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 【2017年6月県議会】日本共産党 丸山慎一県議代表質問 2017/06/22)

 日本共産党を代表して質問いたします。

 初めに、知事の政治姿勢について伺います。
 その一つは3期目の県政運営についてです。
 千葉県ではこれまで、新産業三角構想をはじめ、千葉ニュータウンやつくばエクスプレス沿線開発、それらを結ぶ巨大な高速道路ネットワークの建設など大規模開発最優先の県政が進められてきました。その一方で、医師や看護師の数は全国最下位クラス、保育所待機児童も5000人をはるかに超え、特別養護老人ホームの待機者も1万1千人にのぼるなど、医療や福祉は大きく遅れています。「こうした状況を改善してほしい」というのが多くの県民の願いです。しかし3期目の森田県政はこの願いに応えるものとはなっていません。
 子育て世代への支援で、今議会の補正予算に保育士給与の引き上げ補助金が計上されていますが、これは貴重な第一歩です。しかし、「子育てするなら千葉県」という知事が目指している姿からすれば極めて不十分なものと言わざるを得ません。月2万円という助成額を見ても県の負担は1万円に過ぎず、半分は市町村負担を義務付けています。東京都は、今年度から月額4万4千円に補助を引き上げましたが、認可保育所と認定こども園などは都の全額負担で、市区町村負担はありません。全産業平均から10万円低い保育士給与の現実を見れば、せめて東京都並みの金額に引き上げるべきではないでしょうか。また、市町村が負担しなくても県の補助を実施できるように改善すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 補正予算では、医師確保で10人分、看護師確保で30人分、修学資金貸付事業の対象人数を増やしています。これも前進だとは思いますが、人数が少なすぎます。しかも看護師の貸付額は他の都道府県の半分程度で、全国で一番、額が少ない状況はまったく改善されていません。遅れた千葉県から脱出するためにも、貸付額を全国並みに増額し、貸付枠も大幅に増やすべきだと思いますが、お答えください。
 その一方で、介護人材の確保では、2月の当初予算でも今回の補正予算でも、介護職員に直接向けたものはまったくありません。しかし、事態は深刻です。昨年、県内では「介護・看病疲れ」による殺人が3人、自殺が7人に上っています。殺人といっても、ほとんどの場合、心中しようとして死にきれずに残されたり、「もう死にたい。殺してほしい」と言われて手にかけてしまったというものです。長い人生を生きてきて、その最後がこれでは、本当に悲しくてやり切れません。もしも特別養護老人ホームに入れていれば、もしもお金の心配なく十分な介護が受けられていたら、こうした事件は起きなかったはずです。知事は、介護疲れによる殺人や自殺についてどう感じていらっしゃいますでしょうか。また、政治の責任が大きいと考えますが、知事はどう思われるでしょうか。状況を改善しなければならないのに、介護職員の確保に直接効果のある新たな予算措置はまったくありません。これは知事の公約にも反するのではないでしょうか。お答えください。

 政治姿勢の2つめに、安倍総理の改憲発言について伺います。5月3日、安倍総理が改憲団体の集会にビデオメッセージを寄せ、そのなかで、憲法9条に自衛隊を明記する、2020年に改定憲法を施行して東京オリンピックの年を日本が生まれ変わる年にしたいなどと言いました。しかしこの国の主権者は国民です。総理は国民の主権者としての権限をゆだねられて政治を運営しているにすぎません。だからこそ、憲法99条で国民が決めた憲法に従って運営することが定められており、これがなければ国民主権自体が成り立ちません。知事は県議会で「憲法は最高法規であり、尊重し遵守することは知事として当然のこと」と答えています。その知事から見て、今回の安倍総理の発言は、どうお感じでしょうか。認識をお聞かせください。
 安倍総理は憲法9条について、今の自衛隊をそのまま認めるだけのように言っていますが、まったく事態は異なります。自民党の中から、9条第2項で定めている戦力不保持の例外規定として第3項に「ただし」書きで自衛隊を書き込む案が示されていますが、これによって第2項の効力は無きに等しくなり、自衛隊が文字通り戦力として動き出すことになります。自衛隊を戦力化する憲法改定について知事の見解を求めます。
安倍総理が改憲発言でオリンピックを持ち出したことにも批判が広がっています。オリンピック憲章では、「オリンピズムの目的は、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すため」とされ、そのために「スポーツと選手を政治的または商業的に不適切に利用することに反対する」としています。今回の安倍総理の発言は最悪の政治利用であり、この規定に照らしても許されないものです。とりわけ千葉県は開催県の一つです。憲法改定に反対の人も賛成の人も、ともに心から歓迎できる平和の祭典にしていかなければならないと考えますが、知事の認識はどうか伺います。

