県の運営費補助を増額し、事務局体制の強化を図るべきだと思いますがお答えください。

 最後に前回も取り上げた花見川について伺います。この間日本共産党千葉市議団が「花見川水辺の調査」として、花見川にEボートと呼ばれる船を浮かべ、観光資源としての活用の可能性を調査しました。Eボートの「E」は、英語の頭文字で環境、交流促進、教育、防災などの意味を持ち、気軽に水辺に親しむことができるように開発されたものです。
 調査には千葉市から観光プロモーション課、公園緑地事務所、花見川区役所の職員、県から河川環境課の職員が参加しました。また花見川桜まつりを主催する坊辺田桜守る会、花見川種鰻採捕組合の組合長など多くの住民のみなさんも参加し、地域新聞やタウン誌にも取り上げられるなど注目を集めました。「花見川を貴重な地域資源、観光資源に」という機運が高まっています。そこで伺います。県の役割は河川の安全な管理にあることはもちろんですが、こうした流れを県としても後押しすべきではないでしょうか。
 花見川を観光資源として活用していくうえでは課題もあります。昨年度出された千葉市町内自治会連絡協議会による市への要望事項でも、「花見川河川敷の環境整備と観光資源としての活用について」という項目が取り上げられ、サイクリングロードの補修や河川敷の整備、桜の病虫害対策、通学路としても活用されているサイクリングロード沿いの街灯設置など多くの要望が寄せられています。
 このなかには県として対応すべきこともあります。たとえば「河川敷や千本桜緑地など、草刈りの時期を統一してほしい」という要望に対しては、県と千葉市が連携して行うことが必要です。また千葉市が管理しているのはあくまでサイクリングロードとその両側1メートルまでの範囲であり、街灯設置の際の電源確保や水洗トイレ設置のために給排水設備を整えるには県としての手立てが必要になります。そこで伺います。地元からの要望にこたえ、これらの課題について早急に千葉市と協議を行うべきですがどうでしょうか。
 以上で一回目の質問を終わります。