 政治姿勢の最後に、テロ等準備罪、いわゆる「共謀罪」について伺います。先週の木曜日、安倍政権は委員会採決も省いて本会議にいきなり持ち込むという異常なやり方で「共謀罪」を強行成立させました。知事は選挙中、東京新聞への回答で「法案の内容について国会でしっかりとした議論がなされるべきだ」と答えていますが、今回の共謀罪をめぐる経過を見て、「しっかりとした議論がなされた」とお考えでしょうか。
 そもそも「共謀罪」は国民の「心の中」を処罰の対象にして、思想・信条の自由を奪う重大な危険性があることが国会の審議を通じて明らかになりました。「刑法」では、犯罪によって具体的な被害が生じた場合に初めて処罰するのが原則です。しかし「共謀罪」は2人以上で話し合い、「準備行為」をしたと捜査機関がみなせば、犯罪を実行しなくても処罰の対象になります。政府は「一般の人が対象になることはない」と言いますが、法案にはそんな歯止めはありません。「テロ対策」だという理由も、政府自身の最初の原案に「テロ」の文字がまったく入っていなかったことがこじつけであることを物語っています。こうした「共謀罪」は、たとえ数の力で成立させられても絶対に動かしてはならず、廃止しなければならないと考えますが、知事の認識をお聞かせください。

 次に大型開発について伺います。
 千葉県では、1960年代の極端な高度経済成長と同一歩調で、企業庁による臨海部の埋め立てを中心にした開発が進められ、1970年ごろから内陸工業団地の造成が広範囲に進められてきました。そのなかで企業庁が着手した25地区のうち8地区で事業が中止に追い込まれ357億円の損失となりました。残り、17地区でも5地区が赤字で、その合計は530億円にのぼっています。なかでも1990年代のバブル崩壊以降に着手した工業団地はひとつ残らず赤字です。経済情勢が激変したにもかかわらず、これまで通り無謀な巨大開発路線を突き進み続けたブレーキ無き暴走が傷口を大きく広げる要因となりました。
 見過ごせないのが「幕張新都心」や「千葉ニュータウン」「つくばエクスプレス沿線開発」という県が鳴り物入りで進めてきた大規模事業で、大きな赤字を出していることです。「幕張新都心」は685億円の赤字、「つくばエクスプレス沿線開発」は196億円の赤字、「千葉ニュータウン」にいたっては1249億円もの赤字を出しています。「採算が取れない大型開発は中止を」と求めてきた県民の声を振り切って、強引に進めてきた千葉県の姿勢は厳しく問われなければならないと考えますが、知事の認識をお聞かせください。
 千葉県は、こうした歴史からまったく学ばず、新たな大型開発に着手しようとしています。その一つが北千葉道路です。成田空港へのアクセス強化による生産性の向上や周辺道路の渋滞緩和、災害時の緊急輸送ネットワークの強化などがうたわれていますが、どのくらい生産性が向上するのか、どのくらい渋滞が緩和するのか、まったく示されていません。災害対策というのであれば、まずやらなければならないのは現在の緊急輸送道路沿道の建物の耐震化です。こうしたものを後回しにして、何千億円かかるかわからない道路建設に踏み出すのは順番が逆です。まずは既存道路の安全対策や耐震補強工事の推進などに力を入れるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 そもそも県として、全線での供用開始はいつ頃と考えているのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。人口も減り、右肩上がりの経済も収束しているときに何年先に開通するかわからないような大型開発事業に手を出すべきではないと考えますが、いかがでしょうか。

 新たに着手しようとしているのは北千葉道路だけではありません。
 今年1月に策定された「千葉港長期構想」は、大型化している外航船舶への対応やアクセス道路の混雑解消、コンテナ貨物の利用率の向上などを掲げた極めて大規模なもので、千葉県財政に大きな影響を及ぼすのは明らかです。しかし、大型船が必ず来る保証はなく、旅客船が来られるようにという計画も来るか来ないか、まったくわかりません。将来の貨物量では、20フィートコンテナ換算で10万個となっているコンテナ貨物の取り扱い量を、20年後には3倍、30年後には4倍にすることを目指すとしています。しかし、1月に行われた地方港湾審議会で県は、目標達成の根拠について具体的に答えることができませんでした。もしも具体的な根拠を示せるというのであれば、はっきりとこの場でお答えいただきたい。
 これほど根拠があいまいであるにもかかわらず、千葉中央地区では30haもの海域を埋め立て、道路を建設する計画になっています。葛南地区では巨大な橋を2本もかけて臨港道路を通そうとしています。しかもこのルートは第2湾岸道路とまったく同じものとなっています。港の整備にかこつけて、事実上、第2湾岸道路の建設が動き出すようなことはあってはならないと思いますが、お答えください。
さらに問題なのは、どのくらい費用がかかるのか、まったく算定していないことです。大規模な埋め立てや2本もの巨大な橋をかければ事業費は数千億円単位になるのは目に見えています。これほどの超巨大事業であるにもかかわらず、概算さえ示さないで県民が納得すると思っているのでしょうか。お答えください。
 一方、長期構想では三番瀬海域について「干潟や浅瀬の保全」を掲げています。そのためにどういう方策を取ろうとしているのか、お聞かせください。再生計画を策定してからこの10年間、県自身による事業評価で最も遅れているのが、「三番瀬の再生・保全・利用のための条例の制定」と「ラムサール条約への登録促進」です。最初の事業計画でも新事業計画でも第3次事業計画でも、すべて「ほとんど達成されなかった」という評価になっているのは、この二つだけです。なぜこうした結果になってしまったのか、県としての取り組みのどこに問題があったのか、今後、どう改善しようとしているのか、お聞かせください。

 千葉港長期構想が想定している20年後、30年後の状況など、誰にも予測できません。根拠を示さなくていいのなら、いくらでも過大な想定を作れます。しかしそれによって使われるのは県民の莫大な税金であり、それを考えるべきです。幕張新都心やかずさアカデミアパークなど、これまでの大型開発に投じた公金は残念ながら取り戻すことはできません。しかし、北千葉道路の自動車専用部分や千葉港長期構想はまだ工事が始まっていません。過去の歴史から教訓を導き、過ちを繰り返さないよう根本から見直すべきではないでしょうか。知事の答弁を求めます。

 次に成田空港の機能強化について伺います。
 昨年9月、国土交通省と千葉県、空港周辺の9市町と成田国際空港株式会社の四者で構成される「成田空港に関する四者協議会」で、B滑走路の延伸とC滑走路の新設、深夜の飛行時間の拡大などを内容とする「成田空港の更なる機能強化」が、空港会社から示されました。
 これまで午前6時から夜11時までとしてきた飛行時間を、午前5時から翌日の深夜1時まで、3時間拡大するというものでした。飛ばない時間は現在の7時間から4時間に短縮されます。地域説明会では、深夜の飛行時間の拡大に猛烈な批判と反対の声が上がりました。「これ以上、睡眠時間が奪われるのは絶対に認められない」「健康被害を考慮しているとは思えない」など、住民のみなさんから出された声は当然のものでした。
 これを受けて空港会社は、今月12日、飛行制限の緩和について見直し案を示しました。内容は、当面、A滑走路の飛行時間を1時間延長し、C滑走路が完成したあとは、朝5時から夜11時までの「早番」と、朝6時半から深夜の0時半までの「遅番」を定期的に入れ替え、空港全体としては朝5時から深夜0時半まで運用するというものです。
 しかし、「早番」と「遅番」を入れ替えようが住民から見れば、一日の中で静かな時間が、深夜の0時半から早朝5時までのわずか4時間半になってしまうことになり、見直し前と大して変わりません。あまりにも非人間的で、まともな暮らしをすることはできません。それでも知事は人間らしい生活ができると考えているのでしょうか、お聞かせください。

 先日、住民のみなさんの案内で現地へ行き、実際に騒音を体感してきました。A滑走路の直下で、1分半から2分間隔で飛び立つ航空機の押し寄せてくるような轟音で話もできませんでした。横芝光町の中台区にある共同利用施設の騒音表示板は80dBを記録しました。この近所で生まれ、ずっとここで暮らしてきたという80歳の女性は、「夜は本当にうるさい。飛行機の音でテレビも電話も聞こえなくなる」と現状を話し、「孫のために息子が引っ越すので、近々転居することになった」と寂しそうでした。長い間、地域で暮らし地域を支えてきた人たちが、騒音被害のために住みなれた土地から出ていかなければならなくなる。これは住民追い出しと同じことです。こういう事態は本来、あってはならないと思いますが、どうでしょうか。騒音対策、環境対策として周辺対策交付金や防音工事への助成などはありますが、それで解決できるような問題ではありません。そこを終の棲家としてきた住民が、人生設計を変えざるをえないような苦渋の選択を迫られているのです。だからこそ個々の住民と向き合い、個別的、具体的な救済策を講じることが欠かせないと思いますが、お答えください。

 成田空港では、機能強化によって年間離発着回数の容量を、現行の30万回から50万回に大幅に増やす計画ですが、もしもこのまま実施されれば、環境悪化は計り知れないほど深刻になります。それは夜間の飛行時間が拡大することだけではありません。現在、夜10時台は1時間あたり10便に制限されていますが、機能強化によってこの便数制限がすべての時間で撤廃されます。第1段階のA滑走路の1時間延長だけでも、最大で1時間当たり60便ほどの離着陸回数が、深夜0時まで続くことになります。C滑走路が完成すれば0時30分まで時間が延長され、1時間当たりの最大容量は98便にまで拡大します。なぜ住民は、深夜に何十便もの騒音を我慢しなければならないのでしょうか。我慢の限界を超えた状況が生まれるのは明白だと考えますが、お答えください。

 そもそも、現行の午前6時から午後11時の飛行というのは、成田空港の開港時に当時の羽田空港の夜間飛行制限時間を参考に設定されたものです。羽田空港でも首都圏空港の機能強化の一環として、新たな都心ルートの検討が行われていますが、陸上を飛行する場合はこれまで通り、午前6時から午後11時が前提となっています。なぜ成田空港だけが、夜間飛行制限を緩和し、住民につらい思いをさせなければならないのでしょうか。明確な答弁を求めます。
 現行の飛行時間は、千葉県としても守るべき住民への約束です。2013年、飛行制限時間の弾力的運用が持ち込まれたときに取り交わされた「確認書」では、「弾力的な運用によって、なし崩し的に運用時間が拡大することのないよう、23時以降に新たなダイヤを設定しないこと」と明記されています。今回の飛行時間の拡大は、「確認書」の合意に反するものだと考えますが、「確認書」に名前を連ねている一人として、森田知事の認識はどうか、答弁を求めます。当然、県民への約束ですから、「確認書」にもとづいて、飛行制限の緩和は止めるよう強く求めるべきです。お答えください。